たけなかまさはるブログ

Yahooブログから2019年8月に引っ越しました。

週刊エコノミスト「世界経済2019総予測」12月25日発売(2019年1月1日&8日合併号)に、米国経済の見通しについて寄稿しています。以下、字数の制約で掲載できなかった図表も含めて図表中心に掲載しておきます。本文は雑誌をご覧ください。

page 32-33
クレジットサイクル観点から、2009年を底に始まった米国の景気回復過程が最終局面に近いことを示す図1
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家計部門は2008年前のような過剰債務には傾いていないことを示す図表(本誌非掲載)
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図2、OECD Leading Indicator、米国、中国、OECD全体
中国の景気循環がOECD全体の循環に3カ月から6か月先行していることに注意
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次期景気後退の先行シグナルとして注目される長短金利差に関する図(非掲載)

引用:これら3通りの長短金利差についてFRBがデータを開示している1976年以降で検証すると、景気後退期は5回起こり、長短金利逆転は6回起こった。つまり1回、98年に起こった長短金利差逆転はそのまま景気後退に至らず、シグナルとしてはダマシだった。
 また長短金利差逆転が起こってから景気後退が始まるまでの平均月数は、①14か月、②16か月、③16か月とかなり時間がある。本稿執筆時点では長短金利差逆転は、③の5年物と2年物利回りでしか生じていないが、近々にあと2つの長短金利格差も逆転すると仮定しても、景気後退が始まるのは2020年の可能性が高いということになる。」

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以上




株価のベアーな雰囲気が広がっている時に火に油を注ぐようで恐縮ですが・・・
「日経平均1万5000円!ドル円1ドル90円かそれ以上の円高!」

竹中正治の紫婆化か?
いやいや、過去の景気循環と株価、円相場の関係性に基づいて見込みを立てれば、その程度の中期循環的な揺れ戻しは自然な結果と言うだけです。
今朝掲載されました。


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引用:「筆者は10円幅かそれ以上の次の大きな動きは円高であり、日本株も円高に連動して下落し、日経平均で2万円割れの下げとなる公算が高いと考えている。その理由をご説明しよう。
ドル円相場はどの程度まで円高に振れるだろうか。景気後退には至らなかったが、中国の景気急減速と株価急落が起こった「チャイナショック」の2015年後半~16年前半、ドル円相場は120円台前半から100円近辺まで円高に振れた。

それを参照して考えると、来年以降、米国の景気後退がはっきり見えて来た段階で前年比10%程度の円高は最低限覚悟すべきだろう。さらにFRBが金利の引き下げに動いてドル円の金利差が縮小すれば、1ドル90円かそれ以上の円高も自然な結果だろう。

仮に米国株が既述の通り1950年以降の平均30%前後の下落を起こすと想定すると、図2の関係から日本株の下落は直近の高値から40%前後は下がることを覚悟する必要があるだろう。

今年の日経平均の高値が24448円なので、40%の下落で14668円となる。私としては次期景気後退時に日本株の底値が日経平均で1万5000円前後までにとどまれば「上出来」だと思っている。」

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米国の超短金利差(5年物と2年物の財務省証券利回りが直近で僅かに逆転)したので「もう来年は景気後退か。株価は高値を見てしまったぁ!」というような雰囲気が広がっている。

私も長短金利差が次期の景気後退のシグナルになると書いてきたので、大局的な流れはそういう方向とは思っているが、直近の市場の雰囲気はちょっと気が早すぎるのではないかな。

株価の短期的な変動には下げだけでなく、まだけっこう上下動があると思っていた方が良いのではないかな。
 
FRBが開示している金利データ(FF金利と財務省証券利回り)で1976年まで遡って検証すると、景気後退期は5回あり(NBER景気判断)、長短金利逆転は6回ある(つまり1回、98年の逆転はダマシだった)。 以下掲載竹中作成図表参照

長短金利差として、①10年物-FF金利、②10年物-2年物、③5年物-2年物の3つで見ると、金利差逆転が起こってから景気後退が始まるまでの平均月数は、①14か月、②16か月、③16か月でとけっこう時間がある。つまり景気後退が始まるのは2020年の可能性が高いね。

もっともほとんどの株式投資家は気が早いのが行動特性だから、「もう高値は見てしまった。売りだ!」と反応するのは自然かもしれない。景気後退より前に株価が下げに転じるのが先であることも多い。

だけど、ベアー一辺倒で突っ込むと、短期的にはショートカバーを強いられる局面が来年ありそうな感じがする。もちろん、そこは売りだよということでもあるけどね。


参考論考、2018年1月のロイターコラム

http://masaharu-takenaka.jp/index.html  ホームページ

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今回の米国の中間選挙とその結果を通じて、米国の保守とリベラルの政治的二極化は戦後で最も際立ったレベルになった感がある。二極化の傾向は過去幾度も指摘されてきたが、おそらく1970年代頃まで遡るトレンドだろう。

いわゆるpolitical correctnessを破壊しながら当選したトランプ大統領は、そうしたトレンドから生み出された現象であると同時に、二極化・分断を一層煽る政治的な存在として働いている。二極化・分断の原因は一言で表現できるほど簡単ではないが、主因のひとつはアメリカ社会の民族的構成の長期的な変化だ。

民主党にはリベラル派の白人層と非白人層の票が集まり、共和党には保守派の白人層の票が集まる傾向が一層顕著になっている(以下掲載WSJの図、参照、有料サイト)。

リベラル派の人々にとって、アメリカ社会の理想と優位は、多民族、多文化を許容する寛容さにある。
保守派の白人層にとってアメリカは欧州から移民した白人の国であり、中南米からの移民であるラティーノの増加に代表される人口構成の変化は、自分らの社会のアイデンティティを脅かすものと感じている。

米国のセンサス調査では、このまま人口構成の変化が続くと2050年までには、自らを白人と申告する人々は半数割れとなり、少数派になってしまう。 political correctnessが抑制していた「このトレンドを止めろ!」という要望、衝動が噴出して、保守派とリベラル派の白人&非白人層の間でちょっと和解しがたい分断が生じている。

こうした傾向がやがて米国社会のアイデンティティの変容、危機に至る可能性について、保守派の立場から警告した著作としては故ハッチントン氏の「分断されるアメリカ(Who Are We?)」(2003)がある。

また中間的な意見層が細り、二極化した政治は民主主義にとっても危機をもたらす要因となるだろう。その点ではリベラル派の論者によるトランプ政権批判でもあるこの著書が参考になる。「民主主義の死に方(How Democracies Die)」(2018)

さらに関連して、ポールクルーグマンの2008年の著書「格差は作られた(The Conscience of
a Liberal)」では、共和党が経済的な格差拡大政策をとりながらも(あるいは格差拡大を放置しながらも)選挙では大衆的な支持を獲得することに成功しているという「米国戦後政治史上の最大の謎」について、クルーグマンは1960年代の黒人の公民権運動を契機に、白人層にある根強い民族的、人種的偏見を共和党は取り込むことで成功したと説明している。 

当時私はそれを読んで、1970年代、あるいは80年代頃までなら、それでかなり説明できるかもしれないが、2000年代以降の今日までその効果で説明するのは無理ではないかと思ったのだが・・・実はそうでもなかったのかもしれない。  

クルーグマンは必ずしも明示的に書いていないのだが、彼の含意をくみ取ると、90代年以降はラティーノ人口の増加に対する抵抗感、民族的偏見、つまりこのままでは白人社会のアイデティティが脅かされるという保守的な白人層の不安、焦燥感が再強化され、移民増加に否定的な姿勢をとる共和党への支持を維持する要因として働き続けたのかもしれないと、今回考え直すようになった。

2020年の大統領選はどうなるんだろうか?分断の修復を志向する候補が出るだろうか?ますます分断化の傾向を強める政治闘争になるんだろうか。今のままだと、後者の可能性が高いだろう。

現代ビジネス(マネー)への寄稿論考です。11月5日(月)朝、掲載されました。
この前のブログで書いたことですが、加筆修正し、もっと丁寧に説明しています。
図表も最新データに更新済。

引用:「筆者は本業のかたわら個人投資家として、中古のマンション投資を始めてから20年となる。始めた最初の年は1998年であり、銀行不良債権危機で深刻な不況となった時だ。

おそらく「今が底値圏だ」という直感的な判断で始めたのだが、その後、エコノミストとして東京を中心にマンション市場のマクロ動向を分析し、マンションの購入と売却のタイミングを判断する多少役に立つ知恵を得た。

過去何度か著作の中で紹介しているが、改めてそれに基づいた現在と今後の市況についての判断をご説明しよう・・・」

 

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