今日11月9日のWSJに出た記事:
Fed Global Backlash Grows
Global controversy mounted over the Federal Reserve's decision to pump billions of dollars into the U.S. economy, with President Barack Obama defending the move as China, Russia and the euro zone added to a chorus of criticism.
 
日経新聞なんかでも話題になっているが、米国が景気テコ入れのためにQE2でドルをジャブジャブ供給することの他の諸国や市場への副作用を問題にする論調が急に増えている。
 
インフレかデフレリスクかという状況は正反対だけど、1980年代初頭のインフレ退治のためのFRBボルガー議長によるマネタリスト的な金融引き締め策の時代を思い出す。あの時、米国はとにかく70年代に悩まされたインフレ経済に終止符を打つんだということで、マネー供給量を厳格にコントロールする政策で、ドル金利が急騰、短期金利も長期金利も10%を超えて、しかも乱高下した。
 
そのドル高金利を契機に、ドル建てで対外債務を膨張させていたメキシコなど中南米諸国が、利払いコストの急増で対外支払いが困難になり、1982年に第1次メキシコ危機が起き、中南米全体が債務危機になった。国内でもバンカメやS&Lなど長期固定金利で住宅ローンを出していた金融機関が、調達金利の急騰で危機に直面した。 当時、若き20歳代の私は東銀のNY支店で為替のディーリングルームで「初年兵」務めだった。
 
中南米に貸し込んでいたのは米銀(と東銀)だったから、さすがに「これはまずい!」ということでFRBは82年秋に金融政策を一時的に緩和した。 本格的な緩和は1985年のプラザ合意からだ。
 
ともかく米国は、インフレ退治が目的ならばなりふりかまわず金融引き締めする国だということだ。他国の顔色はうかがわない。今回は状況は正反対だが、景気後退とデフレ回避のために必要なら、やはりなりふりかまわずゼロ金利も量的緩和もガンガンやるということだね。 
 
日銀の5兆円の資産購入プログラムも、実は20兆円まで拡大する含みがあるという話を今日、JCERのセミナーで聞いてきた。話の出所は日本の財務省幹部だそうだ(私もよく知っている方)。どうやら日米とも量的緩和で歩調をそろえているらしい、というか、日本は米国に合わせているということか。
 
ふ~ん、これは2011年にかけて、けっこう凄い「流動性ジャブジャブ相場」になるかもしれない。
株は上がる、金銀も上がる、債券利回りは超低位安定、ドルは軟調、そして新興諸国はバブル、そういう相場でしょう。
 
あとから回ってくるそのつけ、副作用が怖いね。インフレ退治の引き締めのつけは、海外のソブリン債務危機と国内銀行の危機だった。
今度の副作用で、一番コストを払わされることになるのは、どこかな???
この点はこれからじっくり考えておく必要がありそうだね。