昨日12月9日の日経新聞の以下の記事をご覧になっただろうか。
中国社会科学院のレポートの紹介記事だ。
いつでもそうだが、バブルの時にはバブル・リスク、資産価格の非合理的な割高などを指摘する調査レポートは世に出る。米国の住宅バブルについても2006年初には住宅市場のアナリストによるそうした警告論調のレポートが出ていた。
それについては弊著「なぜ人は市場に踊らされるのか?」(2010年2月日経新聞出版社)でも採り上げた(第2章)。
しかし「バブルじゃない」「大丈夫だ」論も横行し、結局ハードランディングに至るまでチキン・レースが止まらないのが世の常。
「3割が適正価格水準を超える割高」とレポートは述べているが、中国の都市部の住宅価格は勤労者の平均年収の40倍~50倍と言われているので、3割程度の割高ですむはずがない。日本でも米国でもバブル時のピークで都市部住宅価格は平均年収の10倍前後だった。もっとも社会科学院は政府のシンクタンクだから、途方もなくショッキングな結論を出せるはずもない。控えめな警告調に止まっているはずだ。
このレポート、英文があれば読んでみようと思い社会科学院のサイトを見たが、中国語ばかりで私は読めない。元の勤め先である(財)国際通貨研究所に打診したら、フルレポートを入手して内容の詳しい紹介とコメントを付したレポートを作成するとのこと、それが出来上がったら、このブログでも紹介しよう。
中国主要都市、住宅価格の3割バブル 政府系調べ、追加利上げに影響も
【北京=高橋哲史】中国政府直属のシンクタンク、中国社会科学院は8日発表した2010~11年の「住宅発展報告」で、主要35都市の平均住宅価格の29.5%は適正水準を超える「バブル」の部分とする分析を明らかにした。住宅価格の高騰に対する国民の不満は高まっており、追加利上げの時機を探る中国人民銀行(中央銀行)の判断にも影響を与えそうだ。
報告は都市ごとに住宅価格の適正な水準(基準価格)を設定。実際の取引価格との比較を基に算出した「バブル指数」を公表した。
それによると、都市別の指数は福建省福州が70.3%で全国トップ。浙江省杭州の66.9%、広西チワン族自治区南寧の66.8%が続いた。北京の49.6%や上海の36.5%も35都市の平均を大きく上回った。
中国の住宅市場には金融緩和でだぶついたマネーが流れ込み、09年半ばから価格の上昇が続いている。
今年4月に政府が打ち出した住宅ローン規制の効果でいったんは落ち着きを取り戻したが、米国の量的緩和もあって秋以降に再び上昇傾向が顕著になっている。
中国共産党は3日の政治局会議で、金融緩和路線を2年ぶりに終了することを決めた。インフレと不動産バブルを防ぐためだ。
市場では人民銀が近く10月に続く追加利上げに踏み切るとの観測が強まっている。
以上
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