福島原発事故は深刻であるが、放射能漏れに関する報道はいたずらに不安を拡散し、過剰反応を引き起こしていると感じている人は私だけではなかろう。狂牛病(BSE)の時にも同じ過剰反応があった。しかも政府の情報供給はそれに対応できず、不安と過剰反応のみが広がった。
 
その点で今日のダイヤモンド・オンラインに掲載された以下の記事は冷静かつ啓蒙的な良い記事だ。
 
以下一部引用
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政府内に放射線に詳しい専門家がいないため、かえって混乱を招くだけの結果になっている。国民が理解できるような方法でデータを噛み砕いて伝えることができていないのだ。
たとえば、(日本政府は)現在、飲料水では放射性ヨウ素が1リットルあたり300ベクレルを超えると好ましくないというメッセージを国民に伝えている(乳児の規制値は100ベクレル)。しかし、この数値は何も目の前のコップに入った水を飲むと危険だということを示しているのではない。
20杯飲んでも大丈夫なはずだ。その値以上の飲料水を5リットルほど毎日1年間飲み続けたら、ガンになる確率が1万分の1上がる可能性がわずかにある、ということだ。そういう説明を、自信を持ってできる人間が政府内にいないことが問題なのだ。
 
そもそも海には以前から放射性物質が含まれている。1994年まで海底での核実験が行われていたし、原子力潜水艦や核弾頭なども海底に沈んでいるからだ。海水の放射能汚染は何も新しいことではない。 むしろ今後の問題は、人々が怖れるあまり近海の魚が売れなくなり、経済的な打撃を受けることだろう。だが、それは無知に基づいた反応以外の何ものでもない。政府は、専門家による委員会を組織し、そうした説明を国民に向けて行うべきだろう。今からでも決して遅くない。
 
(チェルノブイリ事故の影響で)6000件の甲状腺ガンが報告されているが、これは子どもたちが放射性物質に汚染されたミルクを飲み続けていたからだ。周辺は農村地域で、当時は食糧の流通システムも発達しておらず、住民たちは地元農村で採れたものを口にしていた。こうしたことに加えて、(放射性物質が甲状腺に害を与えるのを防ぐ)ヨウ素剤も十分に行き渡らなかった。つまり、原発事故直後に本来取られるべき措置のすべてが取られなかったのだ。
これに対して、福島原発事故では、日本政府の説明下手という問題はあるが、放射能汚染リスクへの対処はきちんと行われていると私は考えている。
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枝野さんは一生懸命やっていると思うが、やはり専門家ではない限界がある。放射能のリスクについてかみ砕いて説明できるこういう先生を節目節目の発表の席に同席させて、伝えて頂ければずいぶんと違うと思うのだが・・・。
また、「放射能汚染不安」で価格が暴落したり、値がつかない野菜や魚、これが株式などの金融資産なら絶好の買い場だから今買って将来売りぬけることもできるが、生鮮食料品ではそのような投資機会には結びつかないのが、残念だ。