米国の金融ビジネス規制の改革が必要であることは著書の中でも強調してきたが、現状は間違った方向に走っているかもしれない・・・と感じさせる記事が、WSJに載ったので記録しておこう。
 
Overhaul Grows and Slows. Dated May2. 2011
 
The Dodd-Frank law has 849 pages, compared with 66 pages in the Sarbanes-Oxley Act, a 2002 law that
overhauled accounting rules following the Enron scandal. The landmark Glass-Steagall Act, which created
the Federal Deposit Insurance Corp. and barriers between commercial and investment banking during the
Depression, was a slim 34 pages.
 
金融ビジネス規制に関するDodd-Frank法案のこの膨大さのゆえに、所轄官庁では法案内容を実効に移すためのルール制定が著しく遅延していると記事は書いている。
And about 62% of the 387 sets of rules required by the law haven't even been proposed, according to law
firm Davis Polk & Wardwell.
"The reality is, we're not going to complete all the work in the timetable Congress set," Scott O'Malia,
a commissioner at the CFTC, said in an interview.
 
問題が生じると対策ルールが設定され、そのたびにルールは複雑、膨大なものになって行く。米国に限らない現代社会の共通現象だ。マーフィーの法則に「ルールブックの厚さは累乗的に増加する」という法則を加えるべきだろう。
 
先日宴会に参加した銀行、証券の後輩達も、この点をこぼしていた。
とりわけ米国では、監督官庁で規制ルールを制作した担当官が、政府を離れてからその規制に関するコンサルタントやロビーストになって食っていく例が実に多い。彼らは「この規制については私が一番詳しい。なぜなら私がそれを作ったからだ」 とぬけぬけと言う。
 
いや~まいりますね。組織ぐるみの力でお世話しないと天下り先を確保できない日本の役人さんより、ずっとしたたかとも言えるが、世の中を非効率化するばかりだね。