腸を鍛えてやせる、健康になる」(丁宗鉄、主婦の友社、2011年)を読んだ。
とてもわかり易く書いてあるので、あっという間に読める。もとより私は医学は素人だから、内容の医学的な是非はわからないが、説明は論理的であり、自分の経験に照らしても納得できる。
 
著者の丁先生は、漢方を含む東洋医学に通じた日本薬科大学の教授、著書のメッセージを思いっ切り凝縮すると以下の通り。
 
「現代人の食生活は、やわらかい、甘い(糖質)、冷たいものに傾斜し過ぎており、そのため腸の機能が劣化してしまっている人々が多い。腸は実は免疫機能の基でもあり、腸機能の劣化が様々な心身の不健康症状(未病)や病気の原因になる。逆に腸を鍛える食生活をすれば、あなたの健康、身体管理能力はぐんと向上する」ということだ。
 
象徴的に言うと、ランチや間食にコカコーラ(糖分の多い清涼飲料水)をぐびぐび飲んで、ポテトチップ(糖質)をばりばりとほうばるようなことをしていれば腸機能が衰弱して、寿命を縮めるということだ。直感的には「健康に悪そう」と感じていたことだが(私は間食はほとんどしない)、具体的な症例に基づいて「なぜ悪いか」が説明されるので、深く納得できる。
 
冒頭で説明される「虚証」「実証」という体質の類型分けもわかり易い。もちろん東洋医学的な経験知であり、どちらの類型かによって、身体に良いこと、悪いことは違ってくる。江戸時代の貝原益軒の「養生訓」も紹介される。東洋医学的な経験知と西洋医学的な分析的な説明が、上手に組み合わされて展開するので納得してしまう。
 
私自身はエコノミストなので、データや図表で読者を納得させたいと思うのだが、そうした議論に馴れていない読者は難しく感じるようだ。う~ん、この丁先生のわかり易い説明法は、ちょっと真似したいな。 次作本でやってみようと思う。