1ドル=85円近辺まで円安に戻ったが、その後、米国の回復過程、特に雇用の回復がやはりスローであるデータが出たり、欧州でギリシャ問題が選挙の結果、再び不安定化し、世界の投資家のリスク・オンがまたオフの方向に変化してしまい、株価は下落、79円台の円高まで戻った。米国株価に比べて、日本株は特に力がないね。もう2月の水準まで戻ってしまった。
 
前回、円相場について書いたときは、クレジスイスのFXアナリスト深谷さんが、彼が「4-6月にもレンジは85-90円円にシフト」と予想を円安に修正したことを紹介したが、とりあえず深谷予想は外れている。
 
私のスタンスは、上記の深谷予想を紹介して、以下のようにコメントした時と今もあまり変わっていない。
 
「ドル短期金利の上昇が年内は見込まれない状況で、どこまでドル相場が上昇するかはちょっと微妙だと私は感じている。・・・仮に2013年後半に超低金利解除と想定しても、2012年前半時点でのドル相場の対円での目立った上昇は、やや時期尚早の感じもする。
しかしながら、短期・中期の相場変動は過去の平均的な傾向からのブレは大きいので、このまま4-6月には85-90円という変化も、あり得るセカンド・シナリオとして留意しておこう。」
 
まあ、ポジション的には円安に動いた方が、私も円ベースで儲かるので円安が嬉しいことには違いないが、ポジションはポジション、相場は相場である。 やはり昨年の夏、日本経済新聞の経済教室の論考で書いた通り、日米の実質金利差とドル円の短期・中期的な相関関係を踏まえて、FRBが現在のドル金利政策(事実上のゼロ金利)を解除することが具体的に見えて来るまでは、大きな円安は期待薄なのだ。
 
ところで、日本経済新聞の田村正之(編集委員)が今日(5月15日)の紙面で「円高の寿命と円安の波」という論考を書いている。
 
田村さんの記事、過去の円高円安のトレンドを変化の幅と持続期間を示した表にしている(以下添付)。現在の円高は持続期間では59か月で既に1990年代前半の最長記録61か月に迫っているので、「そろそろ終わっても良いんじゃない?」というのが通俗的な感覚であろう。
 
しかし、個別のトレンドがどの程度の幅と期間で終わるか、それについては信頼できる規則性はない。過去最高を更新したって何の不思議もないとも言えるのだ。
 
(以下の表、現在の局面の円高が80円になっているのは、なぜだろう?75円台まであったでしょ。月次の平均相場を使っても76円程度まであったはず・・・・(・・?))
 
私のポートフォリオ時価総額は、戻りのピークから凹んでしまったが、昨年より底は上がっている。これはインカム・ゲインの累積のおかげだ。やはり大きなキャピタル・ゲインを期待できない環境ではインカム・ゲインを累積できるポジションが良いね、と思う。 
 
デイトレ・バクチやっている方々にはインカム・ゲイン、インカム・リターンのセンスってないでしょ。バクチと投資の相違の一つは時間価値の有無だ。投資は時間がインカムを生む。 この点、為替のスワップ・ポイントに誘引されて円売りキャリーやった方々は、幻想のインカム・リターン(スワップ・ポイント)に騙されただけだ。
 
高分配投信なんて買っている方々も、目覚めて幻想ではない本当のインカム・ゲインを志向すれば良いのに・・・・カモのままゆっくり煮られていくんだね。