中国経済の変調について、facebookでは気になる報道を掲載、コメントしてきたが、まとめて以下に新しい順に3つ掲載しておく。
1、日本経済新聞、10月7日付朝刊、日曜日に考える
「中国、製品デフレの足音、国有企業、過剰投資のつけ」
引用:生産設備過剰は、リーマン・ショック後の景気刺激策で急拡大した建機業界に典型的に表れる。昨年後半に金融引き締めなど急ブレーキを踏んだ結果、コマツなど外資は前年比で売り上げ半減が続いている。
ところが品質面で劣る中国メーカーの売上高はわずかだが、伸びている。単なる値引きにとどまらず、頭金を販売価格の1~2割に抑え込み、低利融資付きで押し込み販売を繰り広げている。なかには頭金ゼロも多いという。財務は悪化し、油圧ショベルで中国販売がコマツを抜いた三一重工の場合、6月末の借入金が約270億元(1元=12.4円)と年初比50%も増えている。未収金も年初比倍増だ。
在庫の山をさばききれないのか、7月初めに3割の人員削減に踏み切ったと報じられている。建機に限らず人員整理は中国全土に広がり、反日デモ参加者の多くはこうした失業者だったもようだ。
国家トップの交代する共産党大会を11月に控え、富士通総研の柯隆主席研究員は「大胆な政策は採りきれない時期」と分析する。そのうえで、柯氏は「中国の過去10年は失われた10年と言われるようになる」と指摘する。温家宝首相が率いる国務院(政府)は国有化された企業群問題など「改革」にまったく手をつけてこなかったからだという。
確かに、過剰生産設備を競って作った主役は国有企業。各地の共産党幹部が出世競争の実績作りのために、工場誘致に狂奔していたといわれる。市場メカニズムが働かなかったツケがいま、深くて長い停滞につながりかねない局面にきている。
コメント:
今年の中国経済はいよいよ大きな変調をきたし始めたと思う。あらゆるバブルは時間をかけて成長し、ゆっくりと腐り始め、そして急激に崩壊する。柯氏は過去10年が失われた10年になると言っているが、逆だろう。これから待ち受けていることが「失われた10年」ではなかろうか。
多党制の民主主義政体ならば、経済成長が失速、頓挫しても、政権が交代するだけで、社会的な暴動や内乱、分裂になることは普通ないが(せいぜいゼネストがせきのやまか)、旧ソ連邦の例を始め独裁的な政体(個人独裁か一党独裁か違いは多少ありますが)の下では、経済的な失速、頓挫が暴力的な政変にもなりかねない・・・というのが大きなリスク。
世界銀行が中国の高度成長は、固定資本形成(官民の建設や設備投資)への依存が高過ぎて、長期的に持続不可能である点を強調したレポートを出したのは、私がワシントンDCにいた2004年だったと思う。
当時、WDCのシンクタンクの中国経済をテーマにしたシンポジウムでも、フロアーから「中国の建設ブームはいつバブル崩壊するのか?」という率直過ぎる(?)質問を中国政府のスピーカーにぶつける人もいた。もちろん、中国のスピーカーは「全然バブルじゃない。必要な建設が行なわれているだけだ」と対応していた。
当時、WDCのシンクタンクの中国経済をテーマにしたシンポジウムでも、フロアーから「中国の建設ブームはいつバブル崩壊するのか?」という率直過ぎる(?)質問を中国政府のスピーカーにぶつける人もいた。もちろん、中国のスピーカーは「全然バブルじゃない。必要な建設が行なわれているだけだ」と対応していた。
今年の中国経済はいよいよ大きな変調をきたし始めたと思う。あらゆるバブルは時間をかけて成長し、ゆっくりと腐り始め、そして急激に崩壊する。柯氏は過去10年が失われた10年になると言っているが、逆だろう。これから待ち受けていることが「失われた10年」ではなかろうか。
多党制の民主主義政体ならば、経済成長が失速、頓挫しても、政権が交代するだけで、社会的な暴動や内乱、分裂になることは普通ないが(せいぜいゼネストがせきのやまか)、旧ソ連邦の例を始め独裁的な政体(個人独裁か一党独裁か違いは多少ありますが)の下では、経済的な失速、頓挫が暴力的な政変にもなりかねない・・・というのが大きなリスク。
そのリスクを最も恐れているのが中国共産党の幹部達でしょうね。 彼らが私財を海外に移転するのもよくわかる。
追記:10月16日WSJ記事
A Wall Street Journal analysis of that data suggests that in the 12 months through September, about $225
billion flowed out of China, equivalent to about 3% of the nation's economic output last year.
1年間で20兆円の流出、この推計が正しければ凄い規模だね。
2、SankeiBiz 9月28日
「闇金融」破綻に中国動揺 経済低迷で不良債権急増「すべてはペテンだった」
引用:「仏銀大手ソシエテジェネラルによると、中国の闇金融の規模は推定で2兆4000億ドル(約186兆円)に上り、中国の正規金融融資市場の約3分の1に上るとみられる。ソシエテジェネラル(香港)のアナリスト、ヤオ・ウェイ氏は、中国の闇金融のデフォルトが最大2兆元(約25兆円)に達すると試算している」
コメント:
中国の「国家資本主義モデル」
国有銀行は政府が直接コントロールできるとしても、闇金金融はコントロールの外、一種のシャドーバンキング部門だ。それが過去20年間の「改革開放政策」のもとで膨張してているらしい。それが崩壊すると・・・・テイクノートしておこう。
国有銀行は政府が直接コントロールできるとしても、闇金金融はコントロールの外、一種のシャドーバンキング部門だ。それが過去20年間の「改革開放政策」のもとで膨張してているらしい。それが崩壊すると・・・・テイクノートしておこう。
闇金は国有銀行から金を借りることはできないはずだから、その原資は個人から集めた金だろう。この推測、試算が概ね正しいか、あるいはそれ以上のデフォルト規模になれば、巨大なインパクトになる。
3、A Chinese Mega City Is On The Verge Of Bankruptcy
Submitted by Tyler Durden on 09/27/2012 18:29 -0400
http://www.zerohedge.com/news/2012-09-27/chinese-mega-city-verge-bankruptcy
http://www.zerohedge.com/news/2012-09-27/chinese-mega-city-verge-bankruptcy
オリジナル記事:the South China Morning Post, which cites researchers at Sun Yat-sen
University, this city is now on the brink of bankruptcy.
コメント:上記記事、商業ビルや住宅を国有銀行からの借り入れで莫大に建設し、そのレントを財政収入にして、大判振る舞いしてきた市町村が、経済失速でレント収入の急減に直面し、財政赤字となり、返済不能になりつつあるという事例紹介。おそらく紹介事例は氷山の一角
開発依存型不動産バブルが大規模に崩壊しつつある・・・ある意味では典型的なバブル崩壊だが、途方もない展開になりそうな気がしてきた・・・・もしかすると「100年の一度のこと」がこれから先に待ち受けているのかもしれない(^_^;)
(←ホームページ、リニューワルしました(^^)v)
最近facebookでの書き込みを活発化しております。本ブログのリピーターの方はfacebookでお友達リクエストをして頂ければ、つながります。
コメント