本日の日経新聞に日本のバブル末期との類似性を感じさせる記事が載っているので、記録のために一部引用掲載しておこう。
 
中国地方政府、危うい調達、金融商品で個人から資金、銀行融資を超す規模、投資家に返済されぬリスク
 
【上海=土居倫之】中国の地方政府が信託や債券など銀行を経由しない資金調達を急増させている状況が鮮明になってきた。成長鈍化の局面で不良債権化を恐れる銀行が融資に消極姿勢を強め、高速道路や区画整理などインフラ事業のための借り入れは困難。このため信託などを通じ、相対的にリスク意識が低い個人からの資金で財源確保を狙う。だが事業採算が悪化すれば投資資金が返済されない可能性もある危うい手法で、規制強化論が浮上している。
 
中国人民銀行(中央銀行)は積極的な金融緩和に踏み切ったものの、中国政府は一部を除き、地方政府に銀行などからの資金借り入れを禁じる。地方の資金調達は傘下の地方融資平台(資金調達のためのプラットフォーム会社)と呼ばれる企業が代行する場合が多いが、銀行はリーマン・ショック後の4兆元景気対策で膨張した地方融資平台の負債を警戒する。
 
 免許制度を通じて当局が厳しく監督する銀行より規制が緩く、当局がリスクを把握し切れない点も課題。「中国のシャドーバンキングは金融システム危機の原因になり得る」(中国銀行の肖鋼董事長)、「監督を強化していく」(中国銀行業監督管理委員会の尚福林主席)などという声も出ている。
 
英米格付け会社フィッチ・レーティングスは5日、こうした金融商品の残高が2012年末で13兆元と中国の預金残高の16%に達するとのリポートを発表。「中国の金融システムのリスクが高まっている」と警告した。
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日本も80年代後半から90年代初頭の不動産バブルの末期に、当時大蔵省が不動産の高騰を抑制するために銀行に不動産関連融資の総量規制を1990年3月に発動した。内容は次の2点だ。
  1. 不動産向け融資の伸び率を総貸出の伸び率以下に抑える(総量規制)
  2. 不動産業、建設業、ノンバンク(住専含む)に対する融資の実態報告を求める(三業種規制)
ところが、農林系金融機関と住宅金融専門会社を規制の対象としていないという抜け道を残してしまった。農林系が対象にならなかったのは、農林系は管轄が大蔵省ではなく、農水省だったためかもしれない。 
 
また、住専は資金調達を銀行からの借入に依存していた。そのため住専は不動産融資を拡大できても、その資金を銀行は融資できなくなった。そこで銀行は農林系金融機関に住専に金を貸すように工作したわけだ。その結果、莫大な資金が農林系→住専→不動産投機に流れ、バブル末期の最後の狂宴をやったわけだね。
 
91年をピークにした不動産バブル崩壊とともに住専の融資は回収不能となり、住専を破綻させれば、農林系金融機関に莫大な損失が生じることになった。その結果、住専の母体銀行で全部損失をかぶれと主張する農林系と、それを拒む母体銀行の政治家を動員した一大バトルになった。
 
2000年代の米国の住宅ローン証券化バブルもそうだが、政府は銀行を管理監督しても、抜け穴をみつけて「バブルへGo!」という現象が、バブル末期のクライマックスに登場するようだ。
 
竹中正治HP
http://masaharu-takenaka.jp/index.html (←ホームページ、リニューワルしました(^^)v)
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