日本のREIT市場が2006年から07年にかけてバブル的な高騰をした後、2007年夏のサブプライム危機を経て、2008年9月のリーマンショック後に暴落したことは、みなさんご存じだろう。(以下、東証REIT指数、過去5年)  
 
2006年~07年夏までは、内外の不動産ファンドからヘッジファンドまで都心の収益不動産の買いに殺到した。当時私はREITは「割り高過ぎ」と判断して全く保有していなかったが、このミニバブルのおかげで、マンションを2戸(ひとつは母の名義)高値圏で売り抜けることができた(買い手はいずれも大手デベロッパー・グループの不動産仲介業者で、在庫仕入れのために自己資金で買っていた)。
 
さて、昨年暮れからの東証REIT指数の上げ幅は既に20%に達している。それでも、2008年~09年に暴落したことはついこの前のことだから、投資家の記憶にも焼きついていて、当分はバブル的な高騰にはなるまい・・・と思っていた。
 
しかし、そうでもないかもしれない。のど元過ぎれば熱さを忘れるのたとえで、比較的近い将来にまたバブル的な高騰をやってくれるかもしれないという気がしてきた。
 
その理由は、今週号の週刊エコノミスト(2月5日号)の記事「上昇を続けるアジアREIT、中国含む投資マネー流入が押し上げ」(増宮守、ニッセイ基礎研究所)を読んだからだ。
 
引用:「アジアでは現在、シンガポールと香港のほか、マレーシア、タイ、台湾、韓国、フィリピン、パキスタンで上場REIT市場が整備されている。・・・銘柄数は年々増加し、現在では計約100銘柄、時価総額では820億ドルと日本のJ-REITの510億ドルを上回る規模まで成長している。」
 
「2012年にはシンガポールのREIT市場の全体動向を示すSTREIT指数が米ドルベースで45%上昇した・・・・」
 
「加えて重要と見られる要素は、中国本土の富裕層の動向である。(中国本土では政府の規制強化で)国内不動産への投資がし難くなるなかで、シンガポールや香港の不動産に向けて中国本土富裕層の資金逃避が加速したとも考えられる」 
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増宮氏のレポートは、以下のニッセイ基礎研究所のサイトでも読める。
 
引用:「2012 年、価格推移の強さが目立った投資対象のひとつにアジアREIT(不動産投資信託)を挙げることができる。アジアの株式市場は総じて好調であったが、代表的なアジアのREIT 指数は各国の株価指数をさらにアウトパフォームした。

価格上昇の背景には、グローバルに広がるカネ余りとリスク意識の高まりがあり、アジアREITは
比較的安全な資産として、リスク回避資金の受け皿になったと考えられる。また、グローバルREIT
ファンドのポートフォリオウェイト引き上げによる価格上昇圧力を受けたほか、中国でもカネ余りが
広がるなか、一部の中国資金がアジアREIT に向かったとも考えられる。
アジア REIT の国別内訳では、シンガポールと香港が約8割を占める。」
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アジアのREIT市場は急成長したと言っても、たかが数兆円に過ぎない。ホットマネーが流れ込めば、沸騰してしまう。投資先を広げるために日本のREIT市場に流れ込むのも時間の問題・・・いや、既に流れ込んでいるのかもしれない。
 
ありがたいことだ。バブルになるためには、割高にもかかわらず、買い上げてくれる投資家層が必要だ。今回、それをチャイナマネーを中心にアジアの投資家がやってくれるかもしれない。
以前紹介した通り、REIT市場全体の割安、割高はP/NAV(Price/Net Asset Value)で判断できる(以下サイト参照)。
 
既にJ-REITは割安を解消し、1月時点でP/NAVは1.0を超えて来た。どうぞチャイナマネーで存分にバブッてください。高値圏で売り抜かせて頂きま~す(^^)v
 
補足:「今から買っても間に合いますか?」なんて愚問はしないでくださいね。
 
追記(2月1日):REITの割安割高を判断する指標としてのP/NAV指数は、株価でいうとPBRに似ているが、株価のPBRがbook value(簿価)であるのに対して時価評価を使っている点が異なる。しかし計算が厄介だ。
 
紹介したT-Maxのサイトは全REIT銘柄の個別のP/NAVを算出して、加重平均しているのだと思う。とても作業に手間がかかるので、お金でもくれなきゃ自分ではやる気になれない。
もっと簡便な割高・割安の判断法はないか?
 
そこで、住宅価格でやった手口(PRR: Price Rent Ratio)を使ってみた。日本のREITの大半は都心部の商業ビルだから(住宅やその他もあるが)、東証REIT指数(価格指数)を商業ビルの賃料指数で割れば、PRRと同様の指標になる。 賃料指数は、三幸リアルエステートの東京都心3区の商業ビルの賃料指数を使った。
 
その結果は以下の図の通り、2003年以来の割安、割高局面が概ね判断できるイメージになった。2012年の第4四半期の賃料指数がまだ出ていないので、第3四半期と同じとしてある。
 
これを見ると、既に1月末時点で東証REIT指数のPRRは2003年以来の平均値を越えており、割安圏から割高圏に移行した。あとはどこまで平均値から上に乖離するかだ。
 
こりゃあ楽しみな展開になって来た。このPRRとP/NAVを見ながら、高値圏を分割して売り抜けることにしよう! チャイナ・マネーさん、高値でのお買い上げ、よろしくお願い致しま~す。(^o^)丿
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竹中正治HP
http://masaharu-takenaka.jp/index.html (←ホームページ、リニューワルしました(^^)v)
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