「市場の価格形成は短期的・中期的には非合理的でファンダメンタルな価値から大きく乖離するが、長期的にはファンダメンタルな価値に回帰する。この乖離と回帰の波を利用できれば、長期的な投資のリターンを向上できるはずだ」
 
これは新著「稼ぐ経済学~黄金の波に乗る知の技法~」(光文社、2013年5月)の中核的なメッセージだ。  (クリックでアマゾンにとびます↑)
 
昨年暮れ以来のREIT相場の急騰と5月の反落は見事にその実例になった(本書5章でREITの割高・割安の見抜き方も扱っている)。
何度も紹介しているが、REITの割高・割安を見抜くP/NAV指標、5月末時点のものが以下に開示されている。
 
今年2月20日のロイター社コラムに寄稿した私の論考「REITバブル、再来の可能性」は以下でご覧いただきたい。
 
引用:「REITは、本来は短期的なキャピタルゲインよりも配当利回りを目的とした長期投資の手段だ。しかし、市況がミニバブル的な高騰をするならば、長期保有の投資家にとっても割高局面ではある程度売り抜くのが合理的な選択だろう
 
インカムの源泉が不動産の賃料のみで、配当可能利益の90%を配当することで法人税を免除されているREITの収益構造は一般企業に比べるとはるかに単純だ。にもかかわらず、これだけのバブル的な高騰と暴落を招いてしまうということは、投資家サイドの集合的な合理性に致命的な欠陥があるということだろう。しかし、市場の非合理性は、冷静な眼を持つ長期投資家にとっては絶好のチャンスでもある。
 
のど元過ぎれば熱さを忘れる」の例え通り、日本のREIT市場が再びミニバブル的な高騰を起こす可能性が高くなるだろう。割安圏でREITを購入できた投資家には、楽しみな局面となってきた
 
上記論考で指摘した通り、J-REITはあっと言う間にミニ・バブル的高騰となり、5月に「泡」が破裂した。
予想通りでなかった点は、新たなfoolish moneyの買手の主体が、アジアの新興国マネーではなく、投資信託と銀行マネーだったことだ。
 
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追記訂正(6月24日):4月にREITをバカ買いしたのは海外マネーだった!
不動産証券化業界の6月のレポートを見てわかった。
4月にREITを700億円もバカ買い(買い越し額)したのは海外投資家だった。
どの地域の海外かまではわからないが、私が2月に「中国を含むアジアの新興投資家のマネーが日本でもREITの新たな買手に加われば(すでに流入しているのかもしれない)、「のど元過ぎれば熱さを忘れる」の例え通り、日本のREIT市場が再びミニバブル的な高騰を起こす可能性が高くなるだろうという予想は、買い手の指摘まで含めてドンピシャだったことになる。
不動産証券化協会6月のレポートは以下(13ページ)
上記図表のオリジナルデータは東証の以下のサイト
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今回の高騰局面で私は2009年から12年に買った自分の保有REITの9割近くを売った。女房に昨年買わせた分も3月に売った。
 
さて、反落したREIT、予想配当利回りは再び3%台から5%台の分布レンジに上がったが、ここからまた買うか? あまりそんな気はしないな。P/NAV指標は反落したとは言え、1倍を超えているからね。超割高が修正されても、まだ割高圏だ。以下REIT一覧サイトご参照
 
株やREITの利食いでポートフォリオの現金比率が上がったので、中古マンションをまた一戸買おうかと思って、仲介業者に声をかけてあるのだが、売り手は強気になり始めているし、買手の方は積極的になっているようで、魅力的なリターンの物件が出てこない(^_^;)  昨年までとは明らかに市況が変わっている。
まあ、いいや、しばらく各種相場の動向を見ながら、様子見としましょうかね。
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