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論考タイトル
:「相場乱高下でも勝ち越す個人投資家のための知恵」

1990年以降の日本株は、インデックスファンドで定額積立投資を続けてきても、これまではマイナスのリターンでした。
そのためでしょう。「日本株は短期トレードしかない」とか「銘柄選定に賭けるしかない」とか感じている人が多いようです。
しかし本稿で定式化してご提案しているような「修正定額積立投資」をしてみると、過去20年の日本株でもプラスのリターンが得られます。

私自身が実践している「不況期に買い下がり、好況期には売り上がる」投資法を、景気動向に疎い方にもできるような形に単純化した投資法です(^^)v
 
以下の図表は、上段が通常の定額積立投資の運用成績で、今年6月末時点の相場でもプラスに転じていません。 下段が修正版定額積立投資の運用成績で、リターンが向上しているのがお分かりになるでしょう。 詳しくは雑誌をご購読頂きたいが、一部だけ以下に引用しておきます。
 
引用:「私のやり方は逆転の発想で『持ち値にこだわり、損切りができず、評価益が出ている時にしか売れない』という個人投資家の弱点をそのまま強みに転じることだ。やはり毎月末にTOPIX連動のETFに定額積立で買うことを基本ルールとしよう。毎月投資する基本額を1単位とする(例えば1万円)。追加のルールとして「安く買って高く売る」条件を加える。ただし裁量的なルールでは、当たるもはずれるも運次第になるので、次のように決める。

資産価値/累積投資額が0.8を下回ったら(相場が下がっているので)毎月末の購入金額を3単位(例えば3万円)に増やす。反対に資産価値/累積投資額が1.2を上回ったら、その月は購入を停止して2単位分(例えば2万円)売る。この投資ルールには利食いしかない。その代りに大きく下がった時にはコンスタントにナンピンすることになる。
 
この投資による結果を示したのが図3(ここでは下段の図)である。黒字の累積投資額は株価高騰局面で下がり、逆に株価下落時には買い増すので勾配が急になる。キャピタル・ロスの期間と幅は図2よりも短く、小さくなっている。また2013年6月末時点の資産価値/累積投資額は1.19であり(キャピタル・ゲイン19%)、完全定額積立投資の0.95(キャピタル・ロス5%)よりも向上している。
 
もっともこの手法もいかなる相場動向にも万能というわけではない。相場が大きな上下動を伴いながら長期趨勢は横ばいに近いか、あるいは若干の下落基調だった90年代以降の日本株の動向に適応した投資法に過ぎない。趨勢的な上昇基調の米国株でこの投資法を実施すると途中で売り尽くしてしまうので、売らずに毎月買い続ける普通の定額積立の投資結果(図2)の成績の方がずっと高くなる。投資とは大局な相場環境に適応しながら将来の不確実性と対峙するゲームなのだ。」
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