本日の日本経済新聞M&I「積立投資 今期と工夫」(北沢千秋編集委員)で私のインタビュー内容(修正積立法)が紹介されています。
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140806&ng=DGKDZO75262240V00C14A8PPE000

日本株については、定額積立法で1990年から毎月投資しても、その投資リターンは例えば10年物国債投資より低い、というハイリスク・ハイリターンの原理に反する状況が長期に持続してきました。

そうした状況に対するひとつの対応として「修正積立法」を考案し、このブログと雑誌(エコノミスト)で過去説明・提案してきました。

記事引用:「(4)や(5)のパターンで収益率が高かったのは、ドルコスト平均法の特徴である「高値づかみの回避」と「安値拾い」がうまく機能したからだ。

この機能をさらに生かせば投資効率の向上が期待できる。龍谷大学の竹中正治教授が提唱する「修正積立法」だ。

方法は、月末に評価損が2割を超えていたら投資額を4倍の4万円にして、反対に評価益が2割を超えていたら2万円分のファンドを売却する、というもの。評価損益率で機械的に投資額を決めるので、主観が入る余地はない。

実際には資金の制約もあるので、評価損が2割を超えたときの投資額は2万円として、日経平均連動型ファンドに10年前から積立投資したケースを試算した(表C)。 結果は累積投資額が131万円で、最終的な資産額(ファンドの評価額と売却益合計)は約183万円。年率リターンは3.5%に改善した。

日経平均が8000円台で低迷したのはリーマン危機後のように、市場が総悲観に陥っているとき。そんなときに買い増すのは勇気がいるが、「株式は不況期に安値で買い、好況入りした後に高値で売る」のが竹中氏の考え方。「米国株のように長期的に右肩上がりの上昇が期待できない日本株で投資効率を上げるには工夫が必要」と主張する。」
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記事に書かれている通り「株式は不況の時(自分の株価ポートフォリオが評価損を出している時)に買い、好況の時(評価益になっている時)に売る」が私の投資原理、簡単なことなんですが、なぜかできる方は少ない。やはり人間って「目先のニンジンを追いかけるバイアス」が強く働いているからでしょうね(^_^;)
 
提唱しておきながら言うのもなんですが、この投資方針が普及して多数派になることは、まずないだろうと私は確信しています。 その最大の理由は、目先の短期的な利益を追いかけるという人間の本性に根ざしたバイアスに人間の多数派が支配されているからです。
 
「株式市場の平均的な投資リターンを上回るような投資手法が開発されても、それはすぐに真似されることによって必ず有効性が消滅する」 これは効率的市場仮説が核にしている命題です。ところが人間には長い進化の過程で形成されたヒューリスティック(heuristic)な思考法、選択法に支配されていますよね。 
 
このヒューリスティックなバイアスというのは、ほとんどDNAのレベルに根ざしているから、合理的な思考法を教育されても、多数派の人間はそのバイアス(例えば「目先のニンジン・バイアス」)から逃れることができない。従って真似できない有効な投資法が存在する余地がある、というのが効率的市場仮説の命題の「大穴」だという結論に私は辿りつきました。 
 
逆にいうと「目先のニンジン・バイアス」からある程度解放された人間は、長期投資で市場平均を上回る投資を実現できるチャンスがあるというこになります。 というわけで、「目先のニンジン・バイアス」の克服が人生における重要な修行課題というわけです。投資に限ったことじゃありませんがね。
 
私もまだまだ修行途上、がんばりましょう(^。^)
 
修正積立投資法に関しては過去のブログ、以下ご参照
 
 
「目先のニンジン・バイアス」は私の表現ですが、以下の図書が参考になります。
 
追記(8月10日):上記の日経記事がweb版10付けに再掲され、「マネー記事」のアクセスランキングのトップになっている。http://www.nikkei.com/money/features/37.aspx?g=DGXMZO7526224005082014PPE001&df=1
 
 
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