米国の株価指数S&P500のオプション・ボラティリティを指数化したVIX指数が先週金曜日のNY引け値で21%に達した。
 
 
当ブログのリピーターの方々は思い出して下さるだろうが、VIX21%という水準について、私は7月の当コラムとYahooニュース(個人)で次のような語っている。
http://blogs.yahoo.co.jp/takenaka1221/19227124.html (今年7月の当ブログ)
 
引用:「VIX指数には投資家のリスク許容度の指数としての意味もあり、投資家のリスク許容度が拡大している時(投資家のオプション購入需要は減少する)は下がり、リスク許容度が縮小している時は(投資家のオプション購入需要が増加する)上昇する。
 
昨年9月頃までは16~17%だったVIX指数は、その後株価の続騰に連れて低下し、7月16日の引け値は歴史的にも11.0%と極めて低い水準となった。翌日のウクライナでの民間航空機撃墜の報で一瞬15%まで急騰したが、18日金曜日のNYでは12%近辺まで再び下がった。
 
ちなみに、VIX指数の2000年1月以来の平均値は21%である。
さて、更新した回帰分析の結果、現実値>推計値の乖離がほとんど消えたので、「現在の米国株価は過大評価ではない」と判断して良いだろうか? いやいや、そう能天気に楽観はできない。
 
なぜかというと、問題はVIX指数が超低位水準にあることだ。述べたとおり、VIX指数の2000年1月以来の平均値は21%だ。そして回帰分析の結果では、1ポイントのVIX指数の上昇は0.9%のS&P500の下落に対応している。この関係性は前回の回帰結果でもほぼ同様だから、比較的安定していると見ていいだろう。(回帰結果は下段の表、参照)
 
つまり7月16日に11%だったVIXが長期平均値の21%に戻るだけで、株価指数は9%も下落するのだ。もちろんこの関係性は確率的なものであり、バラツキがある。回帰分析が示す標準誤差は9.4%だ。これは2/3の確率で現実値と推計値の乖離はプラスマイナス9.4%の範囲に収まることを意味している。
 
以上、まとめると米国の景気回復が持続し、企業収益やEPSの改善トレンドが持続することを前提にしても、投資家層にとって「肝を冷やす」ような事態が起こり、VIX指数が長期の平均値前後に戻るようなことが起これば、株価が直近の高値から大雑把に言って10%前後反落しても、不思議でもなんでもないということになる。 」
 
太字までつけて強調した(後から太字にしたんじゃないよ。書いた当初から太字です)。
S&P500の10日(金曜日)のNY引け値は、高値から5%ほど下落している。だからまだ下げ余地はありそうだということになる。
 
過去のS&P500の反落を大雑把に頻度で分類すると次のようなめどができるだろうか(かなりアバウトです)。
 
直近高値から
5%前後の反落 : 小反落 (1年間に複数回)
10%前後の反落: 中反落 (1年に一回あるかないか)
20%以上の反落: 大反落・暴落   (数年に1回、例:2018-19年、2001-02年、1987年)
 
今回は中反落ぐらいまでいくだろうか?
その場合の方針は9月のロイター社コラムに書いた通り。
 
引用:「来年にかけて直近高値から5―10%程度の反落場面があれば、このヘッジ持高を手仕舞い、ヘッジ益を稼ぐつもりだ。もし幸運にもブラックマンデーのように30%も下落するような大暴落に遭遇したら、その時は手持ちのキャッシュをぶち込んで盛大になんぴんしようか。」
 
それでは皆様、Good luck !
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人
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