「ノウハウゼロでできる高率リターン投資とは?」
あれれ、なんだかあやしい手口で人を騙す詐欺サイトみたいなタイトルになっちゃいました。
しかし嘘じゃないから、このままにしておこうか。
 
12月はトムソン・ロイター社でのコラムはお休みにして、久しぶりに週刊エコノミストの方に寄稿しました。今月下旬の合併号で掲載されるはずです。その中でS&P500に日本の投資家が円投で(円資金をドルにして)毎月末に1万円定額積立投資した結果をグラフで描きましたので、ここでその部分だけ一部ちょろ出ししておきます。
 
「稼ぐ経済学~黄金の波に乗る知の技法~」(光文社、2013年)の中でも、長期でS&P500連動のETFか投資信託に定額積立投資をすれば高いリターンが期待できることをグラフ付きで紹介しました。その時の投資開始(起点)は1980年でした。
 
これを見て、「そんなに昔から、株価のまだずっと低い時代から投資しているから定額積立投資でも高いリ-ンが実現できるわけでしょ。今からやっても成功するかどうか・・・?」と感じた人もいるでしょう。
 
また、定額積立投資でも株価が低い時からスタートしないと高いリターンは期待できないのではないかと感じて、今の様に米国株価も上がってしまった後では手が出ないと指をくわえて見ている人もいるでしょう。
 
ああ、それ全くの勘違いです。
 
以下の上段の図は、2000年1月から円投で毎月1万円投資した場合の結果です。ご存じでしょうが、2000年1月はITバブルの真っ最中で、株価は当時目もくらむような高値圏にあった時です(ピークは2000年3月)。
 
定額積立は、投資のタイミング・リスクを平準化するもので、投資のスタート時点は投資のパフォーマンスにあまり関係がありません。むしろ株価が下がって評価損が出ている時に投資を継続することこそ、定額積立投資の強みを活かす条件なんです。
 
201410月末時点での投資結果は、累積投資額178万円、資産時価評価額318万円で、キャピタルゲインは140万円、率で約79%です。この投資の内部収益率(IRR)を計算すると年率約7.8%です。しかもこれに当該期間の平均配当利回り1.9%が加わるので、年率9.7%のリターンとなります。十分過ぎる成功じゃないですか? 
 
中段の図は19901月から同様の投資をした場合です。キャピタルゲインは率で約149%、内部収益率は6.9%(除く配当利回り)となります。この場合ですと評価損になるのはリーマンショックの後の短期間のみで、それ以外の時期はほとんど程度は違いますが評価益で推移していますね。
 
ただし私自身は定額積立投資はしていません。その代わりに「株式は不況の時にしか買わない。好況の時にしか売らない」というシンプルな投資原理を貫いています。これで日本株も米国株もOKです。株式投資って目先の動きを予想して、とりわけ上がりそうな銘柄を選ぼうとするケチな根性でするから難しくなるんですね。そして多くの場合、「骨折り損のくたびれ儲け」になる。
 
「日本は低成長で・・・」と嘆くなら、日本のようにデフレにならず経済成長率の高い米国への株式の長期分散投資こそが合理的な選択肢なんですね。実際、米国では年金プラン401Kなどで定額積立型の投資をしている家計や投資家は多く、米国での資産形成の有力な手段になっています。
 
このように全く機械的な定額積立投資でも米国株式指数連動の投資で高い投資リターンがあげられるのに、それを利用している日本の個人投資家は実に少ないですね。逆に為替相場の変化で長期的には相殺されてしまう僅かな金利格差に誘われて、信託運用会社などに高い手数料を払いながら、不毛な外債投資を繰り返してきたわけです。
 
とりわけ有害な役割を果たしてきたのが、米国の金融危機時に見られた過剰な「米国凋落論」の横行でしょう。横溢する悲観論が、危機・不況の時こそリスク性資産への千載一遇の投資機会であるという真実からいかに人々を遠ざけてきたことでしょうか。 そういう面で有名な論者の名前、実名はあげませんが、わかるでしょ(^_^;) 
 
最後にリーマンショック直後に出版した弊著「資産運用のセオリー」(光文社)の終章から引用して締め括っておきます。
 
「世間が『米国金融危機」『米国凋落』『世界株式崩壊』と騒いでいる今こそ、株式やREIT投資の千載一遇のチャンスだという『黄金の波』を見ることができるかどうか、そう思った時に投資する余力があるかどうか、これが長期の資産形成で成功と失敗を分かつポイントとなるのだ」(200812月)
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人
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