これは要する日銀による「バブル早期警戒指数」だ。
IMFやBISなどでもこの種の指標、指標群がいろいろ試行されている。 日銀も本格的に始めたってこどだね。
元FRB議長のグリーンスパン氏や効率的市場仮説で有名でノーベル経済学賞を受賞したユージン・ファーマ教授などは前者の立場なのだが、私には自己弁護のように思える。
グリーンスパン氏については2005年頃には住宅市場はバブルではないのか?という議論が公然化していたのに、そのリスクを過小評価して金融政策を行なっていたことに対する自己弁護。 ファーマ教授については自身の効率的市場仮説を前提にした理論モデルでは、バブルの発生とその崩壊による経済的な大変動を予想も説明もできなかったことに対する自己弁護。 私はBIS View派である。
日銀の指数は包括的で、セグメント化されたどの分野で「金融的不均衡が拡大しているか(=バブル化しているか)」わかるようになっている。 1990年代初頭に破裂した大バブルの後では、2006-08年の日本の不動産市場がやはりプチバブル化していたことがわかる。 日銀の金融研究のこういう実践的な志向性、高く評価したい。
発表頻度は6カ月に一度、頻度が低い。せめて四半期にして欲しいところだが、私は今後毎回チェックしようと思う。 以下の金融システムレポート(4月と10月公表)にヒートマップ(以下掲載図表)が掲載されるそうだ。
当面は「金融市場」のセグメントにおける株式関連のバブル信号に注意しようか。赤いのが一部チロチロと見えるね。 「資産価格」セグメントではまだ赤色は見えない(ただし2014年前半時点)。
長期投資の基本かつ極意は、リスク性資産を「バブルで売って、バブル崩壊で買う」 これに尽きるからね。
追記:日銀の手法を各項目毎に改めて読んでみたが、要するに長期的な移動平均からの確率的な計測で一定以上の上方乖離が生じると警告信号がが点灯するもので、手法としてはとてもシンプルだ。
これがバブル警戒信号として機能する前提条件は、経済のファンダメンタルな状態は相対的にスローに変化するものであり、それは短期的な変動が平準化された変数の長期的な移動平均値にある程度反映されるということだろう。
従って、移動平均値からの変数の乖離が一定の確率範囲を越えて上ぶれる(変数によっては下ぶれる)場合には、ファンダメンタルな条件からの乖離、すなわちバブル(「金融不均衡」という表現が使われている)である可能性が高くなると想定していることになる。
手法としては「単純過ぎるのでは?」という批判もあり得るだろうか。あるいは、熱に浮かされ易い人間がやってしまう行き過ぎ(オーバーシューティング)を警告するには、この程度のシンプルな手法でも十分という見方もできるかもしれない。