本日5月13日の日経新聞記事で報道されていた件、仕組みはシンプルな感じです。

JCER公表サイト↓
 
判断の基礎となる景気動向指数の先行指数CIが、数か月連続して低下し、その下げ幅が大きいほど景気後退確率が急上昇するように作成されていると説明されています。そしてJCER景気後退確率が2か月連続で67%(一標準偏差の変動域)を超えると景気後退の「早期警戒シグナル」が点灯したと見なすようにルール化されています。
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そうやって計算された景気後退確率と、内閣府の研究所で事後的に判断される実際の景気後退の過去の推移を比べると、2つのずれが目につきます。ひとつは2012年に起こったミニ景気後退、この時JCER景気後退確率は67%の早期警戒域よりかなり低い値のままで信号は点灯しませんでした。
もうひとつは2014年4月の消費税率引き上げ後の落ち込みです。 JCER景気後退確率は早期警戒シグナルを点灯させていますが、内閣府は事後的にも景気後退とは判定していません。

この2つのずれは、おそらくJCERでこの指標の作成に関わった人達にとって悩ましいものだったと思います。

もちろん、内閣府の景気循環の判断が絶対正しいというわけでもないでしょうが、内閣府の判断は数か月以上遅れて、全ての経済データが改定値も含めて全部でそろってから事後的に行うものなので、リアルタイムに近い形でシグナルを出すJCERの景気後退確率よりも「最終判断」として尊重すべきでしょう。
 
私の意見としては、2012年は景気変動に遅効的な雇用動向やその水準の低さ、現物不動産価格の下落等々を勘案すると「ミニ景気後退」と考えられます。一方、2014年は先行CIの下落幅は2012年に匹敵しますが、雇用の改善が途切れなかったこと、その水準も12年時よりずっと高かったことなどを勘案すると景気後退と判断しなくて良いのではないかと思います。

以下掲載図は日経新聞記事から

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