米国の超短金利差(5年物と2年物の財務省証券利回りが直近で僅かに逆転)したので「もう来年は景気後退か。株価は高値を見てしまったぁ!」というような雰囲気が広がっている。

私も長短金利差が次期の景気後退のシグナルになると書いてきたので、大局的な流れはそういう方向とは思っているが、直近の市場の雰囲気はちょっと気が早すぎるのではないかな。

株価の短期的な変動には下げだけでなく、まだけっこう上下動があると思っていた方が良いのではないかな。
 
FRBが開示している金利データ(FF金利と財務省証券利回り)で1976年まで遡って検証すると、景気後退期は5回あり(NBER景気判断)、長短金利逆転は6回ある(つまり1回、98年の逆転はダマシだった)。 以下掲載竹中作成図表参照

長短金利差として、①10年物-FF金利、②10年物-2年物、③5年物-2年物の3つで見ると、金利差逆転が起こってから景気後退が始まるまでの平均月数は、①14か月、②16か月、③16か月でとけっこう時間がある。つまり景気後退が始まるのは2020年の可能性が高いね。

もっともほとんどの株式投資家は気が早いのが行動特性だから、「もう高値は見てしまった。売りだ!」と反応するのは自然かもしれない。景気後退より前に株価が下げに転じるのが先であることも多い。

だけど、ベアー一辺倒で突っ込むと、短期的にはショートカバーを強いられる局面が来年ありそうな感じがする。もちろん、そこは売りだよということでもあるけどね。


参考論考、2018年1月のロイターコラム

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