たけなかまさはるブログ

Yahooブログから2019年8月に引っ越しました。

2013年07月

毎度のロイター社サイトでの論考です。
ただ今掲載されました。

ご覧になってよろしければ、ロイター社のサイトで「おすすめ」のクリックとかお願い致します↓ <(_ _)>

http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE96T02F20130730?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0
 
ポイント引用:「今年5月以降、それまで新興国に流入していたマネーフローが流出に転じ、これら諸国の株価も為替相場も下落に転じた。このことが世界経済の不安定化要因のひとつとして懸念されている。しかも、米連邦準備理事会(FRB)の量的金融緩和(QE)縮小見通しの表明がその原因になったという論評が多い。しかし、そうした理解は私には「原因」と「きっかけ」を混同しているように思える。
 
事実関係を見ると、新興国への資金流入の減少、あるいは資金流出の傾向は、FRBがQE縮小の可能性を表明する以前の今年2月頃から始まっている。
図を見てわかる通り、11年5月(緑のスポット)以降、OECD景気動向指数は中心軸の左側に移動し、対前年比較で景気が弱くなっていることを示している(後述するが興味深いことにロイター・ジェフリーズCRB商品指数が示す国際商品市況もほぼ同じ時期に上昇から下落トレンドに転じている)。
 
それに応じて、株価指数は下方向にシフトし、11年9月(黄色のスポット)には前年同期比でマイナスとなった。つまり、新興国の株価下落はこれら諸国の景気動向を反映したもので、今年5月のバーナンキ議長によるQE縮小の示唆発言よりずっと前に始まっていた変化だといえよう。
 
(米国の対外的なマネフローを見ると)、大きな変化を示している項目がある。証券投資以外の資金フロー、具体的には在米銀行のドル建て負債勘定が米国への資金還流方向に大きく動いていることだ。この項目での米国への資金還流額は4月999億ドル(約10兆円)、5月1380億ドル(約14兆円)と巨額なものとなっており、既述の証券投資フローより桁がひとつ大きい。
 
この還流規模はリーマンショック直後の08年10月に次ぐものだ。この項目は在米銀行の対外的な負債勘定であり、その資金還流とは在米銀行の一種の対外的なデレバレッジが起こっていることになる。
 
ここでいう「ドル売りキャリートレード」とはドル借入を負債サイドに置くもので、資産サイドには新興国の株式、債券、不動産、さらに金(ゴールド)や銅をはじめとする様々な資源系国際商品が載っている。ドル相場が上昇(現地通貨が下落)すると為替損が生じるリスクがあるが、負債(ドル借入)と資産(現地通貨建て資産や資源系国際商品)の期待リターン格差が拡大したことが、強い誘因となってドル売りキャリートレードが拡大した。その過程で、新興国では自国通貨相場の上昇、株価や不動産価格の上昇、ならびに国際商品価格の上昇などが起こった。
 
5月のバーナンキ議長のコメントに反応して上昇したのはドルの長期金利である。短期金利はゼロ近傍のままだし、それが引き上げられるのはどんなに早くても14年半ば以降だと見込まれている。ドル売りキャリートレードの負債サイドは通常は短期のドル借入であるから、まだ慌てなくても良いはずではないか。
 
投資市場とは欲望と恐怖のゲームの場である。次第に陰りが濃くなる新興国の景気や国際商品市況の低下に不安を感じながら、ドル売りキャリートレードの手仕舞いのタイミングに気をもんでいた投資家達は、今年5月に雪崩を起こすように手仕舞いに殺到した。そのきっかけは、ある意味では何でも良かったのだ。
 
大手ヘッジファンドが中国のシャドーバンキングに絡む投資で巨額の損失を出して行き詰ったという観測情報も、投資残高の手仕舞いに拍車をかけたのだろう。また、「FRBのQE縮小が投機マネーの縮小を招き、資産価格の下落につながる」という直観的な連想と恐怖に突き動かされた者もいただろう。
 
問題は、ドル売りキャリートレードの残高は一部が手仕舞われたとはいえ、どの程度残っているかだ・・・・」
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本日発売のエコノミスト臨時増刊号「大予測、株&景気」に投稿しています。
ご関心ございましたら、ぜひご購読ください。

論考タイトル
:「相場乱高下でも勝ち越す個人投資家のための知恵」

1990年以降の日本株は、インデックスファンドで定額積立投資を続けてきても、これまではマイナスのリターンでした。
そのためでしょう。「日本株は短期トレードしかない」とか「銘柄選定に賭けるしかない」とか感じている人が多いようです。
しかし本稿で定式化してご提案しているような「修正定額積立投資」をしてみると、過去20年の日本株でもプラスのリターンが得られます。

私自身が実践している「不況期に買い下がり、好況期には売り上がる」投資法を、景気動向に疎い方にもできるような形に単純化した投資法です(^^)v
 
以下の図表は、上段が通常の定額積立投資の運用成績で、今年6月末時点の相場でもプラスに転じていません。 下段が修正版定額積立投資の運用成績で、リターンが向上しているのがお分かりになるでしょう。 詳しくは雑誌をご購読頂きたいが、一部だけ以下に引用しておきます。
 
引用:「私のやり方は逆転の発想で『持ち値にこだわり、損切りができず、評価益が出ている時にしか売れない』という個人投資家の弱点をそのまま強みに転じることだ。やはり毎月末にTOPIX連動のETFに定額積立で買うことを基本ルールとしよう。毎月投資する基本額を1単位とする(例えば1万円)。追加のルールとして「安く買って高く売る」条件を加える。ただし裁量的なルールでは、当たるもはずれるも運次第になるので、次のように決める。

資産価値/累積投資額が0.8を下回ったら(相場が下がっているので)毎月末の購入金額を3単位(例えば3万円)に増やす。反対に資産価値/累積投資額が1.2を上回ったら、その月は購入を停止して2単位分(例えば2万円)売る。この投資ルールには利食いしかない。その代りに大きく下がった時にはコンスタントにナンピンすることになる。
 
この投資による結果を示したのが図3(ここでは下段の図)である。黒字の累積投資額は株価高騰局面で下がり、逆に株価下落時には買い増すので勾配が急になる。キャピタル・ロスの期間と幅は図2よりも短く、小さくなっている。また2013年6月末時点の資産価値/累積投資額は1.19であり(キャピタル・ゲイン19%)、完全定額積立投資の0.95(キャピタル・ロス5%)よりも向上している。
 
もっともこの手法もいかなる相場動向にも万能というわけではない。相場が大きな上下動を伴いながら長期趨勢は横ばいに近いか、あるいは若干の下落基調だった90年代以降の日本株の動向に適応した投資法に過ぎない。趨勢的な上昇基調の米国株でこの投資法を実施すると途中で売り尽くしてしまうので、売らずに毎月買い続ける普通の定額積立の投資結果(図2)の成績の方がずっと高くなる。投資とは大局な相場環境に適応しながら将来の不確実性と対峙するゲームなのだ。」
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「幸福の国」という虚構、ブ-タン

今日の日経新聞にブータンの記事が出ていたので気になって調べた。
「幸福の国」「国民幸福度指数:GNH」・・・うさんくさい話だと感じていたが、やはりね・・・の現実
人権を弾圧し、国籍まで奪う国に「国民の幸福」を語る資格はないだろう。
 
そもそも幸福とは個人が己の価値観に基づいて追求するものであり、国家がすべきことは、個人が幸福を追求するに際して必要とされる教育や就労において不公平や差別がなされないことを実現し、守ることだろう。
国家が「国民の幸福」を語り、政策にするなんて、「隠れ全体主義」ではなかろうか<`ヘ´>
 
引用:「(ブータンでは)85年の国籍法の改正と、88年の人口調査をうけて、やがてネパール系住民の多くが、過去にさかのぼって国籍を失うことになり、多くの人々が国を追われたのです。

民主化要求運動に参加したネパール系の人々も逮捕され、のちに逃れました。「伝統文化保護政策」も、習慣がちがうネパール系の人々には、息苦しいものでした。そして、一度ブータンから逃れた人々は、「許可なく国を捨てた」として、ブータン国民ではないとされてしまいました。
 
90年末からブータンを追われたひとびとは、ネパールに避難しました。難民の数は膨れあがり、国連の難民支援機関、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、ネパール政府から要請をうけ、92年初めには大規模な援助活動を行うようになりました。ネパールの南東部のジャングルを開墾して、7つのキャンプがつくられました。

今年(2012年)の2月末までに、ネパールから第三国に移りすんだ難民の数は、すでに6万1000人を突破しました。」
 
 
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新著「稼ぐ経済学~黄金の波に乗る知の技法」(光文社)2013年5月20日発売中
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人

今年になってから銀行貸出残高が増え始めている。これはアベノミクスと黒田日銀総裁が目指すマイルド・インフレ(消費者物価指数で2%程度)への転換が起こる兆しかもしれない。
 
まず復習から。
日銀が金融機関から国債を大量に買うと、その資金は日銀に置かれている民間銀行の当座預金残高として積み上がる。黒田総裁・日銀が政策手段として掲げているベースマネー(の増加)とは、この日銀当座預金残高+日銀券発行残高の合計だから、日銀の国債購入でベースマネーは増える。
 
しかし通貨供給量(マネーストック)とは、個人や法人が銀行に置いている流動性預金の残高+日銀券発行残高だから、上記の日銀当座預金が増えただけでは通貨供給量は増えない。物価とは総商品量とマネーの交換比率だから、通貨供給量が増えなければ、インフレ率も上昇しない。
 
では通貨供給量が増えるには何が必要か? 銀行貸出の増加である。銀行が貸出をすると、その資金は債務者の預金勘定に入金され、預金が増える。その預金は各種の支払いに当てられて別の預金者の名義に換わるだろうが、銀行セクター全体では、銀行のバランスシートの資産サイドに「貸出増」が生じ、負債サイドには「預金増」が生じる。
 
つまりマネー供給量の増加は、銀行部門の貸出と預金の両建ての増加で生じるものだ。
したがって、大胆な量的金融緩和が通貨供給量の増加を通じてマイルドインフレにつながるかどうかは、銀行貸出の変化をウオッチしていれば良いということになる。
 
以下のグラフは日銀の資金循環統計からとった銀行貸出残高と前期比伸び率の推移だ。
伸び率は昨年9月までは2%台にとどまっていたが、昨年12月から足元の今年3月まで伸び率4%に上げって来ている! 前回の景気回復期の後半だった2006年-07年でも伸び率は2%前後にとどまっていたのだから、これはこれまでとは違った変化が生じている兆しかもしれない。
 
「貸出が増えたって、不動産や株式購入とか資産購入に回るだけじゃ、最終消費需要の増加につながらないから、インフレ率の上昇にもならないのでは?」
 
必ずしもそうではなかろう。不動産を買うために借りた人の消費は増えないだろうが、不動産を売った人はマネーを受け取ることになる。そのマネーが消費に回る可能性がある。
 
また対象の不動産が、新築の住宅や商業ビルである場合は、貸出金の増加は民間の住宅建設、商業ビル建設という投資需要につながったことを意味する。
 
それ以上に、不動産や株価など資産価格が上昇すれば、資産効果で消費が増える。
現在のマクロ需給ギャップはまだ供給超過だが、その幅は縮んできている。
このまま消費の増加と景気の回復が持続すれば、マイナスの需給ギャップは2014年から15年にかけてほぼ解消される可能性が高い。
 
需給関係がタイト化するわけだから、物価上昇が起こるだろう。実際90年代以降の日本の物価動向はベースマネーの変化ではなく、マクロ的な需給ギャップの変化との相関性が高いことがわかっている。
 
とりあえず足元の変化は、アベノミクス・黒田日銀総裁にとって意図した方向に進んでいると言えるだろう。
 
追記(7月24日):再度調べてみて、最初のデータは全国銀行部門のグロス貸出残高であることに気が付きました。実は銀行間の貸出があり、それは負債サイドに生じます。銀行部門の貸出としては資産負債をネットアウトしたネット貸出で見るべきですね。
 
その図が第2の図です。
 
足元の貸出の伸び率は2%台となり、2009年以降伸び率は回復してきていますが、リーマンショック前の7%前後の伸び率よりはまだ低いです。
 
また、貸出(ファイナンス)が伸びないとマネー供給量は増えないというのは、一般的な原理であり、そのための貸出は個人向け住宅ローンであろうと、企業向けローンであろうと同じです。
もちろん貸出(ファイナンス)増=即インフレ率上昇ではないですが、上記に説明した通り、インフレ率上昇の必要条件ではあります。
また全銀協の預金貸出速報でもほぼ同じ状態を確認できます(以下サイト)。
 
追記(8月9日):
全銀協のデータでみると、7月末で貸出金は対前年同月比3.3%まで伸びが上がってきていますね。
 
 
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新著「稼ぐ経済学~黄金の波に乗る知の技法」(光文社)2013年5月20日発売中
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なんと簡潔で力強いスピーチだろうか。
16歳とは思えない自信と気迫に満ちている。
今朝のNHKBSで見て感嘆した。

女性の教育を受ける権利を主張してタリバンに撃たれて重傷を負ったパキスタンの少女Malalaが国連でスピーチを行なった。
きっとパキスタン、イスラム社会を変革するリーダーに育つだろう。(動画は以下のサイトで)
http://www.aljazeera.com/video/asia/2013/07/20137126351897418.html

quote:"The terrorists thought that they would change my aims and stop my ambitions but
nothing changed in my life, except this: weakness, fear and hopelessness died. Strength, power
and courage was born.
Let us pick up our books and pens. They are our most powerful weapons. One child, one teacher,
one pen and one book can change the world. Education is the only solution."
 
full text
将来パキスタンやイスラム圏の人々が過去をふり返った時に、これは伝説的なスピーチとして記憶に残るのではないか・・・・そんな予感を抱かせるものだった。
 
マララの展開には古今東西人々を感動させてきたヒーロー・ヒロイン・ストーリーの基本要素がそろっている。「非道に対する抗議→悲劇に見舞われる→死の淵をさまよう→パワーアップして復活する」 このスピーチ、その場で直に聞いていたらきっと私は涙が止まらなくなったと思う。

教育を受ける権利のために文字通り命がけで闘う少女がいる一方で、
日本を含む先進国では、なんと多くの若者が学ぶことの価値に目覚めぬまま無為に過ごしていることか・・・・・・(-_-;)
 
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新著「稼ぐ経済学~黄金の波に乗る知の技法」(光文社)2013年5月20日発売中
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7月5日(金曜日)の米国市場の反応は注目に値する。事前予想より強めの雇用統計の発表を受けて、10年物米国債利回りは21BPも上昇したのに、株価はS&P500で16.48(前日比1.02%)も上昇して引けた。
***
5月~6月の米国市場の展開は、強めの景気指標が出るとFRBの量的金融緩和の早期縮小の思惑が強まり、債券利回りが上昇、一方株価は下落するという傾向が繰り返された。
だから次のような悲観的なコメントをするエコノミストも多かった。
 
山上えつ子、トムソン・ロイター社コラム、6月21日
引用:「このようなQE縮小相場第2弾は何をもたらすだろうか。米国経済に対しては長期金利の上昇および株式相場の下落が景気回復の勢いを削ぐリスクがあり、一部エマージング諸国には急速な資本流出が為替レートの急降下をもたらし、国内にインフレと景気減速、金融市場の不安定化をもたらすリスクがある」
 
しかし景気の回復が持続すれば、現在の超金融緩和が最終的に終焉するのは当然であり、株価も実体経済の回復持続を受けて上昇基調を辿ると考えるのが、自然、当然の判断だろう。要するに超金融緩和に依存した株価上昇トレンドから、実体経済回復に裏打ちされた株価上昇トレンドへの移行がいずれ起こると私は考えて来た。(以下参照)
竹中正治、トムソン・ロイター社コラム、6月20日
 
まとめると2つの異なる局面での相場変化の組み合わせは以下の通り。
金融緩和依存相場:強い景気指標=金利上昇=株価下落、弱い景気指標=金利低下=株価上昇
実体経済回復相場:強い景気指標=金利上昇=株価上昇、弱い景気指標=金利低下=株価下落
 
金融緩和依存相場は、不況から景気回復期への転換局面、あるいは景気回復期の早期局面で時折見られるものだ。
 
しかし米国の景気サイクルは2009年を底に穏やかながらも回復が継続している。今さら不況から景気回復期への転換局面というわけではないのだが、次の2つの事情が金融緩和依存相場を長引かしたと考えられる。
 
ひとつは2009年不況の戦後かついてない深さだ。GDPも株価も2007年のピークを既に越えているが、不況期の雇用喪失規模が極めて大きかったのでゼロ金利下での量的金融緩和という超金融緩和が現在まで続いた。
 
もうひとつの理由は、2011年~12年前半にかけて住宅価格の軟調、「財政の壁」懸念などの事情で回復がもたついたことだ。
 
金融緩和依存相場から実体経済回復相場への移行過程で、債券利回りの上昇と株価の下落が併存することは過去も見られたことだった。
 
例えば1994年春、景気回復が鮮明になって来たのでFRBが金利引き上げに動くと、この時の金融引き締めへの転換がやや唐突で金融機関などはポジションの準備ができていなかった(つまり長期債券のロング・ポジションをたんまり抱えたままだった)ので、債券利回りの急騰(債券価格の急落)と株価下落が同時に生じた。
 
ただし、こうした移行時の現象は大局的に見れば所詮短期的、過渡的な局面に過ぎない。5月から6月の米国債券利回りの上昇と株式相場の反落はそうした超金融緩和依存相場から実体経済の回復に裏打ちされた相場への移行過程なのだと考えて来た。
 
問題はいつその移行局面が終焉し、実体経済回復型の相場にシフトするかだ。
この点で7月5日(金曜日)の米国市場の反応は注目に値する。事前予想より強めの雇用統計の発表を受けて、10年物米国債利回りは21BPも上昇したのに、株価はS&P500で16.48(前日比1.02%)も上昇して引けたのだ。ドル円相場はドル金利の上昇を映して101円台で引けた。
 
まだ一回限りの変化では局面移行を確認するには早過ぎるかもしれないが、6月のFOMC会合の声明とバーナンキ議長の記者会見を経て市場は既に今年後半の量的金融緩和縮小を予想に織り込み、実体経済回復相場が始まった可能性がある。
 
掲載図は、米国Investment Company Instituteが発表している米国のmutual funds(日本の公募投資信託に相当)のネット資金流出入である。  赤字(下向き)が資金流出、黒字(上向き)が流入、単位は100万ドル。6月に債券投資系ファンドから大規模な流出が見られる。米国内株投資系ファンドへの資金流入は6月の時点ではまだ確認できないが、7月移行のデータでそうした動きが見られれば、実体経済回復相場が始まったと確認してもよいだろう。
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新著「稼ぐ経済学~黄金の波に乗る知の技法」(光文社)2013年5月20日発売中
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人

手数料の高い投信ほどネット投資リターン(手数料差引後のリターン)は低い分布となることは、これまで著作や講演で繰り返してきた(ただし一部の例外中の例外を除く・・・と言い添えておこうか)。
 
以下上段の図表は、新著「稼ぐ経済学~黄金の波に乗る知の技法」(2013年5月、光文社)でも掲載した投信手数料とネットリターン(いずれも年率化して表示)したものだ。
 
本日の日経新聞朝刊に田村正之さん(編集委員)が、日本の投信の手数料の高さについて書いているから図表を含めて一部引用掲載しておこう。
 
「投信もガラパゴス、高コストの日本流」2013年7月5日朝刊 以下、下段右図表
引用:「日本を厳しく評価したのは、米モーニングスターの「2013世界投信市場」。2年おきに発表される同調査は今回が3回目。「規制や税金」「情報公開」「費用」「販売・メディア」の4項目で評価し、A(最高)からFまでランク付けした。日本はCだ。
 なかでも突出して低いのは「費用」への評価だ。実は日本の投信の費用はデフレ下でも一貫して上昇中。「結果として投資家が利益を上げにくくなっている」とモーニングスタージャパンの朝倉智也社長は語る。」
 
でも個人投資家も投資より手数料の安いETFにシフトする人々が増えつつあるようだ。
 
「ETF売買代金4倍」2013年7月5日夕刊 以下、下段左図表
引用:「日経平均株価などの指数に連動する上場投資信託(ETF)の売買が急増している。1~6月の売買代金は約10兆円と前年同期の4.3倍。韓国や香港を上回り、アジアで最多になった。ETFは短期売買の対象としても人気が高まり、個人投資家や外国人の資金が流入している。
 
日本の市場は海外と比べて出遅れ気味だったが、株式相場の活況で取引の厚みが増してきた。東京、大阪両証券取引所のETF売買代金(立会内・立会外取引の合計)は株高が本格化した年明けから増加が鮮明だ。1~5月の合計は約7兆2700億円で、韓国(約7兆1900億円)を上回った。日本取引所グループの速報値によると、6月分(立会内取引)は日本が約1兆9000億円、韓国が約1兆5000億円。半期ベースで日本が韓国を抜いたことが確実になった。」
 
でも以下のような投機性の高いETFは、いかがなものか? ちゃんとリスクを承知でやらんと危ないよ。
 
「売買増加をけん引してているのが、指数の2倍の値動きをする「レバレッジ型」や、指数と逆の値動きをする「インバース型」と呼ばれる、やや投機性が高い商品。短期の利益を稼ごうと個人投資家が売買するケースが多いという。」
 
新著「稼ぐ経済学~黄金の波に乗る知の技法」(光文社)2013年5月20日発売中!
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