たけなかまさはるブログ

Yahooブログから2019年8月に引っ越しました。

2014年03月

ディズニー映画「アナと雪の女王(Frozen)」子供たちと見てきた。家族で見るにはちょうどいい感じで楽しめる。
 
北欧の一部を思わせる小さな王国の王家の姉妹として生まれた姉のエルサと妹のアナ、エルサは生まれながらにして雪や氷を自在に生み出す魔法の力を持っていたが、ある日二人で遊んでいる際に誤って自分の魔法で妹のアナの生命を危うくしてしまう。 
 
アナは山に住む岩の精の長老の手で助かったが、姉のエルサはまだ幼く自分の魔法の力をコントロールできないので危険だ、ということになる。そこで王である父の厳命でエルサは自分の魔法を封じ、アナからも距離を置き、閉じこもった生活をする・・・・。
 
以下の映画の一部は、自分の魔法の力を隠し、封じながら育った若き女王エルサが、王国を離れひとりになって、自分の力を解き放つシーンだ(↓)。歌は"Let It Go"
(違法コピー動画も出回っているようだが、これはディズニーの公式サイトからのもの)
 
若い時はこのぐらいの傲慢さと勢いがあってもいいね。
でも最後(ラストシーン)には人の愛に目覚めようね(歌はAn Act of True Love)というのが映画のメッセージだ。わかりやすい(^_^;)
 
自分の秘めた力を解き放つ
もう少し想像の羽を伸ばして考えて見ようか・・・・。
この映画で登場する王女エルサの「魔法の力」は、一般化すると「自分が秘めている他の人にはない力」ということになる。
この要素は、アメリカの物語の中で繰り返し出てくる。例えば、コミックと映画X-MENも超能力を持った子供たちの多くが、普通の人と自分が違うことに悩みながら、その力に覚醒するプロセスが重要なメッセージになっている。
歌ではLADY GAGAのヒット曲、“Born This Way”は、文字通り「オリジナルな自分のままでいいんだよ」という自己解放に覚醒する歌詞だ。 
 
こうした物語要素や歌って・・・「他の人と異なることを恐れずに、自分の持っている力を解き放ちなさい」という価値観がアメリカ社会の基調にあるのだろうと思う。
 
芸能やビジネスでも、強烈な個性のスーパースターを次々と生みだすアメリカ社会の基調には、やはり「人と違うことを恐れるな」という価値観があるんだと思う。 
 
一方、日本のカルチャーは比較すると権威的、抑圧的な色彩が濃いのでは? まあ、そうだね。ただし日本には職人的な価値観、美意識として「極める」という志向があり、それが高いレベルの創作、創造の源泉になっているのだと思う。
 
自己制約からの脱却
何事も学んでスキルを身につければできるようになる・・・と昔は考えていたが、知識としてのスキルの習得と「できる」という実践感覚の間に、大きな溝がある。 「自分にはできるんだ」という一種の覚醒体験を経ないと、知識としてのスキルは実践的なものとして血肉化しない。
 
例えば、学校で何年も英語を勉強しても、実際に英語が使えない人が多いのは、この「できる」という感覚体験を経ていないからだね。どうしたらそれが得られるのか?英語圏で一定期間暮らしてみるのが一番だ。
 
ところが人間は育てられる過程で親や学校で実に様々な自己制約もインプットされる。
例えば、所得、教養、学歴、金融知識すら十分にある人でも、金融資産のほとんどは銀行預金と郵便貯金という方々は日本で多いだろ。
 
「相場物に手を出して儲けようなんて、真面目に働く人間のすることじゃない」
「金借りて投資するなんて、まともな本業のある人間のすることじゃない」
なぜか日本ではそういう自己制約にはまって生きている人達が圧倒的な多数派じゃないか。
 
私自身が40歳頃まではそういう自己制約に捕らわれていたから良くわかる。
業務は銀行のディーリング業務だったが、自分の資産はほとんど非リスク資産だった。
 
ただし、たまたま好奇心は強かったから、業者と遭遇して、ガツンと一発やってしまった中古マンション投資(1998年)が私にとっては大きな分水嶺だった。一度やってしまったら、世界の見方が変わって、急に世の中の「宝の山、黄金の波」が見えて来たような感じになった。 
 
ただし何でもやればいいわけじゃない。合理的な投資とはどういうことか、ということを考えていろいろ勉強を続けたから、今に至っているわけだ。 
 
現代において投資・資産形成について知識・スキルだけでなく、「できる」という実践感覚を身につけている人は、そうでない人に比べると、ちょっと誇張した言い方をすれば魔法の力を持っているようなものかもしれない。 
 
この力はやはり気をつけて使った方が良さそうだ。妬まれたりすることもあるし、少し前に「ウォールストリート」という魔法の王国が、熱に浮かれて暴走し、世界を凍らせてしまったばかりだからね。
やはり最後は愛に目覚めようか(^_^;)
 
追記:"Let It Go" 日本語の歌詞と松たか子の歌もいい。実にいい!
 
追記:May J  歌はやはりMay Jが上手い。
 
追記:25カ国version
 
追記:
 
追記:製作者らにとっても“Let It Go”は物語制作の転換点だった。
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人
↑New!YouTube(ダイビング動画)(^^)v
 
 
 
 
 
 
 

「景気が良くなった?それは東京だけじゃない。地方経済は厳しいままよ」
 
先日、中小企業の景況感も改善しているという商工中金の調査をfacebookでご紹介したが、
この種の「良いのは東京だけ論」も実に執拗に続いている。しかしマクロ的なデータはそれを否定している。
以下に添付した日本総研の調査レポート「急速に改善する地方の有効求人倍率」(3月25日)、1ページの図1&2をご覧頂くきたい。
 
2002年から07年の景気回復過程では確かに有効求人倍率の上昇は都市部に比較して地方は遅れていたが、2010年以降は都市部と地方が同じ歩調で改善している(図1)。
 
また、地域別の有効求人倍率(図2)を見ると、2007年時点では輸出系製造メーカーの多い東海地方が突出して高く他は低いが、2013年時点ではそのような不均等は見られず、均等化している。
 
さらに図3は日銀がアンケート調査している地域ごとの業況判断DIだが、2013年12月時点では2006年12月時点と違って、全般的な業況判断の改善が見られる。とりわけ北海道と九州・北海道、中国、東北で高い。
 
今回の景気回復の様相について、一点私の懸念を言うと、東日本大震災からの復興需要も影響しているが、地方での公共事業牽引型の特徴が見られることだ。 当然、公共事業支出が終われば、そうした牽引も消える。
 
だから地方自力の成長路線をその間に準備して実現することが肝心なんだが、報道されている国家戦略特区の申請案件概要などを見ると、地方によって成長のための改革への取り組みは、とてもばらつきがあるようで、消極的な地域も多いようだ。
 
まあ、公共事業の拡大が元に戻ったその時に、各地方がそれまでやって来た結果を反映して、再び格差と不均衡が広がることになるだろう。仕方がないね。
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人
↑New!YouTube(ダイビング動画)(^^)v
 

次はアジア・マネーでバブリましょう。
シンガポール、香港、台湾などの超富裕層のマネーが東京のマンションなど不動産購入に動いて価格を押し上げ いるというWSJの記事
アジアマネーで沸き立つ東京都心の不動産市場
 
実際、私とコンタクトがある不動産仲介業者も、全く同じことを言っていた。「彼らは東京の事情はそれほど良く知らないし、価格はかなりあまいケースもあります。ですから、竹中さんもお手持ちの物件どれか売りませんか?」とさ。
 
このブーム・サイクル、世界の景気回復が続く限り、東京五輪の2020年前後まで続くかもしれない。そして、最後は毎度お馴染みの何らかのクラッシュ・シナリオだろう。
さて、早まらずに、引きつけて、どう売り抜くか・・・・楽しみな局面(^。^)
 
弊コラムのリピーターの皆様方は、決してブームに煽られて割高な買い物などなさらぬように。
 
引用:「不動産関係者の多くは、こうした高級マンションブームは、安倍晋三首相が12年12月以来推し進めてきた「アベノミクス」のおかげだと考えている。関係者らによると、海外の買い手も東京の不動産市場に強い関心を示している。東京が2020年夏季五輪の開催地に選ばれたことも熱気をあおっている。
香港やシンガポール、台湾の投資家を中心とする海外の買い手が不動産価格の押し上げに一役買っている。こうした投資家たちは、青山と赤坂、麻布、六本木といった最もおしゃれな地域(この辺りでは「3AアンドワンR」と呼ばれる)の不動産を好む傾向がある。
ジョーンズラングラサールは昨年、東京の住宅用不動産を売り込むためにシンガポールと香港で8回のセミナーを開いた。水野氏によると、セミナーには毎回、約200人の投資家が参加した。見たこともない不動産を購入する人々もいた。
 
森ビルが手掛け、6月に完成予定の「虎ノ門ヒルズ」が今後の市場の試金石となる見込みだ。森ビルは虎ノ門ヒルズで172戸の分譲マンションを売り出す計画。販売の詳細についてはまだ決まっていないが、不動産関係者は一坪当たり1300万円での販売もありうるとしている。これは1990年代初期に日本の不動産バブルがはじけて以来、東京では見られなかった価格だ。」
*****
 
関連論考
2013年2月 REITバブル再来の可能性、トムソンロイターコラム
 
2013年4月 REIT高騰に続くか、マンション投資の鉄則、トムソンロイターコラム
 
2014年3月 マンション価格の上昇は続くか、割高・割安の見抜き方、トムソンロイターコラム
 
参考他レポート
2013年首都圏新築マンション契約者動向調査、リクルート
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人
↑New!YouTube(ダイビング動画)(^^)v
 

毎日新聞社のエコノミスト4月臨時増刊号に寄稿しました。雑誌は昨日3月24日から販売されています。
「長期投資で勝ち越す『修正積み立て投資法』」  (←最近のヨドバシカメラはオンライン書店もやっている)
 
これは昨年夏にも書いたネタなんですが、今回は相場の短期的・中期的な変動に対応する手法として日経225オプションを買う手法の紹介を加えています。 
 
現物のポートフォリオはそのままにして、大きく下がったら(例として日経平均が1万3000円台)コール買ってコスト限定のナンピンをする。また反対に相場が吹きあがったら(日経平均でまた1万6000円台)プット買ってヘッジする、という極めてシンプルな手法です。
 
まあ、相場でリターンを上げるためには、技法に凝ってもたいてい無駄で、シンプルな合理性を一貫してぶれずに継続できるかどうかだと思います。
 
一部引用:
「筆者は1998年に個人資産のポートフォリオに本格的に株式投資を組み込み始めて以来、一貫してインデックス・ファンドによる長期投資派である。
『それでは投資リターンが上がらないでしょう?』ときかれるが、そんなことはない。米国株のS&P500連動のETF投資は絶好調だし、TOPIX連動の日本株投資(含むREIT)は米国株ほどではないが、そこそこのプラスのリターンとなっている。
 
日本株、長期分散投資で勝ち越す要諦
日本株でも長期でプラス・リターンの要諦は、実に簡単なことで以下の2点に尽きる。①株式投資はTOPIXなど株価指数連動のETFを中心に景気後退後の株価低迷局面でしか買わず、かつ評価損にかまわずナンピン買いをする。②景気回復・株価上昇時には中期的な時間をかけて分割して売り上がり、現金比率を高める。これだけだ。 これだけでどれほどの投資結果の違いになるか、ご覧に入れよう・・・・」(以下図表ご参照)
****
まあ、それでも米国株(S&P500のETF)を長期で買い続けてbuy and holdした場合の(円高による為替孫を含めても)リターン(以下の下段の図)には及びませんがね(^_^;)
 
以下の図の説明
上段:TOPIX連動のファンド(ETFか投信)で毎月末に1万円の購入を1990年1月から継続した場合
   2013年12月末時点でキャピタルゲインはわずか累積投資額の8%(除く配当)
 
中段:同じくTOPIXで、基本は毎月末に1万円購入、ただしポートフォリオの評価損が2割を超えた月は
   4万円の増額購入、評価益が2割を超えた月は2万円の売りをした場合
   2013年12月時点でキャピタルゲインは累積投資額の35%(除く配当)
 
下段:S&P500連動のファンドで毎月円資金から1万円の購入を継続した場合
   2013年12月末時点でキャピタルゲインは累積投資額の105%(資産価値が累積投資額の2.05倍
    になる)(除く配当)
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人
↑New!YouTube(ダイビング動画)(^^)v
 
イメージ 1

イメージ 2
 

本日3月10日は東京空襲から69年めだから、弊著「なぜ人は市場に踊らされるのか」(2010年、日本経済新聞出版社)の終章にかいた岸恵子の空襲体験談を以下に引用しておこうか。
 
「生死を分けた女優岸恵子の空襲体験
 戦後の大女優、岸恵子の半生をとり上げたドキュメンタリー番組をテレビで見たことがある。若い世代はあまり知らないだろうが、1952年に放映されたNHKの連続ラジオドラマ「君の名前は」が当時の大ヒット番組となった(筆者にとっても生まれる前のことである)。そのラジオドラマの映画版が1953年~54年にかけて3部作で作られ、やはり大ヒットした。映画版のヒロインを演じた女優が岸恵子である。
 
 このテレビ番組の中で岸恵子は横浜の大空襲(19455月)の体験談を語った。それがとても印象深く私の記憶に残っている。記憶を頼りに再現するので、多少不正確かもしれないが、次のような内容だ。
 
 空襲警報のサイレンが鳴り、避難する時のことだ。焼夷弾が雨のように降り注ぎ、町はたちまち火の海となった。当時12歳だった彼女は、母の言いつけでぬれた布団をかぶって家を飛び出した「子供達はみな防空壕へ!」という町内の大人達の誘導で防空壕に向かった。
 
 ところが来てみると、それは崖に横穴を掘っただけの穴蔵だった。穴の壁は掘ったままの土壁で、コンクリートで固められてさえいない。薄暗い穴の中を覗くと、防空頭巾をかぶった子供達が大人達に付き添われて、不安そうな眼をしてこちらを見ている。
 
「こんな穴の中に閉じこもったら、かえって死ぬ!」と直感した彼女は、制止する大人を振り切って近くの公園へと逃げた。広い場所なら火の手から逃れられると感じたのかもしれない。結局、彼女は生き延びたが、土壁の防空壕は空襲の衝撃で崩れ落ち、中にいた大半の人々は死んだと言う。 岸恵子は語った。「この経験を契機に子供心ながら私は思ったんです。大人や世間がなんと言おうと、それを鵜呑みにして従うようなことはもう一切しないと。」
 
 映画「君の名は」の大ヒットで一躍人気トップの女優となった彼女は、1956年に日仏合作映画「忘れえぬ慕情」に主演する。その時のフランス人監督イブシャンピと親しくなる。そして翌年57年にはイブシャンピに求婚され、フランスに渡り、結婚する。
 
 当時の岸恵子は日仏合作映画で主演したと言っても、フランスではほとんど無名だったはずだ。フランス語だって「フランスに渡ってから苦労して勉強した」と語っているので達者だったわけではないだろう。この時も、「せっかくの日本での大女優の地位を捨てて、フランスに渡るのか」と周囲から反対されたり、惜しまれたりしたそうだ。やがてシャンピとの間に娘を生み、離婚し、女優を続けながら娘を育て上げた。こうした岸恵子の波乱万丈の人生の原点に、大空襲を生き延びた体験があるような気がする。
 
バブルを生む強欲と同調性
~中略~
 
「みなさん、そうされていますよ」という呪縛
 国民特有の行動パターンを類型化した次のような小話をご存知の方は多いだろう。豪華客船タイタニック号が氷山に衝突し、救命ボートでの脱出が始まった。船員達は救命ボートに殺到する乗客に対して「子供とご婦人を優先します。男性方は子供とご婦人に譲ってください」と誘導しなければならない。さて、パニックになっている乗客らに何と言えば、もっとも効果的に誘導することができるだろうか、という想定だ。
この小話では各国民別に次のように言うのが一番効果的だということになっている。
ドイツ人に対して:「法律(あるいは規則)でそのように決められております。」
アメリカ人に対して:「そうすればあなたは英雄(ヒーロー)になれますよ。」
イタリア人に対して:「そうすればあなたは女性にもてますよ。」
日本人に対して:「みなさん、そうされています。」
 
どうやら私達日本人がバブルを起こしてしまう時は、個人レベルの強欲よりも、「みなさん、そうされていますよ」という同調性を求める呪縛に注意する必要があるようだ。「この不動産融資は無謀じゃないか」と思っても、「そのぐらいの無理は、みなさん(他の金融機関は)やっていますよ」という勢いに乗ってしまったのである。「年間所得の10倍の価格での住宅購入は無謀じゃないか」と思っても、「それが国土の狭い日本の住宅市況なんですから仕方がありませんよ。みなさん借入れを増やして買っていますよ」という流れに押し流されてしまったのである。
 
1990年代のバブル崩壊以降の日本はバブルには無縁になったと感じている方もいるかもしれないが、そうでもない。2000年代には「超低金利の円で金融資産を持っていても増えないからだめだ。高金利通貨で運用すれば有利だ」と喧伝されて外貨投資が増えた。この高金利通貨投資ブームでも「みなさん、やっていますよ」式の行動パターンが顕著で、為替相場の円安バブルを引き起こした。それが崩壊したのが2007年夏、あるいは08年夏以降の急激な円高である。
 
冒頭に取り上げた岸恵子の空襲体験が異彩を放つのは、「みなさん、そうしていますよ」の呪縛から彼女が解き放たれた体験だからだ。そして自分の命を拾った。
 
私は前著(「今こそ知りたい資産運用のセオリー」光文社200812月)の最後で次のように述べた。「世間が『米国金融危機』『米国凋落』『世界株式崩壊』と騒いでいる今こそ(200810月)、株式やREIT投資の千載一遇のチャンスだという黄金の波を見ることができるかどうか、そう思った時に投資する余力があるかどうか、これが長期の資産形成で成功と失敗を分かつポイントとなるのだ。」  投資をテーマに語っているが、私が本当に問いたいのは、儲かるか損するかの問題ではない。それは結果に過ぎない。世界の見方、自分の生き方の問題なのだ。
 
金融危機を予防、回避するための制度と政策の不断の改革は必要だ。しかし、それでも資産価格のバブルと崩壊の歴史は終わらない。そう覚悟しよう。私の眼には既に2010年代の次のバブルの膨張と危機の予兆が世界の新興市場で起こり始めているように見える。しかし、それは必ずしも不安や悲観の材料ではない。「みなさん、そうされていますよ」の呪縛を解いてしまえば別の世界の姿が見えてくるはずだ。バブルと危機を繰り返す市場経済とは、波乱と挑戦に富んだなんとわくわくする世界だろうか。」
 
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人

毎度の私のトムソン・ロイター社での論考です。
 
一部引用:「筆者は昨年4月の本コラム『REIT高騰に続くか、マンション投資の鉄則』(13年4月19日掲載)でREIT価格と現物不動産価格の変化に数カ月のタイムラグがあることを指摘して次のように述べた。
 
『今の局面で合理的な投資選択は、すでに著しく割高になったREITから、まだ相対的に割安に放置されている個別不動産物件にシフトすることだろう』『実体経済の景気回復が持続する限り、今後数カ月のうちに現物不動産価格の上昇がデータでも明瞭に確認できるものになるだろう』。 その後の変化は、筆者の指摘通りとなった。
 
こうしたマンションを中心とする不動産価格の上昇は今後も持続するだろうか。結論を先に言うと、価格の割安局面はすでに終わった。今後の価格動向は住宅賃料の上昇、さらにそれを可能にする賃金の増加が実現するかどうかにかかっている。」
 
13年以降の直近の変化で気になる点は、価格が上昇したにもかかわらず賃料が目立って上昇していないことだ。14年1月のデータでは都区部の価格は前年同月比8.4%上昇しているが、賃料は同0.5%の上昇にとどまっている。
 
賃料と価格の変化は正の相関関係があるが、05年以降のデータに基づく限り、賃料の変化は価格の変化に6カ月から1年遅行している(ゼロからプラスマイナス1の値をとる相関係数は約0.7)。これは賃貸契約が一般に2年間契約で更新されることから生じるタイムラグだと考えれば納得できる。
 
したがって今年、遅行していた住宅賃料の上昇が起こらないと、価格の持続的な上昇は再び11年のように頓挫する可能性が高くなる。なぜ賃料が上がらないのだろうか。賃料は短期的には住宅をめぐる様々な需給要因に左右されるが、長期的には賃金所得の上昇を伴わない賃料上昇はあり得ない。」
 
「もしも『賃金上昇、国内物価上昇、賃金上昇』の連鎖が始動しなかった場合には、住宅賃料も目立って上昇せず、その結果マンション価格も頭打ちとなり、やがて景気の後退とともに再度下落に転じる公算が高くなるだろう。
 
マイルドなインフレを伴う持続的な景気回復となるか、あるいは景気の腰折れとともにデフレに回帰し、株や住宅などの資産価格も下落に転じ、アベノミクスは水泡に帰すか、14年はその分岐点となる。筆者は基本的に前者の楽観シナリオを想定しているが、後者のリスクシナリオも無視できない程度の可能性があろう。」
***
 
別件:同日の3月6日ワカバヤシFXで講演して来ました。 大手町のファーストスクエアビルで120人ほどの聴衆、盛況でした。
私の講演(第1部)、若林栄四さんの講演は第2部、本ブログの読者はお分かりだと思いますが、若林さんは徹底的な罫線信奉者ですから、「実証派エコノミスト」を自認する私とは水と油ぐらい違います。
 
当然聴衆の方々も罫線信奉者が多いようですが、講演後の懇親会での感じでは、私の講演内容はかなり好評でした。持参した弊著も完売。 まあ、「実証的に考えると・・・」という分析にあまりふれたことがない方々が多かったので、新鮮に感じたのかもしれませんね(^_^;)
 
若林さんが講演の中で強調していた点を以下記録のために書いておきますね(青字)。
米国は一部のエリート層が富を独占する強欲資本主義になってしまった。ミドルクラスが細っている。これでは経済はダメになる。(懇親会で「Pクルーグマンやステグリッツ並みのご判断、リベラル派になられたんですね」と申し上げたら、「オレは元々リベラルだ」とのお答えでした)
 
米国株は既に上がり過ぎ。今年は反落する。反落と回復を繰り返しながら、2022年まで下落トレンドとなる。
日本株は米国株が下がる場面ではやはり下がるだろうが、大底を既にうったので、基調は上げトレンド。
一方、ゴールド(ドル建て)は十分に下がった。ここからは上がる。
ドルの対円相場は上がり過ぎ。今年は90円近辺までの反落あり。そこは買うべき。
アベノミクスなんて信用ができない。今年は安倍首相は経済情勢で苦戦するだろう。
量的金融緩和なんて信用できない。東大法学部卒の黒田総裁は相場や経済がわかっていない。
 
講演後の懇親会で一部の方にはお話し致しましたが、若林さんの相場観は相場の転換点はわりと良い感じで当てるんですが、相場が「大衆化」してくるととたんに、その相場トレンドが嫌になり、トレンドと反対のことを言う癖が強いです。これは私は知っている30年前から変わりません(^_^;)
ところが、相場は「大衆化」してから長いトレンドが続くことが多いのですね。そこではずれます。
 
今回も2012年が円高のピークで円安になる・・・てのは上手く当てられたようですが、2013年に「アベノミクスで円安」というシナリオが大衆化するやいなや、その円安トレンド嫌になって、そこから外しているそうです。 
そういうご本人の癖、バイアスを調整して聞いた方が良いですよ、ということを参加者の幾人かにコメントしたら、「なるほど、確かに・・・・」との反応。聴衆はみな「若林信奉者」かと思いきや、けっこう冷静に見ているんですね。
 
結果として、なかなか楽しい講演会でした(^。^) またご講師でご招聘頂けないかな・・・。
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人
 
イメージ 1
 
 
 
 

この記事に描かれている銀行と投資家の事情、90年代の日本の住専問題を想起させるなあ・・・
バブルとその崩壊過程で起こることは、時代と国で形を変えても、本質的にいつも同じなんだよね。
 
「騙される投資家が悪いのか、中国シャドウバンク」姫田小夏、ダイヤモンドオンライン
 
引用:「現地紙の21世紀経済導報によれば、販売当時、中国建設銀行山西省支店長はこう言ったそうだ。  「山西聯盛能源有限公司(山西福裕能源の親会社)はAAA級で優良、償還もまったく問題ない。リスクなしの高利回り商品だ」――。
 
複数の投資家たちの証言をまとめると、次のようなものになる。すなわち、「銀行側がVIPルームに招き積極的に販売した。銀行が審査したので信用できる商品であり、かつ投資リスクはないと紹介された」というものだ。つまり、売り方そのものに問題があったともいえるのである。
 
2013年には、山西聯盛の100億元を超える負債が明るみになった。このとき、さすがに投資家は何度も中国建設銀行に問い質したという。しかし、その返答は「生産も経営も正常、キャッシュフローも正常だから、問題ない」というものだった。だが、事実はそれに反するもので、2013年11月、資産総額600億元を誇った山西聯盛は、負債総額300億元とともに破産申請を行った。
 
今、中国の国民はその成り行きを注視している。問われているのは、「誰が責任を取るのか?」という点だ。しかし、販売代理をした中国工商銀行は「これは中誠信託の責任だ」といい、中誠信託は「我々の責任ではなく、山西振富の責任だ」と逃げ、山西振富は「倒産したから投資家に戻す金はない」と開き直る。そして投資家は、「リスクはないと言ったじゃないか」と激昂する。
 
 「これはもはや“国家ぐるみの詐欺”としか言いようがない。投資家に自己責任を迫り、彼らを追い詰めれば、これから償還を迎える商品の取り付け騒ぎが全国的に広がり、それが高じて暴動にもなりかねない」
 中国信託業協会によれば、2013年末、中国の信託資産は10兆9100億元(約190兆円、1元=約17.4円)に達した。また2011年以降、現在に至るまで信託会社が行った炭鉱など資源エネルギー関連の資金調達は、1000億元にも上ると言う。昨年は420億元が償還期を迎え、また今年は150億元が償還期を迎えると言われている。」
***
 
90年代初頭、大蔵省の不動産関連をターゲットにした総量融資規制で住専に貸せなくなった銀行(住専の母体銀行)が農林系金融機関に住専への融資を斡旋、その際に銀行の支店長や役員方が、「形は融資ですが銀行に預金するのと同じです」と言って融資を薦めた・・・そんなことを想い出した。
 
結局、不動産バブル崩壊で、住専は財務的に破綻、その清算をめぐって農林系と銀行の対立が政治家を巻き込んで紛糾した。
 
銀行(メインバンクであると同時に住専の出資・母体行)は、住専の破綻・清算と、その際の債権者の負担は融資額に応じたプロラタを主張した。
 
一方、農林系は損失は全額母体行が負担すべきだと主張、政治家が絡んでもめにもめた。
結局、農林系の損失負担は軽くする政治的な決着となった。
 
中国の場合はどうなるかな? 中国は国家権力(というか中国共産党の独裁権力)が強大なので、ハードランディング的な展開は抑え込めるという見方があるが、私には権力が強い分だけ矛盾の調整が先送りされ、過ちも巨大なものになる気がする。
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人
 
 

↑このページのトップヘ