たけなかまさはるブログ

Yahooブログから2019年8月に引っ越しました。

2018年07月

現代ビジネスへの寄稿です。
今朝掲載されました。

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失業率の改善と自殺者の激減が示す、日本経済 『明確なひとつの答え』

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56764

冒頭引用:「私のようなエコノミストにとっては、各種の経済データから現下の状況が景気回復局面にあることは間違いないのだが、その一方で「景気回復が実感できない」というような意見やアンケート調査をメディアではよく見かける。

例えば以下のような記事である。「朝日新聞社が11、12両日に実施した全国世論調査(電話)で、景気がよくなったかどうかの実感を尋ねたところ、『あまり』と『まったく』を合わせ、『実感していない』は82%に上った」(朝日新聞、2017年11月14日)。

この種のアンケート調査は質問の表現次第で、結果は白にも黒にもなるので注意しなければならない。人間が本当に感じていることと、ある種の問いに対して意識的に表出される言葉とは、実は乖離している場合も多い。
本当のところ近年の日本の景気は生活者の目線で改善しているのだろうか、していないのだろうか。
それを判断するひとつの方策は、表出された言葉ではなく、人々の行為の結果を見ることだ。今回このコラムでまず注目するのは自殺件数の変化である・・・」

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毎度のロイター・コラムです。
本日夕刻に掲載されました。


抜粋引用:「むしろ注視すべきは長期にわたるハイテク分野での米中覇権争いの方だ。この点に関連しては少し前になるが、「米国経済の優位はこの先10年続く」(2015年1月14日付)のコラムでの「イノベーションにおける米国の優位」で述べた内容から私の見解は変わっていない。「この先20年」に延長しても同様だ。そのように考える論拠を1つだけ示しておこう。

今日、アマゾン・ドット・コムやグーグル、フェイスブックなどに代表されるプラットフォーム・ビジネスが人工知能(AI)やクラウド技術を伴って世界を席巻している。中国でも巨大な国内市場規模をベースに同様の企業の台頭が顕著だ。

ところが、中国は国家としてジョージ・オーウェルが小説「1984年」で描いたような監視社会、ビッグブラザー資本主義に向かっている。つまり、中国系プラットフォーム企業を利用することで情報が中国共産党に筒抜けになる体制だ。中国国内であればそれで仕方がないと思うのだろうが、中国外でそのような仕組みを受け入れることは、ユーザーにとっても、その国の政府にとってもあり得ないだろう。そこに限界が生じる。 」

米国の景気後退局面では株価指数は間違いなく下落し、回復期には期待に違わず上がってくれるので、不況期に少し買い増しさえすれば、長期の年率リターンが10%を超えることも容易だ。にもかかわらず多くの日本の投資家が、長期的には為替相場の変動で円金利利回りと同じ低リターンに収束する高金利外債投資という無駄な投資を繰り返してきたのだ。 

2008年のリーマン・ショック時の米国株価暴落は絶好の米国株投資チャンスだった。私が著書「ラーメン屋vs.マクドナルド」)で「日本の個人投資家層も万羽のミニハゲタカとなってよろめく巨象、米国の金融資本市場をついばもう」と書いたのは2008年9月だ。

ところが、残念なことに世間に出回る「米国金融資本主義凋落論」などに幻惑されて、米国株式投資に動いた日本の個人投資家はわずかだったはずだ。次の米国景気後退局面では、日本から万羽のミニハゲタカが米国資本市場の空に舞うことを願っている。」

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正規雇用が前年比で2015年以降増え始めていることは過去何度か指摘して来た。
また図表1をご参照。

それでも非正規雇用も同時にある程度並行して増えているので、雇用全体に占める正規雇用比率が上昇に転じる(非正規雇用比率が低下に転じる)には時間がかかる。ただし世代別で見ると65歳未満の現役世代では、既に若い層を中心に正規雇用比率の上昇(非正規雇用比率の低下)は上昇トレンドを辿っている。それを示したのが、図表2(男女計)である。

水色の15~24歳(在学中を除く)は最も早く2014年から正規雇用比率が上昇に転じている。少し遅れて青色の25~34歳と紺色の35~44歳の層で2015年から正規雇用比率が上昇に転じている。

ただし年齢層が高くなるにつれて上昇テンポは弱まり、黄色の45~54歳だと同比率は2014年に下げ止まったが、後はほぼ横ばいだ。さらに65歳以上だと緩やかな下げトレンドが続いている(65歳以上は水準が大きく異なるので右メモリであることに注意)。 

65歳以上は普通は子育てや住宅ローンの返済も終わった年齢層であるから、正規雇用(正規雇用の給与)である必要性は低いだろう。ただし年金と貯蓄だけでは不安、あるいはまだ元気などの理由で働くのは労働力不足の日本経済にとってはマクロ的にも良いことだ。

ただし45~54歳あたりの正規雇用比率の上がり難さをどう考えるか。 「これって、労働力としてロートル化した(陳腐化した)中高年世代が、じわりと淘汰され、正規雇用から非正規雇用に押し出されているの?」 私も最初一瞬そうかもしれないと思い、そうなった方が良さそうな無能な管理職が脳裏に浮かび、少しサディスティックな情念を刺激された。 しかし幸か不幸か、そういうことではない。

このことのは、図表3,4,5を合わせて考えると理解できる。まず男性の世代別正規雇用比率を見ると(図表3)、15~24歳から25~34歳、35~44歳&45~54歳と世代が上がるにつれて上昇し、時系列の変化で見ても35歳以上の層は90%強の水準をほぼ水平に維持している。

正規比率が低下するのは55~64歳である。この年齢層になるとリストラによる早期退職や雇用形態の多様化が進むので、そうなる事情はわかる。ただしこの年齢層でも2014年を底に正規比率が上昇に転じている。

次に女性の正規雇用比率を見ると(図表4)、25~34歳の年齢層までは正規比率が高いが、35~44歳の層ではガタンと低下する。女性の労働参加率は近年日本でもかなり上昇し、いわゆるM字型の解消(台形型化)が進んできたが、それでも30歳代の出産・子育て期間に職を離れる女性はかなりの数いる。そして子育てがひと段落すると、職に復帰するが、その場合はパートなど非正規雇用での復帰となる場合が多い。

さらに2009年以降の雇用の増加の内訳を示した図表5を見て頂きたい。2018年1Qまでに434万人の雇用が増えているが、そのほとんどが65歳未満の女性と65歳以上の高齢者である。

以上の結果、男女合計の正規雇用比率の推移を見ると、30歳台前半までの年齢層では顕著に正規雇用比率が上がっているが、それ以上の年齢層になると出産・育児がひと段落して労働市場にもどる女性の非正規雇用の増加と65歳以上の非正規雇用の増加が加わるので、男女合計の非正規比率は若い層に比べて相対的に上がり難い結果になるのだと分かる。

まあ、女性も出産・子育て期に休職はしても退職せずにキャリアを続けられるような制度、環境整備が望ましいと思うし、また政策的にもその方向に進んでいると思う。

最後に、非正規雇用に占めるいわゆる不本意不正規労働者(できれば正規雇用になりたいがなれない労働者)の数は、2017年対象の厚生労働省調査によると273万人で非正規雇用全体の14.3%、雇用者数全体に占める比率では5.0%である。

この比率をどの程度高いと思うか、思わないかは人それぞれだろうが、この不本意不正規比率も低下してきていることを以下の厚生労働省の調査は示している。 不本意非正規雇用者数/非正規雇用者数=14.3% 2017年(前年比1.3%減少)

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図表1
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図表2
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図表3
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図表4
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図表5
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