ダイヤモンドオンライへの寄稿、今朝掲載されました。
https://diamond.jp/articles/-/244370

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一部抜粋引用:「そうした意見の対立を背景に、陽性者数の再急増にもかかわらず、人工呼吸器を装着する重症患者数や死亡者数が低位で推移している事実の解釈も大きく分かれている。経済優先論者は「ウイルスの変異による弱毒化の可能性」「日本人の自然免疫対応強化の可能性」「PCR検査対象者拡大による軽症・無症状の陽性者の増加(若手・中堅年齢層の陽性者増加)」などをあげ、感染者数の増加のみに目を奪われるべきではないと主張している。

 

 反対に、感染対策優先論者は、弱毒化説や自然免疫強化説などは科学的に検証できる根拠がなく(特に感染症の専門家の多くはそのように指摘している)、重症者数や死亡者数はこれから増えるのだと(重症化・死亡の遅延説)危機感を強めている。

 

 果たしてどちらが正しいのだろうか。筆者は金融系のエコノミストであり、もとより感染症は専門外であるが、この点について一般に公表されている限られたデータに基づいて、粗いながらも検証した結果を紹介しよう。

 

結論から言うと、6月以降PCR検査の陽性者数の再急増にもかかわらず、重症者数、死亡者数とも極めて低位に推移している最大の要因は、検査対象者拡大の結果生じた陽性者の年齢分布の若年化、つまり年齢要因だ。

 

 弱毒化説も免疫対応の強化説も多くの感染症の専門家が言う通り、現段階では根拠がない。おそらく重症化・死亡の遅延説も主要因ではない。従って、求められる政策対応は、この点を考慮した年齢層別の対応と経済活動回復とのバランスである。
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202007 図表1
202007 図表2