たけなかまさはるブログ

Yahooブログから2019年8月に引っ越しました。

カテゴリ: 金融・投資

毎度のロイターコラムです。
本日昼前に掲載されました。


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「米国株に黄信号、1月の高値超えられない訳=竹中正治氏」

冒頭引用:「[東京 24日] - 米国の株価指数S&P500は今年1月26日に高値2872.87を付けた後、ボラティリティー・インデックス(VIX指数)を巡るショックで久しぶりに高値から10%強の反落となった。

その後もフェイスブックの情報流出問題、トランプ米大統領による「アマゾン・ドット・コムたたき」、「米中貿易戦争」など、投資家心理を冷やす悪材料が相次ぎ、安値の更新はないものの方向感のない上下動が続いている。

今年1月のコラムで当時のVIX指数の歴史的な低水準への下落が、むしろ次の株式市場の激震を示唆する不気味な予兆であると指摘したが、それは早くも2月初旬の「VIXショック」として実現した(参考コラム:「次の米国景気後退と株価下落余地を考える」2018年1月10日付)。

こうした状況下、企業利益予想が前年比で2桁%の増益予想を維持していることが投資家の心の支えになっているようだ。筆者も今年いっぱいは米国景気が失速することはないと考えている。

しかし、米国株が今年1月の高値を年内に大きく更新することはあまり期待していない。むしろ戻り高場面では多少売って米国株式の比率を下げるか、何かしら部分的にヘッジをした方が良いだろうと判断するに至った。この点を説明しよう・・・」

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明日23日発売の週刊エコノミスト、シリーズ「出口の迷路、金融政策を問う」に寄稿しました。
ご関心のある方は、明日買って読んでくださいね・・・と思ったら、オンラインで既に全文掲載されている。これでは買わずにすんじゃうね。

けっこう大胆なこと書いてしまったような気もしますが、どうでしょうか。...
金融政策に詳しい大先生からお叱りを受けないか・・・・<(_ _)>

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物価と雇用、バブル回避は共存しない
引用:「このようなフィリップス曲線の不安定化は中央銀行にとっては頭の痛い問題だ。スタグフレーションの下ではインフレ率を抑制するために金融を引き締めると、不況が深刻化し失業率が上昇してしまう。

 また今日のようにゼロ%に近い低インフレ下でフィリップス曲線が水平化してしまうと、名目金利を下げることで実質金利を下げ、景気浮揚効果を出すことが困難になる。

 要するにフィリップス曲線が安定的に存在しないことは、物価の安定を通じた雇用情勢の改善を困難にする。金融政策にとって「不都合な真実」なのだ。 これは言い換えると「インフレ率の安定化に適した金利水準」と「自然失業率の実現に適した金利水準」が中長期でも一致しないことを意味する。

 さらに厄介なことに「資産バブルを起こさない金利水準」が、もうひとつ違う水準として存在し、「ほどよいインフレ率の実現に適した金利水準<雇用の最大化に適した金利水準<資産バブルを起こさない金利水準」であることだ。

 この事実は80年代末の日本のバブル期も00年代の米国の住宅バブル期も、インフレ率は問題のない水準だったことが物語っている。 異なる三つの適正金利水準の存在は、現下の金融政策に関する意見対立を不可避にする・・・」

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マンション暴落が来る?
まあ、1980年代末のような狂い方ができるほど、日本人は既に若くないから、基本はプチ下がりだと思う。
それでも直近の高値から20%も下がれば、在庫を抱えた業者は大赤字、資金繰りに行き詰まる業者も出てくるだろう。

私が近年継続的に見ている添付のグラフ(上段)は、成約件数に対する在庫比率(赤線)が上昇し(左、逆メモリ)いよいよ「水位が満杯まで上がったダム」の感じになってきた。在庫比率の変化は価格の変化に対して約1年弱先行している。つまり在庫比率が上がり過ぎると(逆メモリなので下に動くと)1年弱遅れて価格が下がり始める。 今年の4月にマンション価格の割高を警鐘した時よりもさらに在庫比率の上昇が鮮明になっている。

中古マンション価格指数(青線、右メモリ)は前年同月比でまだ5%弱のプラスだが、前月比ベースではマイナスの月も出始めている。下段のグラフは著作で紹介してきた中古マンション(東京)のPRR図表だ。 

以下の9月13日の日経新聞の以下の記事も、「ダムの決壊」が遠くないことを示唆する前兆現象を記述しているように思う。
 
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日経新聞引用:「「投資用マンションを買える顧客の目安は数年前まで年収600万円以上だった。今は銀行審査が緩くなり400万円でも購入できるようになった」(不動産会社幹部) (そんな輩は2~3か月も空室になるとローンの返済ができなくなり、結果として担保物件が安く売りに出てくる。竹中)

 融資の現場では「不動産の担保価値の100%を融資します」といったローン商品でノンバンクが銀行から顧客を奪っている。対抗するため大手行でも厳格な返済条件を課すなどした上で「担保価値の120%貸す裏技も登場している」(関係者)という。

 「もう1棟、1億円の物件を買いませんか」。福岡県で2億円のマンション1棟を買った年収1000万円の会社員は最近、こう誘われた。もう1棟買えば3億円の借金を抱えるが「銀行融資は通りますよ」という誘いに心が揺れる。地銀の今年6月末の事業融資残高は前年比2.9%増。うち2%分は不動産向けだ。信用金庫では2.1%増のうち1.7%になる。」

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ただし今回局面がこれまでのマンション市況の循環と異なるのは、長期国債利回りがマイナスにまで下がり、運用難に陥った長期運用資金の一部が不動産にシフトしている可能性があることだ。現下の超低金利はまだ長引くだろう。そうすると割高に見えるマンション価格も過去より持続する可能性は捨てきれない。

それを検証するために、長期金利と東証REIT指数や中古マンション価格指数の変化の相関関係をチェックしてみたが、とりあえず有意な関係性を見出すことはできなかった。この点は引き続き検討事項として、何か発見があればブログで追報しよう。

追記:不動産経済研究所、8月のレポート、新築の下落は始まりましたね。


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今月のトムソン・ロイター社コラムへの寄稿です。ただいま掲載されました。
コラムでは図表はひとつしか掲載できないので、補足図表を掲載しておきます。

「株安・円高の呪縛が解ける日」↓

冒頭引用:「日本株と円相場の関係について、昨年夏の中国ショック、あるいは今年6月の英国のEU離脱国民投票をめぐるBREXITショックなど、世界経済に暗雲が立ち込め、世界中の株価が急落する時に円高に動くことが続いた。これに釈然としない方々は少なくないはずだ。メディアは「相対的にリスクの低いと考えられている円が買われて円高になった」とほとんど意味のない市況解説を繰り返してきた。この相場現象を考えてみよう。その上で現在の「株安・円高、株高・円安」という相関関係(逆相関)が崩れる可能性についても考えてみよう・・・」

途中引用:「ただし1990年代から2004年までの期間で見ると、株安・円高、株高・円安という逆相関の関係は安定的ではなかった。19902004年の期間について、月次データを使ってドル円相場と日本の株価指数TOPIXの前月比の変化で相関関係(期間1年)を計測すると、逆相関(相関係数がマイナス)が計測できるのは全期間の33%に過ぎない。また絶対値で0から1までの変域をとる相関係数(値が1に近いほど関係性が高い)が0.5を超えている期間は全体のわずか7%で、関係性は総じて弱かった。
 現在まで見られる日本株と円相場の強い逆相関は実は2005年頃から始まった。2005年から167月までの期間について同様に計測すると、全期間の96%について逆相関となり、しかも相関係数がマイナス0.51.0の高い値を取る期間が全体の60%を占める。この経緯を振り返ってみよう」

上記の部分、日本株と円相場の逆相関の関係、以下の上段の図をご覧頂ければ、わかると思います。2005年から前月比で見ても、前年同月比で見ても、相関係数はほとんどマイナス域にシフトして、しかもマイナス1に近い高い逆相関となっています。

下段の図はロイター社コラムと同じものです。

こういう現象ってアカデミズムの世界ではほとんど関心が払われていません。ああ、そうか。次はこれをもっと深堀して、論文にしようかな。


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気がついたら、金融・投資の世界はロボット(AI)だらけ!
人口知能が金融を支配する日」櫻井豊、東洋経済新報社、2016年8月

この本は日本の金融・投資に関わる全ての方々に読んで欲しい。
アマゾンでの発売日は8月19日だが、東京駅丸の内北口のオアゾ内丸善では5日から店の正面の大きな面積を平積みで占有していた。買って開いてほとんど一気に読みとおした。感銘を受けた。

Deep Learning技術により飛躍的な進歩局面に入った人口知能(AI)が、ビックデータの活用と相まって、金融・投資の世界をどれほど劇的に変革しつつあるかを平易に説いている。そしてその最先端を走るのはやはり米国であり、日本の金融・投資業界は悲しいほど遅れている。

実際、株式、債券、為替など主要な金融市場の売買はAIをバックにした超高速アルゴリズム・トレーディングに席捲されており、この分野の日本の金融機関の対応は悲しいほど遅れている(1章)。

2章では、ヘッジファンド業界では人工知能の実践的な活用のために莫大な投資がブームになっており、投資技術開発の熾烈な競争が展開している状況が語られている。ほとんどの一般の日本人には知られていない状況だ。

3章ではAIをベースにしたロボット投資アドバイザーが、米国では急速に普及し始めたことが語られている。その波は間違いなく日本にも押し寄せようとしている。

あとの章は省略するが、数理系人材として東京銀行でクオンツとして各種デリバティブの開発、運用に携わり、2000年にソニー銀行に転職し、執行役員市場運用部長として活躍した櫻井豊さんほど、本書のテーマに取り組むのにふさわしい人物はいないだろう。末尾の参考文献からは、櫻井さんが本書を書くために改めて相当勉強したことがうかがえる。
 
実は、私が東京銀行で通貨オプションデスクのチーフ・ディーラーだった時代に、櫻井さんは若きクオンツとして資本市場2部に属し、私は彼の価格モデルを頼りに日本で初めてノックアウト・オプション類(当時は「ストップション」と呼称した)の取り扱いを開始した(1989年)。

その後、ノックアウト・オプション類は為替や株式市場に広く出回るようになり、良くも悪くも度々市場やユーザーを激震(文字通りノックアウト(^_^;))するようにもなった。
最後に櫻井さんの思い(危機感)が凝縮された箇所を引用しておこう。
 
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引用:「一方で日本の金融業界の実情はどうでしょうか。残念ながらこのような(米国)の動きにまったく太刀打ちができないほど遅れをとっています。その理由は、護送船団形成された体質、数理的センスの欠如、経験と勘を重視するという日本人の特性などさまざまです。」
 
「とにかく、これまでの日本の金融業界では、人工知能など数理的な手法で市場取引やビジネスを構築するという発想とセンスが欠落していました。」
 
「(金融)ビジネスのシステムにおいて何か革新を起こすと言う発想がほとんどなく、昔からの枠組みの中での競争を好む文化があります。」
 
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しかし日本も「ダメダメ」ばかりではない。最後の6章では、日本では物理的な形を持たないAIの開発や利用には立ち遅れていても、なぜか物理的な形のあるロボットの開発と利用には強い関心と執着心が見られることが指摘されている。

その通りだろう。そして日本で人工知能開発に最近もっとも大胆な投資をしたのがトヨタであることも偶然ではない。おそらく日本のAIはロボットカーという形態で進化するのではなかろうかと私が思う理由でもある。

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毎度のトムソン・ロイター社でのコラムです。先ほど掲載されました。

「日本株、買いは次の不況まで待て」

冒頭部引用:「4月に日銀が追加金融緩和に動くという某メディアの憶測記事と、実際の日銀政策決定会合での「政策変更なし」で、日本株も円相場も大きく上下に揺れた。短期トレーディングをしている金融機関のディーラーや個人投資家には翻弄された人も少なくないだろう。

一方、長期投資の対象として日本株を見ると、アベノミクス以前よりはまだ高いとはいえ、昨年の高値からの下落で米国株などに比べると長期的なリターンはやはり劣後している。しかし、日本株でも実はリスクを抑制しながら長期でリターンを向上させる簡単な手法がある。今回は、その仕組みと現状の株式投資へのスタンスを説明しよう・・・」

末尾引用:「最後に現状でのスタンスを確認しておこう。2016年4月末時点の修正積立法の示すシグナルは売りでも買いでもなく中立である。図が示す株式投資残高は、ピーク時から累積投資額ベースでは約半減、資産時価総額ベースでは25%減となっている。筆者自身は、昨年の時点で累積投資額ベースではピーク時の3割程度に減らし、4月の乱高下でも様子見を決め込んでいる。

毎期稼がなくてはならない金融機関のファンドマネジャーらと違う一般個人投資家の最大の優位点は、割安感でも割高感でもないようなレンジでは中途半端に手を出さずに1年でも2年でも休んでいられることだ。次に日本株の買いに動くのは、この修正積立法のシグナルを見ながら、おそらく次の景気後退時になるだろう。」

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補足: コラムには長くなり過ぎるので書きませんでしたが、GPIFに関する私の懸念は、彼らが日本株式の保有比率を高めたのは、私の提示した投資法が「売り局面」のシグナルを出した(そして私も売った)2014年~15年だということですね。
GPIFは規模がマンモスで運用は長期ですから、本来は長期逆張り投資に最も適したファンドなんですが、そういう様には動けていない・・・GPIFの場合、ポートフォリオの変更が何か月も前から議論されて決定されてから、ようやく動けるという制約は確かにあるんですがね。

追記(5月21日):本日の日本経済新聞「M&I 2:解決!お金ゼミ、じっくり資産運用」で、私の「修正積立投資」が紹介されています。紙面の制約で図表は掲載されていませんが、直近のトムソン・ロイター・コラムで詳しく説明したものと基本的に同じです。
記事引用:
「筧: 実はもう一工夫すれば、積み立て投資で含み損を抱える期間を短くして、運用成績を上げることが期待できますよ。
岡根: そんな方法があるのですか。

筧: 龍谷大学の竹中正治教授が「修正積み立て投資」を提唱しています。資産価格があらかじめ自分で決めた水準より下がったときに一定量を買い増し、上がった時に売却する方法です。例えば毎月1万円ずつ積み立てるのに加えて、価格の5年移動平均線を20%以上上回った場合に5万円分を売り、20%以上下回った場合は5万円分の買いを入れることにします。

宗羽: つまり高値で買う量を減らし、安値で買う量を増やすわけですね。
筧: この方法を先ほどの日本株に積み立てる場合に当てはめると、累積投資額781万円に対し、売却益を含めた資産額は約1090万円とおよそ4割増になります。高値売りはしないで、安値の時だけ買い増すなど自分なりに応用する手もありますね。」



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1ドル=100円台前半まで円高になるとすると、その時株価は?
1ドル=103円、TOPIX=1089、日経平均=13,380円!

ドル円相場の変化と日本株の動きは2000年代以降高い相関関係があります(円安ドル高→日本株高)、とりわけアベノミクス始動後の2013年以降、その相関性は著しく、TOPIXとドル円相場の前年同月比のデータで関係性を計算すると、相関係数0.90、決定係数0.81となります。下図参照
これはドル円相場の変化でTOPIXの変化の81%が説明できてしまう程の関係性の高さです。

ドル円相場については、1ドル=100円台前半の短期予想も次第に増えてきましたね。

そこで近々に1ドル=103円時のTOPIXの値を、上記の関係性から得られる回帰式で推計すると、前年同月比35%の下落で1089となります。これは日経平均で言うと、13,380円となります。今日は16,000円前後ですから、ここからさらに16%ほど下落することになりますね(^.^)。

これを聞いて、真っ青(゜o゜)になられる方は、絶叫される前に損切りでも、ヘッジでもなされた方が良いかもしれません。もっとも上記の推計の前提となった関係性は不変ではなく、変化するものです。
念のため。


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本日の日銀の決定会合の結果、事前にブルンバーグ社が流した追加緩和政策の発表がなかったことから、株は急落、円急騰となった。短期トレーディングしている金融機関のディーラーや個人投資家諸兄は、ずいぶんと上に下へと振らされた人達も多いのではなかろうか。

私の銀行時代のディーラー経験では、短期売買でもトレンドのある局面でトレンド順張りで儲けることはそれほど難しくない。ところがこのように極めて短期間でジェットコースターのような大揺れ相場になると、儲けることは非常に難しくなる。 オプションを買ってデルタヘッジでもしているディーラー以外は、ほとんど儲からないか、やられる。 たいていは上げか下げかの片方の局面で儲けた益を、反対の局面で失って、骨折り損のくたびれ儲けとなる。

私自身は短期トレーディングはせず、中長期に徹しているので、こんな乱高下相場は高みの見物である。

新版修正積立投資法

さて以前も一例を紹介した修正積立投資の新版をご紹介しよう。
まず第1図は2000年1月末から毎月末、定額(ここでは1万円)をTOPIX連動ETFに投資した場合の投資結果である。 青い線が示す資産時価総額は黄色い縦棒が示す累積投資額に対して、2015年12月末時点で1.41倍(4月27日時点では1.27倍)、キャピタル損益のみのIRRは年率4.4%、平均配当利回りを1.5%とすると、総合年率利回り5.9%となる。

この投資では直近は2013年からようやくプラスのリターンに転じたわけだが、2009年から12年まではかなり深い評価損状態が持続していた。辛抱できない人には無理な投資だろう。

S&P500連動ETFへの定額積立投資

第2図は、同じ時期に全く同様に円資金で定額(ここでは1万円)をS&P500連動ETF(東証にも円建てで上場されている)に積立投資した場合の結果だ。2015年12月末時点の資産時価総額/累積投資額=1.89倍、キャピタル損益のIRR7.9%、平均配当利回り2.0%とすると、総合年率リターンは9.9%になる。これは上等な出来栄えだ。やはり日本株は米株にかなわないね、ということになる。

しかし日本株でもインデックス投資でリターンを上げる方法は、いろいろ考えられる。学生の研究テーマにちょうど良いので、過去何度も大学のゼミ生の研究対象に取り上げてきた。 今回紹介するのは、おそらくこれが一番簡単でその割に効果が高いと思われる例である。

修正積立投資

第3図は、TOPIX連動ETFで毎月1万円定額積立投資をするのは同じ。それに加えて、TOPIXの過去5年の移動平均値を計算し、毎月月末にTOPIXが移動平均値より30%低ければ定額の5倍買い増し、逆に30%高ければ5倍売る機械的な売買を組み合わせたものだ。

30%というのは、この時期のTOPIXの過去5年移動平均からの乖離率のほぼ標準偏差であり、この水準から上方、あるいは下方に飛び出す期間が約3分の1ある(3分の2の確率で上下の範囲に収まる)ことを意味している。

その結果は、2015年12月末時点の資産時価総額/累積投資額=2.9倍(16年4月27日時点では2.57倍)、キャピタル損益のIRRは9.2%、平均配当利回り1.5%とすると、総合年率リターンは10.7%である。 これなら米株の定額積立投資すら上回るリターンとなる。しかも評価損の幅も、その期間も、非常に小さくなっていることがわかる。

私自身の株式の売買の履歴に照らすと、①買った時期:2009年~11年、②売った時期2013~15年であり、ほぼこの投資法の売買シグナルと重なる。 ただし最初に買った時期は、主に2000年後半~2001年であり、この時期の買いはこの手法のシグナルに反しており、結果的に高い価格での購入となった。IT不況の到来を早めに判断することができなかったからだ。また、2006-07年は株の売り局面になっているが、私は2004-06年に主に売っており、やや早過ぎたことを示している。

この修正積立手法の現状でのシグナルはどうか?グラフが示す通り、TOPIXは移動平均からの1標準偏差上方水準線を下に抜けており、もはや売り場ではない。定額の1万円投資のみを継続する中立ゾーンである。また時価で見た投資残高はピーク時の半分程度に縮小している。要するに様子見を決め込んでいればよいレンジだ。 

私自身の日本株投資残高は、このブログで何度かコメントしたようにピーク時の3割程度に落としてある。中途半端ななんぴん買いをする気もない。買い出動は次の景気後退まで待ちの姿勢である。

修正積立投資法の限界

最後に、この修正積立法の限界を言っておこう。あらゆる相場に対応できる万能投資法などない。80年代後半の日本株、あるいは90年代後半のITブーム期の米国株のようにほぼ一本調子で急速な上げ相場が何年も続いた場合は、この投資売買比率(定額1に対して5倍)だと途中で売り尽くしてしまい。上げ相場での利得を取ることができない。その結果、単純な定額積立のリターンに負ける。

言い換えると、今後日本株でそうした超強烈な中長期の株上昇トレンドが来ない限り、この投資戦術は優れて有効だと言える。まあ、2%インフレ目標の実現も未だ見通せない状態では、今後数年先まで考えても、そうした超強烈な上げ相場がここから到来すると考えないのが妥当だろう。

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ドル円相場が1ドル=110円を割って109円台に入って来た。実質相場指数での現在の位置を確認しておこう(図参照)。

物価指数の公表は今年2月までなので、3月と4月のデータは2月時点のPPPが変わらないとして計算してある。

これで見ると、1973年以降のドル円実質相場指数の平均値から上方に1標準偏差乖離した位置近辺まで戻って来た。例えるならば、フェアウエイとドル高のラフのきわ辺りだろう。 フェアウエイのさらに中心レンジは、以前から申し上げている通り、現在の名目相場では90円~100円だろう。

円高の背景要因は、①ドル金利引き上げ速度の下方修正、②アベノミクスと超金融緩和によるインフレ率上昇期待の低下、③海外投資家による日本株ロング&円ショート持高の巻き戻しなどだろう。

日銀による銀2月のマイナス金利導入は、金利差的にはドル高・円安効果だが、上記の要因による円高効果の方が勝っているということだ。

1ドル=120円台は、生活実感を踏まえて購買力平価的に考えても、いかにも円超割安だった。企業も投資家も、しっかりと円高リスクヘッジをして、1ドル=100円程度の円高で、騒がないようにしておいて欲しものだ。私はドル資産、100%ヘッジ継続、100円割れまでヘッジ外しは考えない。

最近の関連論考:
2015年10月「日本に灯る『円高デフレ』回帰の黄色信号」トムソン・ロイター・コラム

2015年6月「円安と日本経済」日本経済新聞社「経済教室」





毎度のトムソン・ロイター社の論考、ただ今掲載されましたが、同社サイトの制約で図はひとつしか掲載できないので、補足図表を以下に掲載しておきます。

冒頭部引用:「3月22日に国交省が発表した公示地価によると、東京をはじめ大都市では地価が目立って上昇した。マンション価格も2012年暮れのアベノミクス始動以来、前年同月比で上昇を遂げてきた。

2020年の東京オリンピックまで堅調な推移が続くと予想する向きもあるようだが、最近数カ月は今後のマンション価格の下落を示唆する兆候が現れている。 

東京都心部のマンション価格は中古、新築ともにすでに2007年のミニバブル期を超える割高水準となっている。日銀のマイナス金利導入で住宅ローン金利が少し下がったからと言って、購入に動けば長期的には高値つかみになる可能性が高い。そうした事情をご説明しよう・・・」

以下補足図表の説明

第1図:以前もブログで計算した不動研住宅価格指数(中古マンション価格指数、東京)、
マンション賃料インデックス(東京)、価格を賃料指数で割ったPRR

第2図:マンション成約件数、新規登録数、在庫件数の推移(すべて東京)

第3図:ロイター社でも掲載した上記の不動研住宅価格指数の前年同月比(%)と在庫件数/成約件数(在庫件数倍率)(12か月移動平均)の推移、後者は逆メモリになっている点に注意

第4図:第3図を散布図にして相関関係がわかるようにしたもの。
関係性は有意で決定係数0.78と非常に高い。



                            第1図
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第2図
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第3図
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第4図
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