たけなかまさはるブログ

Yahooブログから2019年8月に引っ越しました。

カテゴリ: 経済

ダイヤモンド・オンラインでの論考です。今朝掲載されました。掲載から48時間は「無料会員」でも読めます。
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引用:「今回は現下のインフレ、円安、金融政策について、その是非と効果(含む副次的な効果)について考えてみよう。
結論を先に言うと、今の日銀の金融政策はある程度柔軟性を増す必要があるが、「望ましい形の2%インフレ目標」を降ろすべきではない。また円安はオーバーシュートしており、いずれ到来する米国の景気後退に伴って大きく円高に揺れ戻すだろう。
さらに日本の家計は預貯金に偏り過ぎた金融資産構成を見直す必要があり、政府は一層それを支援すべきだろう。現役世代は今後の資産形成の選択次第で将来の結果を良い方向に変え得るだろう。
しかしながら、高齢者層が保有の大半を占める預貯金がリスク性資産に大きくシフトすることは難しい。その結果、ケインズが語った「金利生活者階級の安楽死」の21世紀版が進行することになりそうだ。」(←最後のここポイントです。竹中)

毎度のダイヤモンド・オンラインへの寄稿です。今朝掲載されました。
私の論考は掲載から48時間は無料会員でも読めます。

https://diamond.jp/articles/-/303599

引用:「筆者自身は、株価収益率などの割安感からTOPIX(東証株価指数)や日経平均株価指数連動の投信もポートフォリオに加えているが、今回は日本人が円資金による米国株価指数(S&P500)の積立投資で期待できる長期的なリターンとリスクは、果たしてどれほどなのか検証してみよう。」

図表1
202205 図表1
図表
202205 図表2

竹中正治ホームページ
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さて、先日facebookで取り上げた篠原滋氏(元野村証券G)の日本株投信については、過去3年~5年、アクティブファンドの運用平均がインデックスファンドの成績を上回っているという指摘について、「それはおかしいでしょ」という批判をしておこうか。

 

1、リスク調整後のリターン比較でないと意味がない。

アカデミズムでの金融・投資研究も含めて、投資の成績は単純なリターンの相違ではなく、リスク対比でのリターンで行うことが常識だ。先物を使うか、借り入れを使うか、手段はともかく金融レバレッジを上げればリスクの上昇を代償にリターンは簡単に上がるからね。この方はその点を承知のはずなのに無視している。

 

リスク対比でのリターンは一般に「シャープレシオ=(投資リターン-無リスク資産リターン)/リスク」で計算される。リスクは投資資産のリターンの変動性の標準偏差を計算し、リターン同様に年率換算するのが一般的だ。以下、日本では無リスク資産リターンとしての短期国債利回りは長年ゼロ近辺なので、ゼロとして計算した。

 

図表1は、Morningstarのサイトからとった国内株式対象の投資信託のインデックスファンドと非インデックスファンドの過去3年間のリターン、リスク、シャープレシオだ。リターンでもシャープレシオでもインデックスが上回っているのがわかる。

 

2、購入時手数料、反映していないよ。

同氏は保有期間に比例してかかる信託報酬差し引き後のリターンで比較しているが、当然ながら購入時手数料もネットリターンの違いをもたらす。ただし近年は同じ投信でも販売窓口の違いで購入時手数料が違うから、単純な比較が難しい。しかしアクティブ型投信(非インデックス)の購入時手数料は概ね2~3%(平均2.5%前後?)、インデックスは0.5%(?)以下程度が普通だろう。

 

したがって、5年保有するとすると、販売時手数料の相違は平均で0.4%(=2.0%/5)、3年保有なら0.67%(=2.0%/3)ほどアクティブ投信のリターンをさらに相対的に押し下げる。

 

3、TOPIX連動だけが日本株のインデックス投資ではないよ。

同氏のデータでは、シャープレシオではなく、単純なリターンのみの比較でも過去3、5年インデックスが負けている結果が提示されていたが、その理由は、インデックス投信としてTOPIX連動型のみを抽出したからだ。(図表2)

 

過去3年ほど、TOPIXに比較して日経225のリターンが顕著に上回っており、同氏は日経225を除くことで「インデックスファンドの負け」を演出しているのだ。

 

全上場銘柄の加重平均値で計算されるTOPIXのロジカルな明瞭さに比べると単純平均法でありながら、やや複雑な調整法を採っているのが日経株価指数ではあるが、日本株を代表するインデックスとして外されるのは公平ではないだろう。

 

日本ではTOPIX連動と並んで日経225連動がインデックス投信として大きなシェアーを締めている。これを除外するするのは「インデックス自体との比較ではなく、実際のインデックスファンドと比べてみる必要がある」という同氏自身の主張に反するであろう。

 

4、小型株優位のアノマリー?

また日経新聞の田村さんから「小型株優位の効果で非インデックスのリターンが上回っているのでは?」と言う趣旨のコメントがあった。私も日本の2000年代以降の長期で見ると、小型株優位のアノマリーが存在しているのは承知していたのでそうかと思ったが、過去3年で計算すると、非インデックス投信のリターンに小型株優位は消えている。(図表3)

 

5、検証期間が短すぎる。

この種の投資パフォーマンス比較は、アカデミズムも含めて米国では遥かに沢山行われているが、十分に長期の成績を見る必要があり、最低でも10年かそれ以上の比較が常識的だ。同氏の3~5年の期間は妥当な比較をする期間としては短すぎる。

 

6、生存バイアス?

今存在する非インデックスファンドの成績には、成績不振で途中で消えたファンドの成績は反映されていないという「生存バイアス」で押し上げられているというコメントもあった。まことにごもっともなのだが、現在開示されているデータでこの点を補正することはできないので、今回は検証外とせざるをえない。3年程度の短期では、このバイアスはあまり強くないだろう。

 

結論

というわけで同氏の「インデックス相手にアクティブファンドは負けていないor 優っている」という主張は公平、妥当性に欠ける。やはり「高い手数料のアクティブ投信を買わせたい」という業界利害のバイアスが背後に隠れていると感じざるを得ないな。

問題の篠原滋氏のコラム (←クリック)


202110 図表1


202110 図表2


202110 図表3




ダイヤモンド・オンラインに論考が掲載されました。

冒頭引用:米国株価の一強とも言える相場展開が今年2月中旬以降続いている。図表1が示す通り、2015年初を起点に見ると、中国株価指数(MSCI China)や日経平均株価指数も昨年2~3月の新型コロナショックからV字型回復基調で上昇してきた。
ところが、米国株価指数S&P500は今に至るまで上昇基調である一方、今年2月中旬を境に中国株は下落に転じた。日経平均もそれに合わせて下落、その後は頭打ちの状態になっている。
米国株は堅調なだけでなく、昨年10月の小反落を最後に目立った反落がない。実に安定的なじり高基調だ。果たして今の米国株一強と言える展開はまだ続くのだろうか?死角はないだろうか?今回はその点を考えてみよう。
結論から言うと、現在の米国株の強い上昇基調はGAFAM (Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)に代表されるハイテク企業群の高い成長期待に牽(けん)引されている。しかし同時に、かつてない金融緩和政策によって経済の名目成長率に比べ短期・長期金利が非常に低く抑制されているという事情に依存している面も小さくない。
その意味では「資産バブルのリスク」も内包している(参考「コロナ株高はバブルへGO?米国発『マネー急増とDXブーム』の行き着く先」2020年9月16日掲載)。株価だけでなく、米国の住宅価格指数(S&P/Case-Shiller Index)が前年同月比16.4%も高騰しているのも不気味だ(5月現在)。
その結果、来年にかけて予想される量的金融緩和の段階的縮小(テーパリング)、その後2023年にかけて見込まれるゼロ金利からの金利引き上げ開始局面で、相応の反落・波乱場面は避けられないだろう。その反落としてどの程度のものを覚悟すべきか。ピンポイントで予測することは不可能だが、過去のパターンからおおよその見当をつけてみよう。」

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         図表1
202108 図表1
         図表2
202108 図表2

日本株が今春以降冴えないのは、新型コロナ感染でも「オリンピックで~」もなく、中国株の下落に引っ張られているのだよ(-ω-)/

 

こんなことは、もっと早く気が付くべきだった。

 

MSCI Chinaも日経平均株価指数も高値を付けたのは今年214日週、以降、日経平均株価指数は中国株価指数との連動性(正の相関)を強めてじり安だ(上段の図、赤い点線が相関係数)。

一方、米国株(S&P500)は逆にジリ高で、日経平均との相関は低下している(下段の図、黒い点線が相関係数)。

 

中国株との正の相関係数は日経平均の方がTOPIXより高い。日経平均の上位構成銘柄は、ファーストリテイリング、ソフトバンクG、東京エレクトン、ファナック、ダイキンなどいずれも中国収益比率の高い銘柄だから、自然な結果だ。

 

投資家層(主に海外投資家層?)は、中国経済・金融リスク(規制強化、社債デフォルトなど)とその日本への負のインパクトを強く意識しているのだろう。そして米国市場はそうした中国リスクの負の影響からは相対的には堅固と意識されているということだね。

ダイヤモンド・オンラインの論考です。今朝掲載されました。

https://diamond.jp/articles/-/274796

202106 後編図表1
202106 後編図表2


今朝ダイヤモンド・オンラインに掲載されました。

https://diamond.jp/articles/-/273498

冒頭引用:不動産アナリストや評論家はみなこの時期にマンションの高値警戒感、反落の可能性を語っていた。そうした支配的な予想を覆して不況下での価格上昇が続いているのだ。
 かく言う筆者も昨年3月の本コラムでマンション価格の下落を予想して外した。「コロナ不況でマンション価格崩落が始まる、リーマン級ならどこまで下がるか」(2020年3月31日掲載)。
 新型コロナ不況下でのマンション価格の高騰という今の状況は、果たしてバブルなのだろうか。前半と後半に分けて、この問題を3つの観点から読み解いてみよう。第1は主に投資家目線、第2が購入居住者目線、第3が不動産価格の国際的な同調性だ・・・


図表1
202106 図表1竹中21年6月
図表2
202106 図表2竹中21年6月

ダイヤモンド・オンラインへの寄稿です。
4月15日に掲載されました。

「インデックス型投信の積立投資で長期リターンをアップする「ひと手間」とは」

冒頭部分引用:確定拠出年金(企業型、個人型)や「つみたてNISA(積立型の少額投資非課税制度)」などで株価指数(インデックス)連動型の定額積立投資をする人が、ようやく日本でもじわじわ増えている。投資の長期的な持続性とリスク分散の観点から効率的な資産形成の手法だ。

 

 その一方で、株式投資について関心がある人ほど、売買のタイミングを選ばず、銘柄も選ばないこの投資スタイルを「初心者向けの投資手法」だと思っている傾向がある。あるいはインデックス連動型で定額積立投資をしながらも、「これだけではちょっと物足りない」と感じている人も少なくないようだ。そこで今回は、ひと手間加えることで長期リターンを引き上げる簡単な手法を紹介しよう・・・」


図表1


202104 図表1
図表2
202104 図表2
202104 図表2
次の図表はダイヤモンド・オンラインには掲載されていませんが、S&P500の反落とVIXの変動の負の高い相関関係を示す図表です。
202104 VIX




3月11日、ダイヤモンド・オンラインに論考が掲載されました。

「米国景気の年内『大リバウンド』が濃厚なこれだけの理由」


冒頭部分引用:「 今年の夏場から来年にかけて米国景気が大幅にリバウンドする可能性が濃厚だ。四半期ベースの実質国内総生産(GDP)成長率は年率換算6~10%という非常に高い水準が恐らく2~3四半期継続するだろう。一方で株式市場のバブルと破裂のリスクを指摘する声も大きい。この点を改めて考えてみよう。

 2月に入ってから米国の各種予測機関が今年から来年にかけての実質GDP成長率の予想値を上方修正する動きが相次いでいる。各予測機関が指摘するその最大の理由は、バイデン政権による最大1.9兆ドル(約200兆円)の新型コロナ救済法案が、ある程度の修正はされるものの成立する公算が濃厚になったからだ。

 しかし、同法案の実現を待たずとも、今年後半の米国景気のリバウンドはすでに仕込まれている。まずその理由を順番に説明しよう。」

図表1

202103 竹中先生図解1(21年3月)
図表2
202103 竹中先生図解2(21年3月)


ダイヤモンド・オンラインへの寄稿です。今朝掲載されました。

「円高・株安」の急激な進行は杞憂、背景に円相場需給の構造変化 

冒頭部分一部引用:
年内はせいぜい1ドル90円台がおそらく円高のピークであり、その後は中期的にドル相場の堅調地合いに転換するのではないかと思う。そう考える理由は円相場をめぐる需給に構造的な変化が生じているからだ。その点をご説明しよう。

円安・株高、円高・株安パターンの消滅
 まず昨年来の円相場の最大の特徴は、2000年代中頃から続いていた円安・株高、円高・株安という円相場と株価の負の相関関係が昨年3月を境に突然消滅したことだ・・・」

図表1

202102 円相場1

図表2

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