私も2007年頃までは日本の財政赤字については、国内貯蓄でファイナンスされているのでアメリカとは違う、長期的に財政再建に向かえば国債暴落など起こらないと語って来た。実際に、2007年までは財政のプライマリーバランスもGDP比率でマイナスが順調に縮小してきたからだ。
 
しかし2009年に考えを変えた。景気後退と財源なきバラマキ政策で財政赤字が急膨張し始めたからだ。不況による税収減は景気循環的なもので、回復するればその分の赤字は縮まる。しかし、そうでない構造的な部分は縮まらない。
 
増税も給付削減もできずに、財政再建コースに舵を切れないまま今後10年、20年も進んだら、日本国債暴落も現実のシナリオになる。そうならないように政策の転換を期待しているわけだが、不幸にして政治が腑抜けのままで最悪の事態(国債暴落、円相場大幅下落、インフレ)となった場合に耐えられるような資産形成をする必要がある。つまり自己防衛策。
 
4月に書いた「亀井案こそ郵政を潰す」(日経ビジネスオンライン)に1カ月も経ってから以下のような41番目のコメントが掲載されていた(本日発見)
「ハ-ドランディングが避けられないと竹中教授は言われる。自分もその意見に賛成である。しかし、そうなった時如何にその被害を少なく過ごすできるかそれが大切だ。竹中教授には是非その方策を教えて欲しい」
 
このご質問の収支は、個人の資産をどう守るか?ということなのか、あるいは政策としてその時にどうすべきか?ということなのか、ちょっとあいまいだが、前者の趣旨だと理解して考えてみよう。
 
野放図な財政赤字膨張をしてきたギリシャは今後長い増税と給付の削減路線を歩むしかない。放っておけば日本もそうなる。
「でも、増税はいやや!」 嫌だったら、日本人をやめるしかない。資産丸ごとオーストラリアとかマレーシアとか、財政赤字問題が将来大丈夫そうな国に移住するしかない。日本で所得も資産もなければ、将来大増税になっても日本政府は課税しようがないからね。
 
「日本人やめるのもいやや、英語できんし・・・」 それなら税金は我慢するとして、円安とインフレに強い資産を保有するしかない。「ゴールドか?」 そう思う人はゴールド業者の宣伝を鵜のみにしている。長期的にみるとコモディティー価格はインフレヘッジにはなっても、インフレ+アルファにはならない。実質投資リターンは低い。
 
インフレヘッジ+アルファの投資リターンを目的にするならば、インカム収益のある実物資産に投資するのが正道。 日本国内ならば、賃貸収入のあがる良質な不動産、グローバルな収益基盤のある企業の株式、REITなどだ。 
 
インフレによる円安のリスクも考える必要があるから、海外への長期・分散投資も必要だ。米国のジャンク・ボンドにブラジルレアル売りなんかを加えた投資信託なんて、長期的にはお薦めできない。手数料もバカ高いでしょ。
 
低コストで世界の株式に分散投資できるETFが今年の2月からスタートした。MSCI-kokusaiとMSCI-emergingだ。上場されているから株式と同じように買える。オンライン証券で買えば手数料は僅少だ。年間の信託報酬も0わずか0.25%だ。 これに比べたら信託報酬が1%~2%の投資信託なんてバカバカしくて買えない。以下サイトご参照。ただしETFは複数のインデックスファンドの構成でできているので、構成ファンドの手数料が明示されない形でかかっている。しかし、インデックスファンドなので基本的にはその手数料も安くできているはずだ。
 
世界の株式にリスク分散して長期で保有すれば、そのリターンは確定利回りの海外国債などをはるかにしのぐ。これは過去の長い歴史が語っている。
 
先日、メイン口座(といっても普通預金だけだが)を置いている大手銀行のFP営業担当が、私の家に電話してきた。 「一度おうかがいして資産運用のお手伝いなどさせていただきたい」と、ありがたいお申し出だ。
そこで「世界の株式に長期・分散投資を増やしたいと考えている」と言ったら、「いろいろメニューを取りそろえておりますので・・・」という。 そこで「MSCIのETFを既に保有している。これよりも手数料が安くて良いものがあったら、話を聞こうか」と言ったら、このご担当、話のあとが続かなくなった。(^_^;)
 
「東証もなかなか良いETFを始めたじゃないか。金融機関はなぜもっとこれを宣伝しないんだ?」と大手金融機関に勤務している知人に尋ねたら、「既存の投資信託からあのETFにシフトされたら、収益激減しちゃいますからね」と、まことに正直なコメントが返ってきた。
 
財政赤字の問題に戻ると、私はまだ「日本を諦めていない」(ああ、どこかの政党の少し前のフレーズだ)、「きっと手遅れになる前にコース転換できる」(ああ、でも今の政治を見ていると自信がなくなりそう)と期待しているので、資産に占める外貨比率は3割程度にすぎない。
 
と、まあ、とりあえずこんなところで良いでしょうかね。
もっとハイパーな投資商品にも最近出会った。
ライフセトルメント・ファンドだ。
早速投資を決めた。追加投資もする気になった。
知っている人は少ない。ほとんどまだいない。日本での営業が始まったのは最近だ。
「なんだそれは?」 
営業の 片棒をかついでいるように思われたくないので、ここには書かない。
もし、どうしてもお知りになりたい場合は、個別に私にEメールして頂ければ、ファンドの販売窓口をお教えしましょう。(最低単位1000万円) そこから商品説明を受けられる。
 
もちろん、投資は自己責任ですからね。