朝ドラ「ゲゲゲの女房」のことである。
また、感動しちゃったので、そのシーンを書いておきたい。記憶だけで書くので不正確だが、ご勘弁頂きたい。
 
時は1960年代後半か、「墓場の鬼太郎」をTV化しようとしたが、スポンサーがつかない。そりゃあそうだろう。不気味過ぎる。
 
そこで出版社と制作会社は、「悪魔くん」をまずTV化しようと考える。視聴者の目を慣らしてから、最終的には鬼太郎に持っていこうという作戦だ。
 
水木はまず週刊マンガ誌に新版「悪魔くん」の連載を出版社から依頼される。ただし以前出版して全く売れなかった旧版(オリジナル版)悪魔くんは不気味過ぎるので、悪魔くんの想定を魔族から人間の子供に換えて書いてくれと依頼される。
 
しかし、水木の筆が進まない。旧版「悪魔くん」には精根込めて書いても書いても売れず、貧乏続きの当時の境遇への憤りの念が込められていた。旧版悪魔くんは売れぬまま打ち切りになってしまった。その時のこだわりをあっさり捨てて、可愛く人間の少年にした新版悪魔くんを書く気に水木はなれなかった。
 
悩む水木に女房は言う。
「あなたがあの時悪魔くんを書いていた時に、私が悪魔くんが死んでしまうラストシーンは、悲し過ぎて嫌だって言ったら、あなた『心配するな、悪魔くんは必ず復活する。だから悲しくはない』って言ったわよね。私、悪魔くんはあなたのことだって、その時思ったのよ。どんなことがあっても復活するって。
悪魔くんが復活する時が来たんじゃないの?新しい姿で?」
 
この女房の一言が水木の気持ちを一変させた。
新版「悪魔くん」の復活だった。