本日(10月17日)の日経新聞日曜版が金(ゴールド)の価格高騰を特集している。
1オンス=1300ドルを超えた今の金価格の高騰は、既にバブル局面に入っているように思える。
以下のドル建て価格、ならびに円建て価格のグラフをご参照。
 
そもそも金は株や債券、あるいは他の実物資産のようにインカム(配当、利息、賃料など)を生まない。インカムを生む資産であれば、将来のインカム収益率の増加が予想されるような場合には、価格が高騰し、それが合理的な期待である場合もある。 
 
これは企業の将来の利益率の予想が上方修正されると株価の上昇が起こるのが典型的だ。もちろん、予想は予想に過ぎないから、過剰期待で株価が過大評価されることもブームの時には毎度のことだが。
 
しかし貨幣と同様にインカムを生まない金には長期的にはインフレ率に従った上昇しか見込めない。ドル建ての金価格は米国のインフレ率に従った上昇率が長期的には見込まれる。ただ今10月時点で 1オンス=1371ドルとなった金価格は、1973年(ブレトンウッズ体制終焉後の変動相場制元年)を起点に計算すると、年率7.2%(複利ベース)である。
 
しかし同様に1973年を起点にした米国の消費者物価上昇率は年率3.75%に過ぎない。従って、過去2~3年の金貨価格高騰は、将来米国のインフレ率が趨勢的に高騰するという予想を織り込んでいるのだと考えることによってしか合理化できない。
 
一方、足元の米国のCPIは前年比0.8%でFRBはインフレよりもデフレを心配している。将来のインフレ懸念が台頭しているならば、10年物米国債の利回りも高騰する(価格が下落する)はずであるが、利回りは逆に低下して2.5%前後と史上最低利回りに近い。
 
「ドル相場の一段の下落予想が金買いに拍車をかけている」?
でも、ドル相場の下落より金価格の高騰の方がずっと大きい。そのため円建てでも金は高騰している。
 
「不況対策のマネージャブジャブ金融緩和で生じたカネりが金買いに向かっている」?
いつもそうだけど、カネ余りで投資家が非合理的な価格水準まで資産を買い上げるのは、典型的なバブル局面であり、その後に崩落が待っている。
 
金市場は米国の国債市場の規模などに比べるとはるかに小さい。ゴールドETFのブームなどでちょっと大きな投資資金が流れ込むと、ばぶってしまう。これは2008年夏に崩壊した国際商品市況と同じだ。
 
ただ投資家心理に沿って考えると、「目先はデフレリスクかもしれないが、将来は莫大な財政赤字の膨張でインフレリスクに転換するかもしれない。通貨はドルもユーロも円も信用できない」という気持ちに駆られている方には、金はそうした将来不安に見合った投資対象に見えるのかもしれない。
 
ゴールドマンサックスが金価格の予想を1オンス=1600台に引き上げたそうだ。毎度ながら煽るのが上手な連中だね。
 
私はタンスの引き出しには遥か昔に買ったミニゴールド板(100グラム)が眠っている。さて私のミニゴールドくん、長い冬眠から覚めてもらおうか。 たった100グラムしかないから1発売りしかできない。
さてどういうタイミングで売りましょうかね・・・・?
 
追記:やはりこういうアジテーター(扇動家)が出てきますね。
10月18日 Yahoo.Financeの記事
 
The Federal Reserve is clearly not worried about inflation. Chairman Ben Bernanke said as much
on Friday in a speech meant to lay out his argument for another round of quantitative easing. 
Problem is, inflation is a problem and Bernanke’s policies will lead to hyper-inflation
says, Peter Schiff, President of Euro Pacific Capital and noted central bank critic.
An inflation hawk, Schiff discussed his investment strategy with Aaron and Henry in this clip.
Gold:  With gold prices above $1300 per ounce, skeptics question whether this is yet another
asset class bubble about to burst.  Schiff disagrees, as you might expect. He believes the U.S.
dollar will continue its downward trajectory – in turn, adding to the value of gold
“I think we’re still relatively early in the game," he says. "It’s not rock bottom prices,
but prices are not high for the metals, especially given what central banks are going to do,” i.e. more quantitative easing.
Schiff not only recommends buying the psychical metal, his portfolio is heavily weighted with gold mining stocks. “Gold mining stocks are bargains right now,” he contends.  “Not a single gold
stock I’ve owned has split.  If this was a real mania, you know how many times these stocks would be splitting?”
イメージ 1