新聞の社説なんてつまらないし、意味のある情報も乏しいのでほとんど読まないが、たまには意味のある情報が書かれていることもある。以下の日経新聞の本日の社説から。
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食糧自給率、本当のところは?
2011/1/13付
ニュースソース

日本経済新聞 朝刊

 環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を巡る議論で、農業関係団体など慎重派は食料自給率の低さを根拠の一つに挙げる。農産物の供給をこれ以上外国に頼れば、世界的な凶作などのときに危ない、と。しかし自給率指標をつぶさに見ると、そうした主張にも疑問符が付く。
 農林水産省が昨夏発表した2009年度の食料自給率は40%と、08年度より1ポイント低下した。だがこれは供給カロリー(熱量)に基づく数字だ。生産額の自給率で見ると風景は全く異なる。輸入も含めた国内総供給額に対する国内生産額の比率は70%と、08年度比で5ポイント上昇した。
 政府の食料・農業・農村基本計画は20年度の自給率目標を熱量で50%、生産額で70%に置く。計画を決めた10年3月には、生産額の目標はすでに達成していたことになる
 コメの供給過剰で生産者は野菜や果物に力を入れる。野菜などの熱量はコメに比べ低く、作物転換が進むほど熱量の自給率は下がる。
 熱量の自給率が下がる原因には、食生活の変化もある。コメ以外の穀類の消費が昔に比べて増えたが、パンやめん類のもとになる小麦の大半は輸入している。食肉や乳製品には、家畜の餌として大量の輸入トウモロコシや大豆かすが要る。
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もっとも、この社説語られているようなことは、例えば近年かなり反響をよんで売れた以下の本などが世間に普及させてきた情報、知見である。
 
私のレビュー:
「まことに痛快、快刀乱麻のごとく農水省プロパガンダの偽りを斬る。
農家への直接補助としての民主党の戸別所得補償も、EU諸国の制度と対比しながら、莫大な財政資金のばらまきで「偽農家」を温存するだけで、本気で農業経営をやっている専業農家の足を引っぱるだけの逆行政策、日本農業衰亡政策であることが説かれている。」 

 
この分野では神門善久先生の著作も、農業分野の門外漢である私にとっては衝撃的なほど啓蒙的だ。
 
本当に啓蒙的に優れた著作は、奇をてらった解釈をひねり出すこともなく、事実に基づいた平明な論理で通説・通俗のイメージをひっくり返し、「目からうろこを落とす効果」があるという意味で常に衝撃的だ。