紙から電子ネトワークへのトレンドの中で、新聞、雑誌、書籍業界が大変動の渦中にあるが、郵便事業も同様だ。既存の「官系郵便事業」は赤字を膨張させ、このままだと大赤字が恒常化する。
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まずはこの点についての米国の事情
WSJ Jan 24.2011
Now, with the red ink showing no sign of stopping, the postal service is
hoping to ramp up a cost-cutting program that is already eliciting yelps of pain around the country. Beginning in March, the agency will start the process of closing as many as 2,000 post offices, on top of the 491 it said it would close starting at
the end of last year.
The postal service argues that its network of some 32,000 brick-and-mortar post offices, many built in the horse-and-buggy days, is outmoded in an era when
people are more mobile, often pay bills online and text or email rather than put
pen to paper. It also wants post offices to be profitable to help it overcome
record $8.5 billion in losses(7000億円の赤字) in fiscal year 2010.
時事通信NYKの配信記事、2011年2月18日
【NYリポート】崖っぷち経営続く米郵便公社=年間赤字、7000億円に NY総局 大嶋聖一
郵便事業が赤字なのは、日本に限ったことではない。米国の郵便公社(USPS)も巨額の赤字に苦しんでいる。2010年9月期の通期決算では、85億500万ドル(約7060億円)の経常損失を計上。赤字決算は4期連続で、累積で170億500万ドル(約1兆4110億円)に達した。危機的な経営状況を打開するため、職員の大幅削減に加え、不採算郵便局の閉鎖や土曜日の配達中止などの抜本改革を計画をしているが、大なたをふるうには政府・監督当局の認可や法改正が必要で、公社の経営の行方は予断を許さない。
赤字の原因の1つは郵便物の減少だ。取り扱いは06年に2130億通・個で過去最高を記録した後、下降していく。10年には1700億通・個まで落ち込んだ。サブプライム問題による金融・経済危機のほか、電子メールの普及が背景にある。
しかし、巨額の赤字をもたらした「主犯」は、実は別にいる。07年9月期から適用された医療保険会計の変更だ。これに伴い、将来の医療保険給付に備えて引き当てを行うことが義務付けられた。その額は毎年57億ドル(約4730億円)前後に上る。
郵便事業が赤字なのは、日本に限ったことではない。米国の郵便公社(USPS)も巨額の赤字に苦しんでいる。2010年9月期の通期決算では、85億500万ドル(約7060億円)の経常損失を計上。赤字決算は4期連続で、累積で170億500万ドル(約1兆4110億円)に達した。危機的な経営状況を打開するため、職員の大幅削減に加え、不採算郵便局の閉鎖や土曜日の配達中止などの抜本改革を計画をしているが、大なたをふるうには政府・監督当局の認可や法改正が必要で、公社の経営の行方は予断を許さない。
赤字の原因の1つは郵便物の減少だ。取り扱いは06年に2130億通・個で過去最高を記録した後、下降していく。10年には1700億通・個まで落ち込んだ。サブプライム問題による金融・経済危機のほか、電子メールの普及が背景にある。
しかし、巨額の赤字をもたらした「主犯」は、実は別にいる。07年9月期から適用された医療保険会計の変更だ。これに伴い、将来の医療保険給付に備えて引き当てを行うことが義務付けられた。その額は毎年57億ドル(約4730億円)前後に上る。
日本の事情
産経ニュース 2011年1月17日
郵便事業会社では、昨年7月に宅配便「ゆうパック」の大規模な遅配が発生。遅配に伴う損失の影響などで、2010年9月中間決算で営業損益が928億円の大幅赤字に陥った。
日本郵政の斎藤次郎社長は7日の記者会見で、傘下の郵便事業会社の業績が大幅に悪化していることに関連し、「経営の効率化を具体的に検討している」と述べ、給与、ボーナスのカットや配置転換による人件費削減に踏み切る方針を明らかにした。労働組合と協議し詳細を詰め、今月28日までに総務省に具体策を報告する。
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日本と米国では直近の赤字拡大の要因には相違があるが、紙ベースの配達サービスの減少というイノベーションの進行の中で、サービス・モデルと装備・施設が時代の需要に合わなくなっている基礎的な事情は変わらない。
民間企業なら必然的にリストラが進み、それでも間に合わなければ会社更生法などが適用されて、一気にリストラ、あるいは解体が進むが、「官のビジネスモデル」では急激な環境変化に比較して対応は遅々としており、最終的に累積赤字は財政負担(納税者負担)になるだろう。
この問題に対する政治の対応は? いやはや、足元の火事でそれどころじゃないようですね・・・。
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