3月14日発売になった毎日新聞社エコノミスト3月臨時増刊号の2つの論考pdfをホームページに掲載しました(以下サイト)。
「投資信託はお得な金融商品か」
残念ながら投資信託は昔も今も大衆個人投資家に対する証券会社(今では銀行も加わっている)による手数料収奪のための投資商品です。買っても良いのはインデックス投信だけ。
ここまでは弊著「資産運用のセオリー」でも紹介した事実です。
今回の結論としては、インデックス投資でも手数料は割高、むしろ東証が近年上場銘柄を急速に増やしたETFの方が効率的な投資手段であること、ETFで海外分散株式投資なら長期で為替相場の変動(円高)でも相殺されない高い投資リターンを残せること、以上2点を加えました。
「良いREIT、悪いREITがネット上のデータで分かる」
昨年、大学のゼミ生による日本のREITをテーマにした研究を指導しました。その時の成果を私がまとめたものです。データ分析だけでなく、多少の業界ヒアリングも行ないました。
結論は以下の通り。
「収益不動産の賃料のみに特化し、配当可能利益の90%を配当することで法人税を免除されているREITの収益構造は極めて単純だ。にもかかわらず、これだけの暴騰と暴落をやってしまうということは、投資家サイドの集合的な合理性に致命的な欠陥があるということだろう。 しかし、市場の非合理性は冷静な眼も持つ長期投資家にとっては絶好のチャンスである。」
ちなみに、2007-08年の米国金融危機について証券化商品やCDSの複雑性がバブルとその崩壊のひとつの原因になったという主張がある。逆にいうともっと分かりやすい単純な投資商品だったらここまでバブルにならなかったというわけ。 ほんとうにそうかな?
証券化商品の評価が難しいから格付けに依存する傾向が助長された点は確かにあるが、単純な投資対象でも人間はチューリップバブルの昔から投機バブルとその崩壊を繰り返してきたというのが真実だ。
またデリバティブの設計と業者としてのリスク管理は技術的に難しいが、ユーザーとしての利用は実は簡単だ。
たとえて言うななら、ハイテク・カーの設計、製造には高度な技術が要るが、運転は簡単、アクセル踏めば加速する、ブレーキ踏めば減速する、ハンドルで右左、これだけだ。問題は運転する人間の側にある。
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