本日の日経ビジネスオンラインの小峰隆夫教授の論考、私も同意する点が多い。
 
ちょっと引用しておこう。
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「私は、震災前に、日本の政治的意思決定システムは機能不全に陥っており、これが経済にとっても最大のリスク要因になると考えていた。これを再び機能させるためには、政策決定に際して与野党が政策面で歩み寄り、特に長期的な課題に対しては、超党派の合意で対応していくような慣行を形成していくことが必要だと考えていた。
 しかし、それは言うは易く行うは難し。よほどの国家的な危機にならなければ、超党派合意などは期待できないだろうと考えていた。ところが、まさに最大級の国家的危機になったのだ。 3・11ショックの後、私は、これで超党派合意の先例ができるだろうと考えた。」
 
「ところがこのシナリオがなかなか実現しない。これほど明瞭な戦略をどうして民主党は採用しないのか? 新聞を読むと依然としてマニフェストへのこだわりがあるということらしいが、これほどの危機が起きたのだから、マニフェストの前提はとうに吹き飛んでいる。なぜまだマニフェストにこだわるのか? あまりにも不思議な出来事に、私は考えていると気持ちが悪くなりそうであった。」
 
「私が期待した超党派合意は今のところ成立していない。財政赤字特例法案のめども立っていない。しかし、最近になって遅まきながらようやく与野党の対立ムードが薄れ、力を合わせて難局を乗り切ろうという動きが出てきたようだ。大連立の形成という話も現実味を帯びてきた。」
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最後は難局に立ち向かう超党派合意に希望をつなぐ結論です。
しかし本日付の日経新聞は次のようにも報じている。
「与野党内で5日、民主、自民両党の大連立構想を巡って賛否が交錯した。政府・民主党からは秋波を送る姿勢が相次いだが、自民党では慎重論も多い。10、24両日投開票の統一地方選を控えているためだ。大連立構想が埋没と結びつきかねないと警戒する公明党は一定の距離を置く。各党の思惑が複雑に絡み合う展開だ。」
 
やれやれ、日本の政治の質が問われます。でも本当に問われているのは政治家を選出する選挙制度(一票の農村部、都市部の格差)の問題とわれわれ選挙民の質でしょう。