雑誌「公研」の5月号で元ドイツ証券のチーフエコノミスト、武者陵司さんと対談した。
タイトルは「日本経済再生への転機」、内容は私のホームページにpdfで張り付けたので、ご関心のある方はご覧頂きたい(以下)。
また、武者さんのレポートが掲載されている「武者リサーチ」のサイトは以下の通り。
 
対談は意見が同じではつまらないが、意見が全く対立してしまうとかみ合わない。
この対談では私はある程度共通点を強調している(たとえば最近の米国の対日姿勢・戦略が中国台頭要因で「融和的」なものに転換したことなど)。しかし武者さんの地政学的な要因、とりわけ米国の対日戦略で為替相場から日本経済の浮沈まで全部説明できるかのようなご主張には実は違和感が強い。
 
また日本経済の今後については、対談の中で語っているように、私は2003年春以降、不良債権問題が峠を越して、日本株が上昇に転じた時ほど楽観的な気持になれない。当時は小泉政権の政治的なイニシアシブが強く働いていた(反発する方もいたが、強いイニシアチブは必然的に反発も生じるものだ)ので、その点でも私は楽観的になれた。
 
しかし、2008年以降の現在、財政赤字の膨張は一層ひどくなり、不可避である税制と社会保障の一体的な改革はかけ声だけでまだ進みそうにない。政治(首相)のイニシアチブがあまりに脆弱で、方向感も戦略も見失っているため、このままのコースを辿った時の10年後の日本を想像すると気分が塞ぐ。
 
目先の政局的な思惑だけで動いている政治(政治家)の状況は「再生への転機」というよりも「能天気」、この状況が変わればもっと楽観的な気持になれるんだが・・・。
 
竹中正治ホームページ