欧米の株がどか~んと下がった。メディアではユーロ圏のPIIGS政府債務問題と米国債格付け引き下げが、株価急落の要因と報道しているが、同時に投資家のリスク回避志向で米国債は利回り低下(価格上昇)とも言っている。
 
どう考えても説明として矛盾している。米国債の格付け引き下げが要因なら、不安の対象の米国債は売られるはずだと素直に考えるのが論理だろ。いくら不安にかかれた投資家がパニックになって冷静さを失っても、不安の対象物(米国債)の買いに走るということはあり得ないと思う。
 
欧州の危機はよくわかる。PIIGSの政府債務、国債価格の下落で保有している欧州金融機関には莫大な損失が生じるからだ。新たな金融危機の要因になる。対策といしてはECBか、金融安定化ファンドの資本金を思い切り増額して、PIIGS諸国の国債を買い支えれば良いと思う。
 
ところが、それはPIIGS諸国の政府債務を実質的にユーロ圏全体で負担することになるので、ドイツやフランスの有権者の理解が得られない。そのため対応の腰が引けている。それが投資家の不安の原因になっているのだろう。
 
投資家不安のさらに背景的な要因には、中国のバブル崩壊→世界経済の景気再後退というシナリオがあるのだろう。
 
もっともそれもこれも、今始まったことじゃないが、株価は特段の理由がなくても急落、暴落することは歴史が語っている。その端的な例が1987年10月のブラックマンデーだった。
 
以下はS&P500の直近高値からの下落率
1987年10月 32% ブラックマンデー(特段の原因なし)
1998年8月   19% LTCM危機(アジア通貨危機からの波及)
2011年8月  17% 今回(8月8日NY closing)
 
2000-01年の急落と、2008年の急落は株価急落を引き起こすだけのバブル崩壊と景気後退があったが、87年と98年は景気後退は起こさないまま、株価だけが急落した。今回がどちらのケースになるのか分からないが、私は87年や98年型かな?という気持ちもある。
 
もちろん、株価の下落が資産価値の減少→負の資産効果による消費減→景気後退という「不安の自己実現コース」を辿る可能性もある。 どっちのコースになるのか、事前に確実に分かる方法などはない。不確実な中で自分の「アニマルスピリッツ」に賭ける気がなければ、株式なんてもってられない。
 
以前紹介した以下のグラフもご参照。
 
怖いけど、ちびっとS&P500で今日あたりから買い増ししてみようかな・・・まだ早いかな・・・(@_@)