今週の週刊文春(8月25日号)の記事「10月に2万件倒産!大クラッシュが日本を襲う」に私のインタビューが掲載されている。 実はこんなダーク・センセーションなタイトルになる特集だとは知らないで、インタビューを受けたんだが・・・(^_^;) 以下、その部分を引用
**** 以下記事の引用部分****
危機は、円高だけではない。国として見た時は、「国債暴落」のリスクが日増しに高まっている。
龍谷大学の竹中正治教授が試算した結果は、恐るべきものだ。
国債の発行残高は、三月末で七百五十八兆円に上っている。(短期証券、借入金は除く)
「金利が一%→二%に上がれば、国債価格(平均残存期間六年八カ月)は約六%下落して、金融機関をはじめとした保有者全体で、四十五兆円の含み損が発生します。金利が二%上がれば、含み損は約二倍の八十六兆円に達します。財政危機が表面化したギリシアは、金利が急騰して十五%を超えましたが、日本の場合は借金の規模が大きく、わずかな金利の上昇で、巨額の損失が発生します。
私は、国債がすぐに暴落するとは考えていませんが、このまま今後10年も借金を続けて行くことはできないでしょう。その時は借金がさらに増えており、その分だけ損失額は大きくなります」
国債の発行が増え続ける中で、竹中教授は、「メガバンクの国債の保有が増えていることに驚きました」という。
実際、今年三月までの一年間で、三井住友銀行は八兆円増えて二十一兆円、三菱東京UFJ銀行は四兆八千億円増えて四十兆円、みずほコーポレート銀行は一兆二千億円増えて十四兆円に上っている。(「金融ビジネス」の調査)
しかし、実はメガバンクは、リスクは回避しているという。
「保有している国債の平均残存年数は三年程度です」(三菱東京UFJ銀行広報部)
国債は、償還(返済)までの期間を基準に、「一年債」「五年債」「十年債」等が発行されている。期間が長くなるほど、金利(運用益)は大きくなるが、その分だけ金利が上昇した時の損失も大きくなる。
「メガバンクは国債の売買を続けながら、平均残存年数は短く維持しています。二~三年程度で、それぐらいの期間は大丈夫、と判断していると言えます。しかし、短期債は金利が低く、運用益が出しづらいため、体力のあるメガバンクだからできることです」(経済部記者)
今年三月末までに発行された国債の平均残存年数は、六年八カ月(財務省発表)。つまり、メガバンクがリスク回避している分だけ、リスクの高い長期債を保有しているところがある。
ゆうちょ銀行は、資産の八割を国債で運用し、六月末の残高は百四十七兆円に達している。
「ゆうちょ銀行は、企業貸し出しは基本的にしておらず、運用益を出すために、メガバンクに比べて長期の国債を保有していると推測されています」(前出・経済部記者)
しかし、リスク回避を図るメガバンクにしても、本業は企業への貸し出しだ。
「リーマンショック後、とくに大企業は資金を溜め込み、融資を求めないため、銀行は貸出先が無く、余剰資金を国債に投じてきました。
銀行が国債へ投資している限り、経済成長は期待できませんが、それは銀行の問題というより、企業が萎縮して、積極的に資金を使わないことが問題です。円高の今は、海外へ進出したり、買収したりする絶好の機会ですが、そうした企業はまだまだ十分多くはありません」(前出・竹中教授)
欧米に続いて日本国債のさらなる格下げが起これば、最悪のシナリオが待っていることは間違いない。
**********(引用終わり)********
「私は、国債がすぐに暴落するとは考えていませんが、このまま今後10年も借金を続けて行くことはできないでしょう」と言っている通り、私は記事のタイトルとは違って、今すぐ日本が危機になると言っているわけではないことを強調しておきたい。
また、記事が他の部分でふれている欧州について補足しておこうか。
ユーロ圏PIIGS諸国を中心にした危機的な状況は「不況下での政府債利回り高騰」と要約すれば良いのだろう。不況、あるいは景気が失速する状況下では、通常は金融緩和、あるいは緩和期待で国債利回りは低下する。
その国の国債金利は、他の諸金利の基準として機能を持つ。だから不況にもかかわらず国債金利が跳ね上がった国では、民間債務に適用される諸金利も上がる、ないしは下がらない。政府債務の償還リスクが心配される国でどうして他の民間債務の償還に安心できるだろうか。 その結果、景気後退ショックに対する金融緩和効果が殺されてしまう。
ユーロ圏がなんでそんな状況に陥ったかというと、根本には各国が金融主権を放棄して、それをECBに統合したことがあるが、そのECBがインフレ・リスクを心配し過ぎて、日本や米国のような量的緩和まで踏み込んだ金融緩和をせず、回復途上で金利を上げ始めたためかもしれない。
その結果、金融緩和効果も財政政策も塞がれて閉塞している状況というわけだ。
米国と日本ではユーロ圏と違って国債金利の上昇は起こっていない、むしろ下げ基調なので欧州と比較するとまだましとは言えるか・・・・。 ただそうした状況は日米共に現在のコースを後10年も辿れば、喪失する可能性がやはり高いと思う。短期と長期の政策目標・手段の目標の相違を調整しながら
コース転換できるかどうかは、政治の問題、いや、国会の代議士を選ぶ有権者の問題というべきか。
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