さて、TPPに関して寄せられたコメントにちょっとだけ再コメントしておこう。
「日本では相変わらず、家業ですね。自由競争になればおいしい海外食品が入ってくるので消費者的には歓迎します。日本の農家も海外進出して日本人向け農産物を逆輸入するとかできそうですね(そういった企業化を図ろうとする前向き意見が皆無)。」gonchan
日本も零細兼業&高齢化農家には土地を手放していただく、あるいは賃貸に出してもらって大規模専業農家主体で農業の競争力を高めようとするプランや施策は過去繰り返し出てきているのだが、事実上つぶされているように見える。
自民党時代に農業の補助金給付を一定規模以上の農家に限定する改革が行なわれたが、民主党の戸別補償制度では規模に関係なく補償する形になったので、見事に逆行してしまった。これを契機に賃貸に出していた農地の賃貸を打ち切って、自分で耕す零細兼業農家が出て来たくらいの逆行ぶりだ。
零細農家も農地に対する固定資産税がめちゃくちゃに安く優遇されているので、手放さない。専業の農家が貸してくれと言っても、長期に貸しているとやがて所有権を事実上失うのではという奇妙な危惧があるようで、良い土地は貸さないらしい。
「現代のスタンダード、ヒュンダイのスタンダードではなく、アメリカンスタンダードである所が、味噌醤油味の素です。世界の成長センターアジアの主要国、中国、台湾、韓国、インドネシア、鯛を除いて、シャ-クに能無し政権が貢のでは、勝ち目はありません。」櫻
自由貿易の下では各国の比較優位産業が輸出産業になり、比較劣位産業製品は輸入することで、自由貿易が世界全体と各国の双方において生産される経済的な富を最大化することは、18世紀にデイビッド・リカードによって確立された命題だ。その後、リカードの労働価値説を修正する形で理論的な展開をしているが、経済学の確立された命題だと言える。別にアメリカン・イデオロギーでも、アメリカン・スタンダードもなんでもない。
実際のところは、米国の連邦議会にも保護主義的な議員は、この一般原理を保護主義的目的に適合するように修正したがっているイデオローグもいるくらいだ。例、民主党のシューマー上院議員
「比較優位って、日本の自動車産業は米国の自動車産業より競争力があるから、日本では自動車が輸出産業になるってこと」と理解している人が実はとても多い(櫻さんは、そうではないかもしれないが)。これは全くの誤解で、もしそう思っている方がいればウキペディアのレベルでいいから、読んで正しく理解して頂きたい。でないと議論にならない。
ただし、自由貿易理論はあくまでも一般原理だから、それで現実の貿易、産業政策の枝葉までひねり出せるわけじゃないとは思う。一般原理を基調としながら、国際政治、国内政治情勢を踏まえた戦略的な政策が必要と思う。(それは私のできることじゃないけどね)
「もし関税を撤廃して国内農業が壊滅するほど、安い海外産が増えれば消費者の食費の負担は減るわけで、その分を生産性や環境保護の効率に応じて農家に直接再分配するような方向にできないかと個人的には思うのですが。」lif
農家保護ではなく農業発展のために政策的なコストを消費者が負担するのは、賛成。繰り返しなるが、零細・兼業・高齢化農家を保護するのは、日本の農業発展に逆行するので反対。
「例えば畜産農家は牧草・穀物を今より低価格で輸入し、なおかつ海外市場を開拓出来ればTPPのメリットを甘受できるでしょう。一方で ブランド力・宣伝力のない米の生産地は輸入米との競合になるでしょう。稲作農家がいなくなり耕作放棄地が今以上に増えれば地方の疲弊と荒廃が更に加速されます。これを競争による淘汰である。と経済的に語ってしまうのであれば、国ではなく会社、政治家ではなく経営者と言えるでしょう。どう思われますか」mat
耕作放棄地が増えているのは、零細農家の土地の集約が進まないからではないでしょうか。集約の対象にならず、耕作しても生産性の低い土地は自然に戻しましょう。そのための事業費だったら政府の予算を使うことも賛成。
もっとも、農業については私は門外漢、以下の本は参考になる。
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