政治的な愚行、自滅的な選択というのは、過去鳩山内閣と菅内閣に存分に見せつけられたが、ギリシャのパパンドレオ首相の今回の救済策を受け入れるかどうか「国民投票にかける」というのは、ハトポッポを数段上回る自爆テロ的な愚行にしか思えない。
難航の末にようやくユーロとEUの首脳会合で「民間投資家の自主的なギリシャ国債50%放棄」という大譲歩がまとまったのに、それとセットになっているギリシャ自身の財政赤字削減などを含めて国民投票で是非を決するというのは、テーブルをひっくり返すに等しい。
国民投票で「否」と出たら、もうユーロ&EUはギリシャを事実上見放すしかないだろう。ギリシャ国債はデフォルトになるだろう(今回の合意でも事実上の50%棒引きだが)。海外の投資家保有分は発行残高の7割だそうだから、対外的に7割は棒引きできることになる。
しかし海外の投資家はギリシャ国債を一切買わない上に、海外からの融資支援もなくなるから、結局、財政と経済の超緊縮で貿易赤字を一気に収支均衡にすることが強制される、あるいはドラクマを復活してギリシャ中銀が財政赤字をファイナンスすれば(マネタイゼーション)ものすごいインフレで国民はインフレタックスを払うことになる。
アルゼンチンの場合には、2001年に対外的にも乱発した国債をデフォルトし、2005年には元本7割カットという強硬策をやった。ただし、ペソ相場が大暴落したので、調整が働き、3~4年間ほど大不況だったが、その後経済成長は戻った。
ギリシャもユーロを離脱して、ドラクマを復活し、国債は完全に棒引きにするという最後の策が残っている。でもそれは、欧州で孤児の道を辿ると言う選択になるだろう。
同時に、メンバー諸国の主権が残されたままの通貨統合が、いかに無理中の無理であるか、すなわち今のユーロが、小康することはあっても、不治の病であることを見せつけたともいえるなあ・・・。
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