昨日書いた「日本の株式、なぜそんなに悲観しているのか?」には、本ブログのコメント・リピーターの方々とコメント初の方がいろいろ寄せてくださいましたね。日本の株式市場の現状は、確かにフラストレーションのたまるものです。
米国市場については、S&P500で見ると、昨年末が1257ドルで越年、今の相場は1200ドル台前半ですから、まあユーロ圏ソブリン危機と中国不動産バブル崩壊で、世界経済はどうなるかとこれだけ揺れている状況で、年末ベースでほぼフラットなら上々じゃない?と日本人の私は感じてしまいます(プラス配当平均2~3%もあるしね)。
しかし米国はやはりマイルドインフレの国ですから、「フラットでは不満じゃあ、フラストレーションがたまる」というのが投資について右肩上がり信仰の壊れ切っていないアメリカ人のセンチメントのようです。
昨日のWSJ記事の以下の記述は現在12月の米国市場の感触を端的に要約していると思います。
"We're getting good news out of the U.S., bad news out of Europe and holding our
breath on China," said Jeanie Wyatt, chief executive at South Texas Money
Management, with $1.8 billion in assets under management."
年の瀬ですから、今年1年間の私のポートフォリオをふり返ってみましょうか。今年の株式の不振を底支えしてくれたのがインカム・リターン期待のセグメントです。
その1:マンション投資
依然として純運用資産の約半分はこれです。賃料は過去3年ほど下げ基調、テナントが入れ替わり、一部賃料の引き下げを余儀なくされましたが、契約更新については「賃料不変」で押し切りました(^_^;)。
賃料が下げ基調の割には都心の中古マンション価格は底堅いです。でもその結果、新たに物件を買っても投資リターンは以前より下がっています。経費差し引き後で4~5%程度でしょうか。これじゃ流動性の違いを考えればREITの方がまし・・・という程度。
私のホームページで更新している「マンション価格指数/賃料指数」のグラフを見て頂くとわかる通り、
PRR(price/rent ratio)で示したグラフは上がってしまって2010年以降「マンション価格は賃料との比較で割高」となっているのがわかります。
でも、価格変動にぴくぴくと神経を疲れさせないで、チャリンチャリンと賃料口座に毎月たまっていくインカムはポートフォリオだけでなく、心理的にも安定化効果があります。
もちろん、マンションは老朽化により価値が減耗します。新築プレミアムの剥脱部分を除いても年率減耗率(法定減価償却ではなく実態ベース)は、年率平均で2%程度でしょう(東京都区部のサンプル・データで実際に計測してみました)。
経費差し引き後リターン5%から老朽化減耗率2%を引くと、税引前でも3%しか残らない?平均的にはそうなります。ただし不況の時に買って好況の時に売るとことで、この減耗分をほぼチャラ、運が良ければ多少のキャピタルゲインにできると思います。また借り入れでレバレッジをつければ、自己資金に対する投資リターンはぐんと上がります。
「思います」というのは、私は2007年に売ってそれを経験したのでほぼ確信しているのですが、所詮それも過去のこと、未来は不確実ですから、「絶対大丈夫」は無しです。
2、ライフセツルメント・ファンド(LFファンド)
ご存じない方がほとんどでしょうが、以下ウキペディア(英語)の解説をご参照ください。
生命保険の中途解約すると二束三文の解約金しか生保は払ってくれませんね。これはどこの国でも同じです。
米国では生命保険の第3者譲渡が合法なので、ファンドは解約希望の保険者から二束三文より多少高い価格(でも期待余命などをベースに算出する期待値よりは低い価格)で保険を購入し、保険者が死ぬと保険金をファンドが受け取り、投資家に配分する投資スキームがあります。
受取り生命保険金はインカムなのか、キャピタルゲインなのか、会計分類上の問題はわかりませんが、大数の法則に基づいた一種の裁定取引(保険の購入価格と期待理論値の価格差の裁定)と言えます。
私はTranen Capital(以下サイト)が運用するLFファンド(ドル建て)を為替ヘッジで円ベースにしたファンド(日本で国内販売)を2009年に2000万円買いました。
投資期間2年半サイクルで、ドルベースでは年率17~18%のリターンがありますが、為替のヘッジコストと日本の管理会社(証券会社)の2%手数料など引かれてしまいます。それでも年率約10%のリターンを上げてくれていますので、私のポートフォリオ全体の底支えになってくれました。
「そんな良いもんがあるなら、どうして教えてくれないのか?」
私としては特定の投資商品の方棒を担いでいるように思われるのは嫌なので、ほとんど紹介しませんでした。
あるいは「本当なら投資家が殺到するだろう?」と思われるでしょうか?
実際、日本の年金などが買い始めているそうです。それでも、日本の投資機関は総じて新種のスキームやリスク(なんらかのリスクがあることには変わりない)には怖気づいているようで、バンバン売れる状況ではないようです。
竹中正治HP
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