世界の景気動向、どうもお湯と冷水を同時に浴びているような奇妙な感じ・・・・
例えば「冷水」については、世界銀行が発表したGlobal Economic Prospectsは(今日の日経新聞夕刊で記事になっているが)ちょっと異様なほどの危機感トーンになっている。
 
サマリーの冒頭だけ訳してみようか。
「世界経済は危険的な局面に入った。欧州の金融危機は途上国と先進国の双方に波及している。この危機の伝染は世界のいたるところで借入れコストを押し上げ、株価を押し下げ、途上国への資金流入は急激に落ち込んでいる。 欧州は既に景気後退に移行したようだ。 同時に幾つかの大きな途上国の経済成長は(ブラジル、インド、そして多少弱い程度でロシア、南ア、トルコ)は回復の初期の局面より顕著に鈍化した・・・・・。米国と日本における経済活動の強まりにもかかわらず、世界の経済成長と貿易は急激に鈍化した」
 
ふ~ん、国際機関の官僚エコノミストの書きっぷりとしてはかなり踏み込んだ危機トーンだ。「崩壊」や「壊滅」が大好きな日本の経済ビジネス雑誌のトーンに近いね(^_^;)
 
その一方で本日のFTには米国経済について以下の記事が載っている(めんどーだから、もう訳さない)。
Manufacturing employment has grown faster in the US than in any other leading developed
economy since the start of the recovery, as productivity gains and subdued pay rises
raise hopes for an American industrial renaissance.
 
Reuter 17.Jan 2012 
The Mortgage Bankers Association said its seasonally adjusted index of mortgage application
activity, which includes both refinancing and home purchase demand, jumped 23.1 percent
in the week ended January 13.
 
米国だけ見ていると、景気は明らかに上向いていて(水準はまだ高くないけどね)、2012年はけっこういけるんじゃない?の印象になるんだが、欧州に目を向けると惨憺たる有様・・・・。
中国じゃこれって不動産バブル崩壊でしょとしか言えないのだが、日本や欧米とやはりまだ経済の仕組みが違うから、バブル崩壊がどの程度の経済失速をもたらすか、公表される経済統計の不十分さもあって、いまいち感じがつかめない。
 
ちなみに中国は先進国のようにGDPの詳細を公表せず、前年同期比の数字しか出さない。これってわかっている方はわかっていると思うが、遅行数字になるんですよね。前期比で出さないと足元の状態がわからない。
例えば2011年第4四半期は前年同期比で8.9%と公表されたが、例えば以下のようなデータ(GDP)系列の場合、前年同期比では8%成長でも、前期比ではゼロ成長になる。
100 103 106 109 109
最後の109は前年同期比では9%成長だが、前期比ではゼロ%
 
ということで、どうなるかわからんから、世銀のレポートも、
タイトルが“Uncertanities and Vulnerabilities”(不確実性と脆弱性)。
 
従って私としては「禁欲的楽観姿勢」継続、キャピタルゲインはあまり期待せずに、インカム志向中心でいきましょうということかな。