3局(日米欧)の株価が上がってきた。
世界景気の足取りがまだ脆弱で、欧州については既に景気後退入りではないかと言われている現局面での株価回復をどう位置付けたら良いだろうか?
年初の世界景気の各種予想を見ると、穏やかな回復持続から、景気後退への移行まで予想の分布が広く、それに応じて株価予想も下落・悲観予想から回復・楽観予想まで大きな幅ができてしまっている。
私は足元の株価回復は、過度の悲観論がやや修正された結果によるショートカバー(特に株だけじゃなくてユーロ為替相場がそうだ)と、米国の超金融緩和の2014年までの延長見込みによるものかと思う。(昨年までは2013年半ばまでの予想が支配的だったが、FRBの見通し発表で2014年までの持続が支配的になった。)
一般的に景気が底を打った後、まだ実体経済の回復が脆弱だが、一段の金融緩和やその持続期待で株価が回復する局面がよくある。実体経済の回復がその後順調に進めば、この段階の株価の回復は「景気回復を先取りした」ものと結果的になる。
これは2010年第4四半期から2011年初にもあった状況だ(当時のQE2開始)。ところがその過程は、2011年3月の東日本大震災、夏の欧州政府債務危機の深刻化でいったんとん挫してしまった。今回は、昨年第4四半期から目立ってきた米国の実体経済の底堅さと、FRBの金利見通しの発表を契機に、いったんとん挫したプロセスのパート2が始まったのだろうと私は解釈している。
従って、3月までのユーロ圏の政府資金調達などが無事に進み、米国の実態経済の緩やかな回復、日本の復興需要による景気下支え、中国のバブル崩壊大失速の回避などが実現できれば(その可能性はとりあえず、わりとあると思う)、株価の回復も後から「それの先取りだった」ということになり得るだろう。
しかし、ユーロ圏も中国も、どうなるかわからない不確実性は高い。従って「かつてない不透明性」という事情は続くから、楽観論も禁欲的な範囲だろう。
円相場は2011年通年の貿易収支が赤字になったことがニュースで騒がれているが、月次ベースで数字を見ているプロの間では、織り込み済みの材料に過ぎないので、それで短期的に円安に大きく戻るのはちょっと無理そう。
ドル金利も2014年まで上がらんという見込みになっているので、まあ、ドル円相場は現在の膠着から抜け出すきっかけがなかなか見当たらないが、次の大きな動きは最終的には円安ということで良いのだろうと思う。
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