まずWSJの記事

Europe Turning To U.S. for Loans

In the latest symptom of Europe's financial turmoil, the region's riskier companies are bypassing
banks and investors at home and turning to the U.S. for loans.
European companies borrowed some €14.4 billion (about $18 billion at current rates) in the U.S.
leveraged-loan market this year through Friday, more than double the €6.7 billion for all of 2011,
according to data from S&P Capital IQ LCD. That is the highest amount since at least 2007, the
height of the last boom in leveraged lending, when full-year loan volume was €12.2 billion,
according to S&P.
 
ユーロ圏の金融システム、銀行セクターは事実上の機能不全状態で、欧州の企業は米銀からの借入にシフトしているというこの記事、印象的だ。米国の銀行もまだ「病み上がり」状態だと思うが、欧州よりはずっとましということか。
 
アジアでは欧州系銀行がローンをひく一方、日系メガバンクが融資を伸ばしている。欧州については過去数年、一貫して悲観的な見方をしてきた私としては、腑に落ちる展開。
 
ユーロ危機の行方は6月のギリシャ再選挙次第という面もあるが、仮に新政権ができて既存の合意をある程度順守するという(現状の最も楽観的なシナリオ、可能性はそれほど高くないかも)ことになっても、ギリシャを含む南欧諸国の対外不均衡は変わらないし、自国の為替相場の下落なしに、財政緊縮しながら不況を乗り越えるという難易度の超高い問題が続くことに変わりはない。
 
結局、ユーロという広域統一通貨は、そのカバー範囲が広すぎた結果、機能不全(malfunction)に陥ったというのが、歴史的な教訓として残るのではないか?そういう思いが強まるばかりだ。
(ドイツを中心に南欧を除いた数か国での統一通貨なら、問題はなかっただろう)
 
こうなると問題の立て方は、欧州がどうなるかというよりも、ユーロ圏がどうにもならない状態のまま、それ以外の世界経済はどの程度の経済成長を実現できるか?と考える方が生産的ではなかろうか。
その答えは実はもう見えていて、欧州以外の世界経済は、失業率が急速に完全するほどロバストではないが、再不況にはならずに「マイルド過ぎる」回復が続くということだと思う。
 
竹中正治HP
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