以下のFTの記事、スペインからの資本逃避が1-3月期だけでスペインのGDPの10%に達する規模になったことを伝えている。
実額では970億ユーロ、約10兆円。日本に当てはめれば50兆円の巨額資本逃避になる。統計データはスペイン中銀の発表した国際収支統計だ。データの信頼度は高い。
 
Spain reveals €100bn capital flight         May 31 2012
Data published by Spain’s central bank showed €97bn had been pulled out in the first quarter –
around a 10th of the country’s GDP – as concerns mounted over Madrid’s ability to contain its
twin economic and financial crises, which have forced government borrowing costs to euro-era
highs.
 
おそらくスペインの投資家が自国の国債を売って、他域内(ドイツ)、あるいは域外に送金するような取引が増えているのだろう。域外に出る分は、ドルやポンド、円などに転換すれば、その分ユーロ売りになる。まあ、私がスペインの金持ちだったらやはり自己資産防衛のために同じことをやるだろう。
 
このままならスペインは既に深刻化している信用逼迫(credit crunch)に拍車をかけることになる。ただしこの動きは今に始まったものではない。すでにドイツの銀行部門には南欧からの逃避資金が莫大に積みあがっている。それをECBがブンデスバンクから預かって、南欧諸国の中央銀行に預ける(融資?)
操作でECBのバランスシートは膨張している。スペイン中銀の側から言うとEuro Systemからの借入が、資本流出分をカバーする分、増加している。
 
民間金融機関相互の域内の信用が縮小しているのを、ECBと中央銀行の貸借がかろうじてカバーしている形になっている。まあ、心臓(民間金融機関部門)が機能しないので、人工心臓(ECBと中銀)で血液を流しているようなものだ。
 
いつまでもつのか?ユーロ圏の最悪の事態はまだこの先に控えていると考えた方がよさそう・・・・・
為替相場としては1ユーロが90円を割れて80円台に入ったら、おそるおそる買ってみたい気もするが。
 
竹中正治HP
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