前回ビル・グロス氏の論考に関連して、長期で見ると名目GDP成長率と一国の株式時価総額(あるいは主要企業について時価総額を加重平均で指数化した代表的な株価指数として米国のS&P500)の変化率の間には、資本・労働分配率が長期で一定である限り、安定的な関係があることをとり上げた。
 
実際グラフに双方の成長率を取ると、その長期近似線はおどろくほどパラレルだった。その前提となる労働・資本分配率は、どう変化しているか、株価とどういう関係があるか、と言う趣旨のご質問をfacebookで頂いた。
 
労働(あるいは資本)分配率は、マクロデータで見るか、企業法人統計などのミクロデータで見るかで違ってくるが、ここではSNAデータのGDI(Gross Domestic Income)に占める支払い給与の比率で労働分配率をとった。下に掲載した上段の図の黄色線がそれだ。
 
米国の労働分配率は55~60%で比較的安定しているが、労働分配率が上昇した(資本分配率が低下した)1970年代には株価成長率は低い。労働分配率が低下した90年代半ばから後半は株価上昇率は高くなっている(ITブーム期)。
 
日本では株価と名目GDP成長率の関係はどうか?それが2番目の図だ。1956年からとると、TOPIX(年間平均)の対前年比変化率と名目成長率の2つの近似線は、なんとピタリと重なってしまった。
しかも米国に比べると右下がりの傾斜が強く、2000年代では近似線はマイナス域に入ってしまっている。
日本の株価の低迷は名目GDP成長率の低下によるものだ、つまりデフレの結果だと言うことを示しているようだね。
 
竹中正治HP
http://masaharu-takenaka.jp/index.html (←ホームページ、リニューワルしました(^^)v)
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