本日の日本経済新聞の1面「新卒ニート3万人」の記事は、大学生自身やその親、さらに私のような大学教育関係の人間にとっては気になる内容だ。こういう時は記事の元になった調査レポートを見るに限る。インターネットで検索すれば簡単に省庁のサイトからオリジナル・レポートが読めるので、なんとも便利な時代だ。
 
学校基本調査、平成24年度速報
 
一番気になる大学卒業生の分布データを以下に掲載しておこう(クリックすると大きくなります)。
2012年3月に大学を卒業した56万人の内訳は以下の通り。
大学院などへの進学者11.8%
正規の就職者60.0%
就職も進学もしていない15.5%
非正規雇用+一時的な仕事=7.4%
その他5.3%
 
就職も進学もしていない15.5%、86.6千人のうち、進学準備中が3.6千人、就職準備中(シュウカツ中)が49.4千人、その他が33.5千人で、この「その他」がニートとして認識されているわけだ。卒業生に占める比率では約6%。ニートという目標喪失・無気力状態の若者は少ないに越したことはないが、これが多いと見るか、どうか?
 
昔と違って生まれた子供の50%余りが大学に入学する時代だ。100人のうち6人が社会への適応努力を放棄している状態というのは、望ましいことではないが、私の大学での実感から言うと、違和感がない。救い難いほど無気力化している学生が、その程度存在しているからだ。 
 
まあ、それとこうしたニート層が増えているかどうかについては、時系列のデータが開示されていないのでわからないが、その母体となる「就職も進学もしていない層」の比率は2002年まで遡る限り、景気の波で多少伸び縮みしているが、傾向として増えてはいない。その層が一番多かったのは、ITバブル崩壊の世界不況の直後の2012年卒業年次であり、全体の21.7%(118.8千人)だった。
 
しかし学生諸君に対しては、進学と正規就職合計で72%に過ぎず(2012年)、つまり10人に3人は「不本意な状態」のまま卒業しているという事実を真剣に受け止めて欲しい。進学と正規就職合計の比率は過去10年で最も就職状況の良かった2008年卒業年次(リーマンショック前)でも82%だ。つまり10人に2人は不本意状態の卒業だった。
 
これについても私の実感を言えば、景気の善し悪し、就職環境の善し悪しと関わりなく、10人中2~3名程度は大卒として就職できるに足る状態に達していないということであり、残念ながらやはりこれも実感として違和感がない。
 
竹中正治HP
http://masaharu-takenaka.jp/index.html (←ホームページ、リニューワルしました(^^)v)
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