私が初めて高齢化によってボケる問題を自覚的に考えたのは、有吉佐和子の「恍惚の人」(1972年)を高校生の時に読んだ時だ。 当時この本は世間的にもかなり強いインパクトを与え、映画化もされた。私の高校でも担任の先生が「恍惚化」の問題を取り上げて議論したのを覚えている。
優れた小説というのは、その社会の運命を強いイメージでフラッシュさせる力があるのかもしれない。正確な数字は手元にないが、当時「老人性痴呆症」と呼ばれた数は数十万人だったはずだ。2012年の現在、自立した生活をする点で支障があるⅡ以上の認知症患者は305万人と推計される(以下、厚生労働省レポート参照)。
当時は「老人性痴呆症」と呼ばれた。その後、同種の症状が「認知症」と呼ばれるようになったのは、「痴呆症」ではあまりにイメージが悪いからだろうが、名称を変えても実態が変わるわけではない。
団塊の世代が65歳になり、今後認知症患者は400万人台に向かって増加する。65歳以上の10人に一人が認知症という事実は重いね。
以前紹介した日本の人口動態の変化が将来予測も含めて一目でわかるサイトを以下に掲載しておこう。 日本の団塊の世代は1947-49年生まれであるが、彼らが65歳以上になる今から本格的な高齢化が始まるんだ。今までの高齢化は序の口だったということだね。
経済全体で考えると、ひとり認知症が増えれば、それを介護するために「他の生産的な労働」から現役労働力を移転させなくてはならない。これで経済が富むことがきるか? ひとつ対策として考えられるのことは、65歳の引退人口でも元気で働くことを希望する(あるいは必要とする)方々はいるわけだから、65歳以上が65歳以上の認知症患者を介護する「老-老」介護体制ではなかろうか。
若い世代は、認知症老人の介護という未来のない職ではなくて、理系でも文系でも良いから日本の将来を発展させる仕事に就いて欲しい。認知症の予防医学や改善薬の開発も国費を投じてする価値がありそうだね。
追記:
facebookで紹介された記事、認知症の親を介護した経験者のノウハウが参考になります。
(←ホームページ、リニューワルしました(^^)v)
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