3月6日の東京高裁の判決を受けて、1票の格差とその是正問題が話題になっているが、政治家の動きは鈍い。格差のおかげで当選している地域の議員さんという既得権層の抵抗が強くて、大政党ほど抜本的な是正ができない構図が目に見えている。
本格的な格差是正ができれば、日本の政治的な力関係は変革され、政策と経済的な資源配分にも地殻変動を起こすだろう。
昨年衆院選は「違憲」=是正遅れ「看過できず」1票の格差訴訟・東京高裁
引用:「「1票の格差」を是正せずに実施された昨年12月16日の衆院選は違憲として、弁護士らのグループが東京1区の選挙無効を求めた訴訟の判決が6日、東京高裁であった。難波孝一裁判長は「違憲状態とした最高裁判決で強い警鐘が鳴らされたのに、区割りが是正されず選挙に至ったのは看過できない」として、選挙は違憲と判断した。選挙無効の請求は棄却した。」
添付の図表は、一票の格差として「都道府県別の20歳以上人口に対する衆議院議席数の比率(東京都=1とした場合の比率)」を横軸にとり、縦軸にやはり都道府県別の地方交付税(給付)の人口1人当たりの金額(単位:万円)を示した散布図だ。
見事に右肩上がりの分布になっており、相関係数(R)は0.755とかなり1に近い。
つまり結果を見る限り、1票の格差の結果、選挙人口に比べて国会により多くの議員を送り出している府県ほど、人口一人当たりより多くの地方交付金(総額8.2兆円、平成21年度)を受けていることになる。
もちろん、地方交付税の給付額は各地域の「基準財政需要額」と「基準財政収入額」を計算して、「財源不足額」をベースに割り当てられるので、そこの選挙区の議員の数が多いからと言って、「多い者勝ち」で配分されているわけではない。
戦後長期にわたって人口減少度合いの高い地域は税収も上がらず、結果として財源不足額大きくなると同時に、議員定数の是正が進んでいないので多くの議員が割り当てられている結果だとは一応言える。
しかし悪魔は細部に宿るのたとえで、「基準財政需要額」の計算だってちょっとした想定の変更で大きくも小さくもなるだろう。そういう部分に絡むのが政治家の得意なことだし、結果的に自分らの地域が不利になるような(もらいが少なくなるような)ルール変更には多数を頼んで抵抗することになる。
そういう意味では、地方交付税8兆円は一例に過ぎず、有権者数を公平に反映しない議員定数の分布が、国家予算全体の配分を本来あるべき姿(完全に議員定数が公平に割り振られた場合に生じる予算配分や政策)から乖離させていることは、公共経済学や財政学の分野の経済学者などがもっととり上げて問題にすべきじゃなかろうか。
報道によると自民党の議員も、JAの支持を得て当選した国会議員数が170人もいるそうだ。人口分布を考えれば明らかに歪んだ結果だろう。
追記(3月26日):違憲のみならず、無効!という判決も出ました。
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本件ブログと同じ内容です。
定着したら、そちらにシフトするかもしれません。
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