新著、出しました!
稼ぐ経済学~『黄金』の波に乗る知の技法」(光文社)1500円、5月17日(金)-20日(日)書店に配本開始されます。
ただいまアマゾンで予約受け付け始めています。
 
根拠なき俗論や、いたずらに扇動的な議論が横行する投資混迷の時代に問う、渾身の一撃
 
本書あとがきより
本書は200812月に出版した「今こそ知りたい資産運用のセオリー」(光文社)の続編でもある。「現在価値」、「IRR(内部収益率)」など合理的な投資に欠かせない金融・投資の基礎知識とその実践的な利用方法の解説と同時に、こうしたクリティカル・モメントに賢く対応しながら、個人投資家として資産形成を成功させるための私自身の工夫と知恵を紹介したものだ。
 
旧著「資産運用のセオリー」は20089月のリーマンショック直後の出版だった。米国を震源地とした金融危機とその後の世界不況を契機に、経済も投資環境も「もはや以前とは同じ状態に戻れない」というような悲観的な言説が横行した。
 
しかし旧著で次のように述べた私の投資スタンスは全く変らなかった。「世間が『米国金融危機』『米国凋落』『世界株式崩壊』と騒いでいる今こそ、株式やREIT投資の千載一遇のチャンスだという『黄金の波』 を見ることができるかどうか、そう思った時に投資する余力があるかどうか、これが長期の資産形成で成功と失敗を分かつポイントとなるのだ。」295㌻)
その後、米国の株価は危機前の高値を更新し、今回のアベノミクスを契機にした円高修正(円安)、REITや株価の急回復は、私が実践してきた投資スタンスが十分に報われるものであることを裏付けてくれた。
そのポイントは要約すると簡潔なもので、「株式や不動産などのリスク性資産は不況時にこそ買う。好況が続いて割高になったら売って減らす」これに尽きる。現実の市場の価格形成は経済学の標準的なテキストが語るほど合理的ではない。そのため不況時には市場価格は資産のファンダメンタルな価値より割安になり、好況が続くとその反対に割高になるからだ。
 
バブルとその崩壊は、そうした非合理的な振れがより極端に生じる場合だ。上にも下にも行き過ぎた相場は必ず戻る。ただその転換がいつ、何を契機に起こるかを事前に予想することは困難なだけだ。
 
もっとも不況時だからと言って、なんでも割安になるわけではないので、資産価格の割安・割高を見抜くためのスキル(不動産の収益還元法による評価など)も紹介した。株式投資がお好きな方々は、「今後上昇が期待できる割安株の見抜き方」というような手法を求める傾向が強い。しかしその点では誰でも真似ができるような一般的手法を求めるのは不毛だと考えている。
 
そんな魔法のような手法があれば、誰でもそれを使って株式投資のリターンを向上させることができるだろう。ところが3章で紹介した通り、「投資のプロ」が運用する投資信託の実績のほとんどは全く期待外れなのだ。一時期に有効な銘柄選別手法でも環境が変り、あるいは多数の人々に真似されることによりその有効性を失ってしまう。
その一方で好況・不況の波、またはバブルとその崩壊で繰り返される資産価格の割高・割安の振れは、金融機関の「投資のプロ」には利用し難いものである。彼らは日々競争し、毎期稼がなくてはならないという組織や競争環境の強い制約を受けているからだ。
 
それが故に割高・割安の波は解消されることなく繰り返されてきた。その波を利用できるのは本当に長期投資に徹することのできる投資家だけであり、その点に個人投資家の優位があるのだ。この真実に覚醒しよう。あなたにも黄金の波が見えるはずだ。」
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