日本経済新聞をご覧の方は、既にお目にとまっているでしょうが、本日の朝刊に新著の広告が掲載されました。 思いの外、大きく掲載されたので、本人も「うわっ!」と感じております(^_^;)
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「稼ぐ経済学」というタイトルは、アカデミズムからは「経済学は金儲けの道具ではない」という批判的な声がでることを百も承知で決めたものです。
その意図は、著書の冒頭「序章:経済学を学ぶと儲かるようになりますか?」に書いているので、以下ちょっと引用しておきたい。
引用:
「経済学を学ぶと儲かるようになりますか?」
大学の経済学の先生に尋ねれば、間違いなくみなちょっと顔をしかめて「ノー、経済学は金儲けの道具ではない」と答えるだろう。しかし経済学を学ぶまだ学生だった22歳時、ケインズは友人に出した手紙の中で次のように書いている。
「僕は経済学が次第に面白くなってきた。僕はどちらかといえば経済学に向いているのではないかと思う。僕は鉄道を経営したり、トラストを組織してみたりしたいし、少なくとも 大衆投資家に一杯食わせるぐらいのことはしてみたい。これらの事柄に関する原理をマスターするのは極めて容易だし、魅力的だ。」(1905年11月、友人リットン・ストレイチーへの書簡から)
大衆投資家相手に「一杯食わせる(swindle)」という不穏当な表現まで飛び出す若きケインズのこの文章を、「若気の至り」と無視することもできる。しかし大学の経済学の先生方とかなり違う意識で若きケインズが経済学を勉強していたことがうかがえる。そしてケインズのその意識は実は生涯続いたのではなかろうかと私は思う。
学問が「金儲けの道具」でないことは、経済学にかかわらず、どの学問についても言うまでもなく正しい。現代の経済学は理論体系に様々な問題を抱えながらも社会科学であり、そこから汲み取れる知見は社会を改善する合理的な政策立案にも欠かせない。
しかし、好況と不況を繰り返す景気の循環や、時折大事に至るバブルとその崩壊、資源価格の高騰やテレビやパソコンなど工業製品価格の急速な低下、為替相場や金利の変動、これらは全て経済現象だ。
企業も個人もみなこうした経済現象の波の狭間で浮沈を繰り返してきた。もし私達が経済学を学ぶことで、ひとりの個人としても、あるいは組織の経営者としても、こうした経済現象により賢く、合理的に対応できるようになるのでなければ、果たして学ぶことに何の意味があるのだろうか。
もちろん経済学はこうした経済現象について「未来が見える魔法の水晶玉」を提供できるものではない。しかしながら株式や不動産などの高騰の渦中で「これはバブルの可能性が高い。そうだとすれば、いずれバブル崩壊局面が到来するだろう」、あるいは「金融危機と不況下の悲観の蔓延で資産価格はひどく割安な水準まで下がっている。今は買い時の可能性が高い」「今の円安(あるいは円高)は行き過ぎている。反対方向への大きな揺れ戻しがいずれ起こるだろう」等々、経済学を学ぶことでこうした実践的な判断能力を身につけることができるはずだ。
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