筆者はグローバルな金融・資本市場のリスク度を表す指数として「世界市場変動リスク指数」(IIMA Global Market Volatility Index:略称IIMA-GMVI)を考案し、国際通貨研究所と共同で同研究所のホームページにて週次(毎月曜日公表)で公表することにした。
この指数は、世界の主要国の株式市場、債券市場、外国為替市場の日々の相場の動き(日次変化率)に基づいて世界の金融・資本市場の相場変動率のヒストリカル・ボラティリティ(historical volatility)を算出、合成し、(1)短期・中期の相場動向の解析、(2)投資リスクの判断材料、(3)市場の平時から危機への移行判断に役立つ客観的な指標を提供することを目的にしている。
例えるならば、人間の心身のストレス度は脈拍や血圧の変化に表れるように、世界の金融・資本市場のストレス度は市場相場の安定・不安定度(変動性の高低)で計測できるという考えに基づくものである。
詳細は同研究所ホームページ掲載のレポート、ならびに図とデータをご覧頂きたいが、ここにはIIMA-GMVIの推移グラフを掲載した。アジア通貨危機(1997-98)やリーマンショック(2008)など大小の危機イベントの発生に合わせて、同指数の値が跳ね上がっているのがわかるだろう。
IIMA-GMVIの長期的な平均値は3.0になるように設定されており、90年代後半以降の経験に基づく限り、概括的に次のように局面分類ができる。
IIMA-GMVIが、
3.0以下 :ブルーレンジ、世界金融・資本市場の安定局面
一般に投資家のリスクオンの姿勢が強まる楽観局面
3.0~4.0:イエローレンジ、小波乱局面
一般に投資家のリスクオンからリスクオフへの転換が起こる局面
4.0~5.0:オレンジレンジ、中波乱局面
地域的な金融・通貨危機起こる可能性が高まる局面
5.0以上 :レッドレンジ、大波乱局面
グローバルな伝染性をもった金融・通貨危機が起こる局面
9月27日現在の値は2.99であり、長期平均値とほぼ同じであるが、米国連邦政府の財政問題をめぐる一部政府機関の停止、連邦政府債務上限の引き上げに関する議会交渉の難航などが先行きの不透明感を増しており、同指数の変化が注目される。
今後、同指数を利用した各種の市場変動に関する研究、投資判断への実践的な応用例を同研究所のサイトで発表して行く予定である。
IIMA-GMVIに関するロイター社サイトでの論考(10月17日掲載)↓
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