金(ゴールド)のドル建て価格がついに1200ドルを割れた。例えば以下のWSJ記事ご参照
Gold sinks to three-year low
2年~3年前、「米国の量的金融緩和でインフレになるから、インフレヘッジのためにゴールドを買いましょう」なんてまことしやかなことを語るゴールド業者の御先棒を担いだ方々の言説が横行していましたね。
しかし私はきっぱりと「今のゴールド価格はバブルだ。かならず崩壊する」と何度も書きました。
例えば以下の2011年10月のブログと雑誌「エコノミスト」の記事をご参照ください。
私だけが決然と以下のように述べています。
「金色(こんじき)の熱狂、ゴールド・バブルは、はじける」竹中正治 金ベアー度☆☆☆
「現在のように趨勢的な傾向から大きく上方乖離した価格で買えば、長期で保有しても取り戻せない損失を抱える可能性が高い」「チキンレースの崖が見えて来た時、金価格は暴落するだろう」
しかも次のように言い添えている。
「1、2年経ったらこのブログをまた開いてみましょうかね」
2012年6月にも「エコノミスト」で書いています。
そしてその時が来ました。
結果はこれ以上のコメントが不要なほど明らか。
ゴールドが高値圏の時に「インフレヘッジのためにゴールド買え」とか、「ポートフォリオの一部にゴールドを買いましょう」なんてことを言っていた方々は、舌を噛んで、頭も丸めて反省して欲しい。
追記(12月22日):1200ドル近辺の金価格をどう見るか? まだ下がるか?買っても良い水準か?
私の著作を読まれた方々、本ブログのリピーターの方々はお分かりになっているはずですが、私の投資法はバブルに巻き込まれたり、業者に騙されない程度に資産価格の割安、割高の判断はしましょうね、それは決してそんなに難しくないはず、というものです。
私は金市場のアナリストではないので、金価格の短期的な動向と需給をフォローしているわけでもありません。短期・中期の金相場予測なんてわかりません。もっとも専門のアナリストに、それがわかっているとも思っていませんがね。 上記の「エコノミスト」でブル見通しを述べたのは、一応「金市場(あるいは国際商品市況)専門のアナリスト」ですから。
インカムを生む資産のファンダメンタルな価値は、将来にわたるネット・インカムの現在価値を求めて合計すれば良いのですが、金のようにインカムを生まない資産はどう判断したら良いのか。
私はドル建ての金価格なら、ドルのインフレ率と比較して割高・割安を判断すれば良いのだと、極めてシンプルに考えています。 「長期的な需給動向の変化なども考慮に入れるべきでは・・・」なんて考えると業者やそのお先棒を担いでいる連中の罠にハマりますよ。 「インドや中国での金需要の増加で金の需給は趨勢的に逼迫し、価格は今後も上昇を続ける」なんてことが、散々言われてきたわけですからね。
私が金価格は「割高過ぎる、一種の投機バブルだ」と判断した最大の理由はドルのCPIの変化と比べて、金のドル価格があまりに高騰したからです。たとえ目先まだ上がりそうだと、業者にそそのかされても、割高な資産購入は避ける。これが素人でも勝ち越せる長期投資の極意だと思って実践しているわけです。
以下に掲載した図表の通り、ドルのインフレ率(CPI総合)に比べて、1200ドル近辺の価格は依然割高です。 目先下がるか、上がるか? そんなことは知りませんが、とうてい買う気はしませんな。
追記(2014年6月5日):「金の価格、「罠にはまった中国の個人投資家」・・・値を戻すのは「期待薄」=中国メディア」 (^_^;)
近著「稼ぐ経済学~黄金の波に乗る知の技法」(光文社)2013年5月20日