首都圏中古マンション市場の活況
本日12月23日の日経記事に引用されている「IPD/リクルート住宅価格指数」、これは中古マンション価格と賃料に関するデータです。

私は2007年にこのデータに注目し、IPD社にお願いして、過去データを全部頂き、価格、賃料ともに以来フォローしています。
以下はその図表です。PRR(Price Rent Ratio)というのはマンション価格指数を賃料指数で割ったもので、株式のPERと同じでマンション価格の割安・割高の指標です。


これで「マンション価格の割高・割安が判断できますよ」とこれまでの著作の中で繰り返し掲載して来ました。 現在の相場は指数で見る限り昨年までの割安状況はなくなり、2007年のミニバブル時と同じ程度の割高に転じました。

ならば、マンション個人投資家としてはもう売るか? 記事に書かれているように実需に支えられているようなので、景気の腰折れがない限りまだ上昇基調が持続しそうな気がします。様子を見守りましょうかね。

ところで、中古住宅を仲介業者経由購入する場合は、消費税はかかりません。消費税は付加価値に課税されるものですが、新築と違って中古マンションの仲介では付加価値が発生していないからです。 
 
だから新築マンションについては、来年4月からの消費税率引き上げの前に駆け込み購入が起こっているのは一応理解できます。ただし新築でも、来年度から実施される住宅ローン減税処置を利用すれば消費税増税分は概ね相殺できると言われていますので、購入ラッシュすることにどれほどの合理性があるのかとも思いますが。
 
ましてや消費税の対象ではない仲介での中古マンション購入については、消費税前の駆け込みが生じる合理性は全くありません。 実需目的の購入者の懐がリッチになったわけでもない。賃金はまだほとんど増えていないし、以下の記事にあるように中古を買っている層は総じて中~低の所得層であるならば、株価上昇による資産効果も関係がないはずだ。
 
まあ、大衆というものは、そういうものなんでしょう。世の中の雰囲気の変化に感染して行動しているんだ。 私の観察では、そうした合理性の乏しい実需系購入者の買いと、株価の上昇でキャピタルゲインを得て、それを元手に資産運用する個人投資家の買い、その双方が同時に起こっているんだと思います。
 
まあ、マンション投資家としては、理由はともかく、価格が上がってくれるので嬉しい。
来年以降、じっくりと引きつけて売り抜きましょうかね。

記事引用:「価格も上昇している。リクルート住まい研究所が算出する首都圏の中古マンション価格指数は11月に128.8と、バブル崩壊後の1995年5月以来18年半ぶりの高値圏となった。理由は何か。同研究所の清水千弘フェローは「足元の活況はファンドバブルのような資金流入ではなく、実需によるもの」と話す。

買い手の主役は所得が比較的低い層だ。中古住宅の購入世帯で最も多いのは30代。特に中古一戸建ての所有層は30歳未満が多く、中古マンションは60代以上の高齢者層が好む傾向がある。
 
実際、家計調査によると、年収が平均で268万円の世帯の持ち家率は10月時点で81.3%と2年前に比べて10ポイント近く上がった。中古住宅がこうした低所得層の購入の受け皿になっている可能性は高い。」
 
追記(同日午前):消費税について
誤解されぬように補足しておきます。
「仲介業者」とは自分では購入せずに、個人間の売買を仲介して手数料を得る業者の意味です。仲介業者を通す場合も、あるいは(稀ですが)個人間で直接売買する場合も、消費税の対象にはなりません。ただし業者がいったん購入したものを(この場合は「仲介」ではない)ので、その業者から買うと消費税の対象です。 その場合も、土地部分は課税対象ではありません。
 
友人の税理士の法律上の説明では以下のようになります。
「消費税は消費税法第4条1項で「国内において事業者が行った資産の譲渡等」とその「課税の対象」を定義(課税対象ではなく課税の対象)しており(資産の譲渡等については同2条で定義している)、個人間の売買(仲介事業者がいようがいまいが)については消費税が課税されません」
 
仲介ではなく、業者がいったん購入したものを買う場合は、上記の「事業者が行なった資産の譲渡」になり、消費税の課税対象となるわけです。
 
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takenakamasaharu/  Yahooニュース個人
イメージ 1